『僕は君の「熱」に投資しよう』を読んで
佐俣アンリさんの『僕は君の「熱」に投資しよう』を読みました。「君は、必ず成功する」こう言い切る序章から始まり、読んだ人はきっと、沸々と身体の底から湧き上がるものを感じるはず。
本書の中で、身近な人が成功する体験の重要性を何度も説かれています。そういう場を設計することで、能力があるなしではなく、チャレンジと圧倒的な努力とピボットする勇気が伝播して成功者を続出させるはずだと。
佐俣さんが、どのようにベンチャー経営者とコミュニケーションをとり、さりげなく熱量を探っているのかもよくわかります。とても人間的で興味深いです。
その中でも、経営者とお米を買いに行く話が示唆的で印象に残りました。
お米を買いに行くのは、まずその呼びかけに経営者がどう反応するのかをみています。苦しい事業環境にあっても、スルっと行きましょうと言えるのか、顔向けもできなくなっているのか。
そして、何より資金が底をつくのが当たり前の環境下で、食べてさえいればなんとかなるという人間的なやさしさです。単純だけど、そうだよなと思いました。
著書の中でコロナの話は出てこなかったと思います。今年8月出版なのでコロナ影響について色々と言及してもおかしくないのですが、それに言及してしまうと一過性の、賞味期限のある本になってしまうと思われたのかもしれません。
いま、コロナ後のオフィスについて、企業側もオフィスを創るオフィスデザイン会社側も喧々諤々の議論が続いています。自分のクライアントのメガベンチャーも、六本木をでるかどうかの判断まで迫られていると聞きました。
そんな中で、コロナ後のオフィスはプレミアムな体験が求められ、カルチャープレイス化すると言われています。佐俣さんの著書を読んでいると、まさに空気感が大切だと思いますし、案外とキッチンが重要になるのではないかと思いました。
業務をまわすだけなら家でできます。夢中で快適に仕事をしたければ、いくらでも仕事をして、食べて飲んで寝れる、そんなオフィスに行きたいと思うはずです。
大企業には悪平等が蔓延していて、オフィスに来た人たちがフリーで食事できるなんて公平感に欠けるだとか、自分が若かった頃はそんなのなかっただとか、無目的なコストセーブで、フリーフードは実現しないと思います。
食事には帰巣本能をくすぐる要素があるので、優秀な人材を集めて結束を強めたい企業は、コロナ後はキッチンが、これまでのおしゃれ感以上に、機能として重要になるんじゃないでしょうか。