【「自分」を撮らずにセルフィーを撮る】
普段のteaspoonは、寄せ書き型のジンです。友人に声をかけて、テーマに沿って200字くらいの作文を寄稿してもらいます。それを印刷し、暮らしのなかで顔をあわせる人々に手渡しで配る…というのがこれまでのスタイルでした。
しかし、新型コロナの流行で、いろんな人に会う機会も減ってしまいました。そこで、編集部で話し合い、ひとまず年内は、noteでやってみよう!ということになったのです。手渡しでジンの輪が広がるというささやかな喜びが減ってしまう反面、紙媒体よりも写真を贅沢に使えるという利点もあります。今回は、試しに編集部4人だけで写真やイラストの画像データを持ち寄ってみました。
お題は【「自分」を撮らずにセルフィーを撮る】。
セルフィー(自撮り)といえば自分の顔を撮ること。でも、もし顔以外を撮るとしたら、なにを撮れば「セルフィー」になるのだろう。
まずは写真だけざっと見るも良し、キャプションと照らし合わせながらじっくり読むも良し。写真からその人の「表情」が見えてくるでしょうか。
☕️ ☕️ ☕️ ☕️
【写真:前半】
1人目
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2人目
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【キャプション:前半】
1人目
スマホの背面とケースとのすき間にはちまちまと採集したすきなものたちが層をなしていて、もはやかなりわたしだと思う。
以下ちょっと解説
・S.KURAMITSU ーおじいちゃんの遺品フィルムカメラについていたお名前シール。
・ハムエッグ ー家庭教師先の中学生がくれた家庭科の献立シール。
・trial and error ー高校のときにお世話になった先生が、テプラで作ってくれた。
・虹と地球とスマイルマーク ー西荻窪のレッドハートストアで買ったシール。ここの店内はファンシーでカラフルな輸入ステッカーと文房具で埋めつくされていて、小学生のときみたいなキラキラしたきもちを思い出せる。
・紐つきスマホケース ーこれを導入するまでは1か月に3回くらいスマホを落として、1年に2回くらい画面を割っていたんだけど、紐をつけて首からかけるようになってからは落とさなくなりました、オススメ!
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2人目
電話にて。
ワタシ「...ずーっと在宅生活で、PCの前に座りっぱなし。ストレッチくらいしなきゃね。」
だれか「でも、わざわざやろうとしても、続かないんだよね。」
ワタシ「PCをいじりながら同時にやれば?足を広げて、前にぐいーって。」
だれか「どういうこと?」
ワタシ「こう、ペターってして、その前でかたかたするってこと。」
だれか「電話だからわからん...写真送ってよ。」
ワタシ「この体勢しながら自撮りできないって。じゃ、待って」
かきかき、パシャ。
≪ワタシさんが写真を送信しました≫
だれか「あー。なるほど。てか柔らかっ。」
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【写真:後半】
3人目
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4人目
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【キャプション:後半】
3人目
自撮りを何度も繰り返す。
写りの良い自分が、あとすこしでとらえられそうなのにとらえられない。
次ならいけそう、もう一回やればまだマシかも、
と思って何回もバシャバシャしてしまう。
うたた寝のときの蚊、
羽音は聴こえるのに、いざ起き上がるとどこにいるのか見えなくなる、
あのうざったい蚊のように、
合格点の顔は、わたしのすぐ近くを気まぐれに浮遊し、
カメラに収められることはほとんどない。
・・・
4人目
ホテルでチェックアウト前に撮った写真。ピカピカのベッドメイクがされた上で眠ると、どう頑張っても自分がいた痕跡がちょっと残る。
☕️ ☕️ ☕️ ☕️
どの写真も、自撮り(セルフィー)では捉えられないような自分がうかびあがっている気がします。その自分は、今、わたしのなかで「自分」を思い浮かべるときの、その自意識とは別のところ、少し離れたところに、ゆらゆらと立っている感じです。
これまでのteaspoonは紙媒体で言葉を中心に集めてきました。
お題に合わせて自分なりに写真を撮るということは、普段から写真を撮らないひとには少し難しいものでしたが、脳みその、普段あまり使わないところを使った感覚もありました。
しばらく、noteで試行錯誤してみようと思います。
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クレジット
アユミセキ
たなべひろこ
ミシマサキ
三田ひろまさ
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