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つい夢中になってしまって、息子の〇〇を横取りしていた話

「あれ? なんか調べるんじゃなかったっけ?」

「え?」

「社会の宿題で、『消防の何か』を調べるって、ゴールデンウィークの宿題じゃなかったっけ?」

「あ、そうだった」

 

【地域の消防施設・設備を調べよう!】という宿題が出ているのを、一昨日くらいに連絡帳をチラっと見ていたので、私の方が覚えていた。

息子は、忘れていたらしい。

ゴソゴソとランドセルから課題プリントを出して私に差し出した。

 

「これは、この地域の全部の消防施設と設備を調べるのかい?」

「知らない」

「知らないって……じゃあどうするの?」

「わかんないよ」

 

半ば投げやりの息子。

でもこのまま放置して、明日の夜、相談されても困るな……。

 

「じゃあ、とりあえず、回れるだけ回ってみる?」

「うん。そうする」

正解はよくわからなかったけれど、いい運動にもなるので、家族3人で、散歩がてら、街の「消火栓」「防火水槽」「消化器」を探すことにした。

 

いったいどこにあるだろう?

 

本当はいけないかもしれないけれど、闇雲に歩くのも大変そうなので、何か手がかりとなりそうな情報をネットで調べられないかと検索してみた。

 

すると、「消火栓」「防火水槽」「消化器」のはっきりとした情報はわからなかったけれど、何らかの消防に関するものがありそうな場所に目印が書かれた地図は見つかった。

 

とりあえず、それを印刷して、ヒントとして持っていくことにした。

 

家を出ると、いきなり、玄関前に「消化器」を見つけた。

あ、そういえば、そうだよな。

 

毎日見ているのに、しっかり認識していないものだなと思った。

 

次は、近所の地区区民館に何かありそうだ。

そう思って近づくと「防火水槽」があった。

 

 

 

「あったね。40m3だって」

早速、息子が地図に防火水槽を表す青い四角形を記入した。

 

「次は?」

さっきチラッとみたヒント用の地図によると、少し歩いた場所にある公園に何かあるようだったので、そっちの方向へ行ってみようと提案した。

 

すると、その途中の道端に、「消化器」の入った箱があった。

「あ、こんなところに消化器があるね」

思わぬところで、一つ収穫があった。

 

もうしばらく歩いて、公園に着くと、「消化器」と「震災対策用貯水槽 5m3」と書かれた看板があった。それに「防災資器材格納庫」というものがあった。

 

「これらは書くところないね。とりあえず、メモだけしておくか」

 

そんな風に探しているうちに、一番楽しんでいるのは、私だということに気がついた。

「なんかオリエンテーリングみたいで楽しいね」

そう言ってみたけれど、旦那と息子はそうでもなさそうだった。

 

とりあえず、ヒントを頼りに、道を進むと、いつも歩いている道のいたるところに知らない「消化器」がたくさんあった。

毎日のようにみているはずなのに、認識していないと、「ない」と同じなんだなって感じ、何だか騙されているような気がした。

 

「消化器」はたくさん見つけたし、「防火水槽」もふたつほど見つけた。

あとは、「消火栓」だ。

 

「ところで、消火栓ってどんな感じだっけ?」

どんな風に街に存在しているのか、イメージがいまいち湧かなかった。

「こんな感じじゃない?」

旦那がスマホで検索してくれて見せてくれた画像を見て、ハッとした。

「そうだね! こんな感じだったね! じゃあ、見上げないと探せないね」

 

 

「赤いもの」、「箱のようなもの」を探していたけれど、「消火栓」は普通の標識よりも高い位置にある標識が目印だと、改めて知った。

 

少し高い位置に目をやってもなかなか見つからなかったけれど、何分か歩いていたら、「消火栓」と書かれた案内を見つけた。

「あった!」

 

そう言って3人で走り寄って、地図にメモった。

 

「図書館と買い物の帰りに、今度は、街の反対側も回ろう」

私がそういうと、息子はちょっと不機嫌そうだった。

 

何だよ! せっかく宿題に付き合っているのに!

 

私は、正直、ちょっとイラっとした。

 

だけど、そのあとに聞いた息子の言葉に、反省したのである。

 

それは、何かと言うと、

「俺の宿題なのに、お母さんの方が楽しんでしまっているから、悔しい」

という言葉だった。

それに、

「お母さんが、松岡修造みたいに熱くなりすぎて、そのテンションについていけない感じなんだよ」

とも言っていた。

なるほど! いい例えだな! だけど、そんなんだったら、確かにいやだったろうなと反省した、というわけだ。

 

「ごめんね。横取り学習しちゃって」

「いいけどさ」

 

小学4年生の勉強ともなると、特に、理科や社会は面白い。

私も当時学んだはずだけれど、覚えていないことが多く、初めて聞くことのように、好奇心でいっぱいになる。

 

だから、息子が解いている問題を横から見て

「へー! なるほどね!」

とか言ってしまうことも多い。

 

だけど、それは、あまり良くないのかもしれない。

確かに、自分が「へー!」って、単独で思いたいのに、隣の人に先に言われると面白くないかもしれない。

人によるかもしれないけれど、息子も、もしも、私と似ていれば、きっと面白くないだろう。

 

今日は、本当に楽しかったけれど、反省した。

 

ここにも、親子学習の難しさがあったとは!

 

やっぱり難しいな、親子学習……。

 

 

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