
書籍『自分の「声」で書く技術』のメソッドに、偶然集まった大人たちが、自分たちなりに、実際に取り組んでみた記録②【フリーライティングの体験】
2024年4月21日(日)に胡桃堂喫茶店で開催された、書籍『自分の「声」で書く技術』発刊記念トークイベント〜書きたいという願いを、心に秘めるあなたへ〜に参加したことをきっかけに集まったメンバーで始めた「ティーチャーレス・ライティング・クラス」について記録している。
一回目については、こちら。
一ヶ月に一回の割合で、ZOOMで集まって学び合いましょう、ということになったので、一回目の5月10日(金)から約一ヶ月後の6月14日(金)の夜に「ティーチャーレス・ライティング・クラス」を開催した。
メンバーは前回と同じ五人の予定だったけれど、一人の都合が悪くなり、今回は四人で開催。
前回決めたように、一斉に「10分間のフリーライティング」をその場でタイピングし、それぞれ本人が読み上げ、お互いにフィードバックすることにした。
ファシリテーターは持ち回りにしたが、前回に引き続き、今回までは私がやることに。
集まりの前日に、ファシリーテーションが得意な仲間がアドバイスをくれて、それに基づいて、大体の流れを考えることができた。
ファシリテーターの経験があまりない私にとって、彼女のサポートがとても有り難かった。
前回の集まりで「書いた文章を”どのように”共有しようか」という話になった。
「Google Driveに共有フォルダを作って、そこにGoogleドキュメントを入れたらいいんじゃない? それをZOOMで画面共有すればお互いに見られるよ」
誰かの提案によって、じゃあ次回までに、Google Driveに共有フォルダ作っておこうという感じになった。
私は、あまりGoogle Driveを今まで使ったことがなかったけれど、ファシリテーターだったので、手探りで、フォルダを作り、メンバーのGmailアドレスを聞いて共有することができた。
小さな成長が嬉しい。
そのほかに「今後のやり取りで使えそうだと思う」という仲間の助言があり、「Facebookグループ」も作成した。
それらを準備し、うまくいくだろうかと少し心配しながらも、集まりに臨んだ。
まずは、「フリーライティングとは?」「ティーチャーレス・ライティング・クラスとは?」について復習というか確認し合った方がいいだろうと思って、こちらの文章を画面共有した。
「書きたいけど書けない」という状態をどういう風に解除していくかを2本柱で説明している。
1.フリーライティング
2.ティーチャーレスライティングクラス
この2つを往復する。
フリーライティングとは、自分が思っていることを文章にする前に、自分の頭の中をそのまま外に吐き出すという技術的な方法のこと。
それをすることで、普段なら自分で検閲して「これはいらない内容だから……やめよう」「うまく言えなかったから戻ろう」などと、今書かなきゃ止まってしまうみたいなことを防ぐ事ができる。
これは「書く段階と編集する段階は完全に切り分けよう」という思想に基づく。
もう一つ(ティーチャーレスライティングクラスのこと)は、書く内容に無駄なものがあるかどうかを自分で判断せず、その後ティーチャーレス(ライティング)クラスで持ち寄った時に、相手からのフィードバックによって決定すればいいのでは? という感じで、自分の頭にかける負担を減らすために採用されているテクニック。
これはティーチャーレス(ライティング)クラスという同じ立場、水平な立場の書き手同士のグループの中に持っていって、フィードバック、つまり、評価ではなく、いいとか悪いとかではなく「自分にとってこの文章がこういう風に響きましたよ」という風に、他人じゃないとわからない実際の言葉のリアルな響きを交換する。
これを何回もやっていくと、初めは自分がなんで書きたかったか、なんで書けなかったかも含めてぼやけていたものが、だんだんとクリアになってくる。
初めとは書く目的が変わっていったり、書く対象が変わっていったりする。
原書のタイトルが「ライティング ウィズアウト ティーチャーズ」となっているが、この先生というのは象徴的な存在で、何か人からテーマを与えられるとか採点されるというのをはずして、自分の中から巻き起こっているものを外に出すプロセスで読んでもらいながら磨きあげようっていう内容になっている。
インタビュー」【本チャンネル】の動画内の岩谷聡徳さんの発言を文字起こししまとめたもの
上記は、監訳者の岩谷聡徳さんが「言葉と自分の関係を取り戻すー『自分の「声」で書く技術ー自己検閲をはずし、響く言葉を仲間と見つける』(英治出版株式会社)監訳者・岩谷聡徳さんとプロデューサー・上村悠也さんインタビュー」という【本チャンネル】の動画の中で、簡潔に伝えてくださっている言葉を文字起こし、まとめたものだ。
動画はこちら。
こちらの動画は、本の紹介の動画だが、書籍のエッセンスがギュッと詰まっていてわかりやすいので、書かれている骨子を思い出すためにとてもありがたいなと思って時々拝見している。
書籍の内容が気になっている方には、まず、これを見ることをおすすめする。
さらに、書籍のP.137、P.258、259を確認し合った。
「書くことが見つからず立ち往生している人へのいくつかの提案」
(中略)
物語、映画、写真の中の登場人物や物について書こう。
大事な手紙を書こう。定番は親に文句を言う手紙。あるいは感謝の手紙。
自分にとって重要だが定義しづらいものを定義してみよう。
(以下略)
読み手へのアドバイス
・作品をしっかり読む機会を確保する
・読み手がひとりずつ反応を伝えるか、同時に伝えるか
・他の人の反応に対して争わない
・パートごとに反応を伝える
・間違っている反応というものはない(「スタイル」と「中身」、風変わりな反応、アドバイス、評価、理論、的外れな反応)
・間違った反応というものはないにしても、よく読む努力をしよう
・反応を伝えたくない場合もある
・あなたは常に正しく、常に間違っている
反応を聞く書き手へのアドバイス
・黙って耳を傾けよう
・読み手が話すことを頭で理解しようとしない
・ただし、読み手が「どのように」話しているかは理解を試みよう
・読み手に言われたことを拒絶しない
・読み手が反応を伝えるのを止めないように
・とはいえ、読み手のいうことを支配されないように
・欲しいものは求めよう、ただし教師のように振る舞わないように
・あなたは常に正しく、常に間違っている
今回必要と思われる、共通理解事項を確認し合って、いよいよ「10分間のフリーライティング」を開始した。
「Google Driveに共有フォルダの中にそれぞれ新規のGoogle ドキュメントを作成し、10分間、時間を測って書いた。
さて……。
その後、お互いに、読み上げ、「アドバイスではなく、どう感じたかを伝えること」を意識しながらフィードバックをし合った。
プライバシーもあるので、具体的な話は書けないが、4人それぞれ違ったタイプの文章だったのが印象的だった。
ある人は「自己検閲が自然にかかってしまったかもしれない」といった感じで、小説のような先を読みたくなるような出だしを書かれていた。
実際に、結構、考えながら書いたそうだった。
また、ある人の文章は、リズムを感じるような、詩のような文章にも思われた。
普段考えていることで、仲間と語り合っていることを書いたと言われていた。
知らずしらず、人に伝わるような文章が自然に出てくるようになっていたのかもしれないと感じた。
まさに、頭の中で、今、考えているような、自己検閲はずしたような感じで書かれた人もいた。
とてもいいなと思ったのが、最後の方で、その人が、本当に言いたかったのかもしれないなと思われる言葉が出始めていたことだった。
私は、半年前に亡くなった父に向けた手紙の形で書いた。
直前まで、何を書こうか全く決めていなかったが、「書くことが見つからず立ち往生している人へのいくつかの提案」の中に「感謝の手紙」とあったので、今回はこれにしようと思ったのだ。
父に話すように、自然と頭に浮かんが言葉をタイピングした。
自己検閲をはずしているようで、やはり、読み手である父をイメージし、伝わるように書いていたから、本当に素直な文章ではないかもしれないとも思った。
それぞれ、前向きにフィードバックし合いながら、書き手本人が「実際にフリーライティングをしてどう思ったか?」についてもシェアし合えたこともよかった。
思ったよりも自己検閲が入っていて驚いた、とか、もっと書きたくなったなどいろいろあったが、それぞれ、書いてみてわかったことがあるのがとてもいいなと思った。
最後に「来月は、どういった形で行うか」について話し合った。
「グローイング」や「クッキング」をしてみようか? という話も出たが、「そもそも、グローイングをよくわかっていないから、それについて、みんなで話したい」という意見が出て、みんな賛成した。
ということで、次回は「グローイングについて書かれた、書籍の第2章を読んでくること、余裕があれば、それに基づいて文章を書いてみること」というテーマになった。
そして、次回は他の方にファシリテーターをやっていただけることになり、とてもありがたく思った。
書籍には、毎週一回集まって「ティーチャーレス・ライティング・クラス」を行うように書かれているが、私たちは、自分たちのペースで、納得しながらやろうということになっている。
成長のスピードはゆっくりかもしれないが、「たった今感じたこと」を伝え合える素敵なメンバーで行えていることがとても嬉しく感じる。
「知っていると、できるは違うんだな」と思い、体験の大切さを改めて感じられた充実した時間だった。
来月も楽しみだ!