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杉田陽平展「その色、空から舞い降りて。」を拝見しに、福岡へ
2022年8月17日から23日に福岡の岩田屋本店で開催されていた、画家で現代美術家の杉田陽平さんの個展「その色、空から舞い降りて。」へ伺ってきました。
※この文章の全体は、個人的な旅行記になっているので、もし杉ちゃんの個展の様子が知りたい方は、太字の部分だけ読んでもらえたら個展の様子がわかるかと思います(^-^)
日曜日の早朝に東京の自宅を出て飛行機に乗りました。初めての宿泊をともなう趣味の遠征でもあり、そういった意味でも感慨深かったです。
とても素敵な展示だったので、記憶が残っているうちに思い出に文章に残しておきたく、書いています。
約1週間の個展開催期間中の土日の8月20日と21日に杉田陽平さん(杉ちゃん)は在廊されて、10時から17時まで約1時間ずつ何名かのグループに分けて、「杉ちゃんとお話したいファンの方々と交流する時間」を作ってくれていました。そのチケットは事前予約制で、土日とも、お昼の時間帯はライブペインティング付きでした。
九州での初開催の個展が8月にあると知ってから、行きたい気持ちと、でもさすがに遠いから難しいよなあという気持ちを行ったり来たりしていました。
家族に相談することも躊躇していたのですが、もし行くとしたら、チケットを取らないと、せっかく行っても杉ちゃんと話せない可能性もあるとわかったときに、家族に「できたら福岡の杉ちゃんの個展に行って作品を生で見たいんだ」という気持ちを思いきって伝えました。すると、旦那も息子も「えー福岡?」とびっくりしながらも「いいよ。楽しんでおいでよ」と言ってくれて嬉しく有り難かったです。
家族に感謝しながら、飛行機と宿泊を手配し、21日日曜日のライブペインティングのチケットを申し込んだら、どうにか取れてホッとしました。それが8月3日のことです。
それより少し前の8月1日に、岩田屋本店さんのサイトに杉ちゃんの個展の特設のページがオープンしました。個展の詳細と、杉ちゃんの在廊日に確実に会えるチケットの予約、そして、作品の抽選に応募する方法などが載っているものでした。
杉ちゃんの個展の作品の購入方法は、その個展によって違うようだと、ここ2年ほど個展を拝見する中でわかってきたのですが、今回は、全作品とも、オンラインで抽選の申し込みをする形でした。
作品は、段階的にアップされていましたが、中2の息子と一緒に鑑賞し、お互いに好きな作品や好きな理由を言い合ったりしました。その時間もとても楽しかったです。
そうこうしているうちに、個展の初日が訪れました。
東京で個展が開かれるときには、できるだけ初日に伺いたいと思って、行けるときは行っていたのですが、さすがに今回は遠方のため何回も気軽に行けず、どんな感じなんだろう? と、想像しながら過ごしていました。
そんなときに、九州にお住まいの杉ちゃんのファンの方が、素敵な個展の写真をSNSでシェアしてくださって、本当に嬉しかったです。
作品の画像も全部HPで見せてもらって、個展の展示の様子も少しわかっても、というか、様子が少しわかったからこそ、さらに、その場に早く行きたいという気持ちが湧き上がってきました。
出発の前夜、早めに布団に入ったのですが、なかなか寝付くことができませんでした。仮眠を何回かに分けてするような感じで睡眠をとり、4時過ぎに起きて準備しました。
最近、洗濯の仕方を覚えた息子が、私の旅行期間中はやってくれると申し出てくれたので、大変助かりましたし、食事のことは旦那に任せて、丸2日間主婦の夏休みをもらったような感じでした。
ところが、ライターの仕事のスケジュールが当初の予定とズレたことによって、福岡でも作業しないと締め切りに間に合わないというちょっと厳しい状況に!
とはいえ、健康でこの日を迎えられたことに感謝をしながら、空港へ向かいました。
飛行機の乗り方ってどんなだったっけ? 空港のどこの駅で降りればよかったっけ? とわからなくなるほど、本当に久しぶりの飛行機でした。前回いつ乗ったっけ? と思い返してみたら、結婚して一年後に行った新婚旅行以来でした。実に16年ぶり。
どうにかこうにか飛行機に乗り込んで、いざ出発と思ったら、しばらく待たされました。
どうやら、預けては行けない荷物を預けてしまった人がいたらしく、その回収に時間がかかっているようでした。
私も、周りの人たちと同じように涼しい顔をして過ごしていましたが、内心、ホッとしていました。というのは、ライブペインティングの時間に少しの余裕を持った時間の飛行機を選んでいたからでした。これがギリギリだったら、穏やかでいられなかったかもしれません。やはり、念のため、余裕を持って、というのは大切なことだなと思いました。
ようやく滑走路に移動し、離陸を始めた飛行機の中で、気づいたら私の目から涙が流れていました。
その理由を、今も、正確にわかっていないのですが、杉ちゃんの個展が九州で無事開催されていること、その個展にこれから行くことができること、杉ちゃんご本人と久しぶりにお会いできること、作品を見られること、わざわざ遠くまで作品を見に行きたいって思えるほどの芸術家の方に出会えていること、自分の行動力、周りの人たちへの感謝など、とにかく「今」に感動し、感謝の気持ちでいっぱいになって、しばらく涙が止まりませんでした。
飛行機の中からソワソワして、仕事も少ししかできなかったのですが、福岡空港について、地下鉄に乗って、天神駅のすぐ近くの岩田屋さんの前に着いたとき、急にドキドキしてきました。
「本当に福岡に来たんだわ。私」
予約していたライブペインティングまでにはまだ時間があったのですが、ちょっとだけお店の中を覗いてみたくて、正面玄関から入ろうと向かうと、ガラス越しに杉ちゃんの個展のパネルや作品が見えました。もう早い時間のイベントは始まっていたので、杉ちゃんとお話しようと並んでいる方々の姿も見えて、その先頭に杉ちゃんがいらっしゃいました。
個展のブースを囲うように線が張られており、その内側のみチケットを持った人が行き来して大丈夫で、その外側は立ち止まらないように、となっていました。
なので、後でゆっくり見せていただこうと、作品も横目でちらっと拝見しながら、一度その場を去りました。
写真では拝見していたものの、岩田屋さんの正面にはいってすぐ目に飛び込んできた光景はワクワクする物でした。
お店でも特に目立つこの場所に繰り広げられた杉ちゃんの世界は、開催を知らずに訪れたお客さんでもハッとして、思わず立ち寄りたくなるような存在感だったのではないでしょうか。
限られたスペースの中で「こっちにはどんなものが飾られているのかな?」と思わず回り込みたくなるような、ちょっとした迷路というか隠し扉のような展示で、それがまたよかったです。
時間まで、天神の街を少し歩きました。カフェに入ってコーヒーを一杯飲んでからライブペインティングを拝見しに個展の会場へ向かいました。
ギリギリにいったほうがいいのか、少し前にいった方がいいのか迷いながら5分くらい前に着いて係の人に声をかけたら、少し離れたところにできていた列に案内されました。そこにはもうすでに何名かの方がいらっしゃいました。みなさん、さすがの早め行動!
時間になって、入り口でチケットをチェックしてもらって中に入りました。並んでいる作品も見たいのですが、まずはライブペインティングを拝見せねば!
しばらくすると、おもむろに、杉ちゃんが奥から現れました。
「わざわざアプリを入れてチケットを取って来てくれて本当にありがとうございます。とても嬉しいです」というようなことを、少し恥ずかしがりながら話してくれた杉ちゃんに、みんなもなんとなくおじきをしてライブペインティングが始まりました。
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動画をずっと撮りながら見ている方もいらしたし、何も撮らずに杉ちゃんの手元をじっと見ている方もいらっしゃいました。私もずっと動画を撮りたかったのですが、スマホのストレージがいっぱいでそれが叶わず、短い動画を撮ったり、写真を撮ったりしながら拝見しました。
何を描くんだろうって思っていたら、もうすでに虹の絵の描いたキャンバスが壁にかかっていて、そこに鉛筆で杉ちゃんが時折宙をみて何かを考えながら下書きのようなものを描き始めました。
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その後「ちょっと腰が痛くなっちゃうので、下におろして描きますね」と言ってから、床に置いて白い絵の具をキャンバスの上に置いていきました。
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下書きの時はなんの絵かまだわからなくて、勝手に「鳥かな?」と想像していたのですが、白い絵の具が置かれていくと形が馬のように見えてきました。その後、緑やピンク、黄色、青などさまざまな色が置かれていって、ユニコーンだとわかりました。
絵の具が足されてどんどんユニコーンが浮き出てきたように見えて、魔法のようだと感じました。
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最後に、出来上がった絵を支えながら、右手で杉ちゃんポーズをしてくれました。ちょっと恥ずかしそうに俯きがちだったのが印象的でした。
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そのあと、杉ちゃんの展示されている作品を見せてもらいながら会場をぐるっと回ったり、杉ちゃんとお話をしたりできました。
個展の立派なパネルも作られてて、今回の個展の展示の仕方がすごく素敵だと思ったとか、赤富士の作品と、格子模様の透明の花瓶の作品が特に好きだとかそういった感想を伝えたりしました。
今年の2月から3月にかけて、渋谷パルコで行われた個展「曇り空の中にどこまでも鮮やかな色を探して」の特装版画集を持っていって、その白いページに「福岡に来た記念に何か描いていただけたらありがたいです」とお願いしたら、赤富士の作品に似たイラストを描いてくれてとても嬉しかったです。
もっとたくさんお話ししたかったけれど、みんなも同じ気持ちだと思ったので「また夕方に来ます」と言って、そのあとは作品をじっくり拝見しました。
写真ではわからなかった、ここにラメが入っているんだとか、泡っぽくなっているな、花瓶の透明な感じが表現されてて素敵だなと気づいたり、色の美しさや絵の具の質感に見惚れたりしました。
楽しすぎて、あっという間にイベントの時間は終わってしまいました。
そのあと、ホテルにチェックインしようと思ったのですが、チェックインできる時間まであと1時間ほどありました。
どうしようかなと思っていたら、目の前に、私が6年くらい前に大変お世話になっていた天狼院書店が現れたのです。
地図で近いとは知っていたのですが、これは、ここに入れってことじゃないかしら!? そう思うって、福岡天狼院へお邪魔しました。
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ちなみに、私がお世話になっていたのは東京の池袋にある天狼院書店で、当時から福岡と京都にも店舗がありました。今では、土浦、湘南、心斎橋、名古屋などにもあり「本のその先の体験を提供する書店」としてユニークで活気のある大人気の書店です!
ライティングゼミで受講生として大変お世話になり、また1年半という短い時間だったけれどパートで働かせてもらったときに、同僚として仲良くしてくださった川代紗生さん考案の「元カレー」を実は初めて食べました!
美味しいとは聞いていたのですが、想像以上に美味しかったです!
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当時、オンラインで繋がった画面上で拝見していた福岡天狼院はこうした場所だったのか! と感慨深く、旅の思い出がもう一つできたことを嬉しく思いました。
そのあと、ホテルにチェックインし、少し仕事をしたあと、もう一度岩田屋本店さんに向かいました。
杉ちゃんとお会いできるチケットを持っている人は17時までで、それ以降は、チケットがなくても自由にお話しできると聞いていました。
お昼に一回話したし、混み具合によってお話しできないかもしれないけれど、もし杉ちゃんともう一度話せたらいいなと淡い期待を持って行ったのですが……。
17時少し過ぎに着くと、もうすでに人でいっぱいでした。
さすがにゆっくり話はできないような状態、というかそもそも話す順番が来るのかなという感じ。
でもな、挨拶くらいはしたいなと思っていたら、写真を撮る列が自然発生的に現れたので、並ばせてもらいました。
そして「改めまして、個展の開催本当におめでとうございます。お気をつけてお帰りくださいね。これからも応援しています」というようなことだけ伝えてその場を去りました。
その後、夕食を買いに岩田屋さんの地下へ行ったのですが、そこで、聞いたアナウンスに感動しました。
なんと、館内放送で、杉ちゃんの個展の紹介がされていたのです!
細かな内容は覚えきれていないのですが、特設HPに書かれているような素敵な紹介文で確か「画材の持つ可能性を最大限に活用した表現で、抽象画や具象画など幅広く、、」とか「バチェロレッテにも出演し、、」とかすごく丁寧な説明だったと思います。なんかとても嬉しい気持ちになりました。
その後、ホテルに戻って仕事をしました。
翌日帰る前にもう一度展示を見せてもらおうと心に決めながら……。
その夜、杉ちゃんが東京に帰る飛行機から撮った動画をインスタのストーリーにあげているを見ました。無事に帰れたようでよかった。
翌朝、チェックアウトギリギリまで仕事をしてから、前日長蛇の列のため並ぶのを諦めた「博多ラーメンshin shin」にリベンジしてみようと思い向かいました。
開店11時少し過ぎに行ったら、店頭には、4組くらいしかお客さんが並んでいなくてラッキーでした。後ろを振り返ると、ものの15分くらいで、行列は20メートルくらいになっていました! 大人気店!
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ラーメンは想像以上に美味しくて、思わず、店頭に売っていたお土産の麺を買って帰りました。
その後少ししてから、岩田屋さんに個展の見納めに行きました。
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前日見切れなかった作品を中心にじっくり見せていただけてよかったです。
スタッフさんに、展示やアナウンスがとてもよかったこと、昨日のイベントでは大変お世話になりましたとお礼を言ったりしました。
岩田屋さんの杉ちゃんの個展のチラシというか印刷物もとてもよかったです!
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最後に杉ちゃんが福岡を出発する前にパネルに書かれたというサインと一緒に写真を撮ってもらって、個展を後にしました。
本当に福岡に来てよかったと思いました。
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たまたま東京に住んでいるから、今までたくさん杉ちゃんの個展に行けていたことに改めて感謝しつつ、遠くに思い切って行ったからこそ感じられるというか、移動距離に比例した感動の助走というかなんというか、そういったものを感じたりもしました。
またこれは個展の度にですが、ファンやお客さんの数だけ、一人ひとりと杉ちゃんとの関係性があって、その数は一般の人とは比べものにならないくらい多いだろうし、多種多様だろうし、いろんな形や色があるんだろうなって思うんですよね。
芸術家の方ってそれだけ多くの人の深い部分に大切なものを届けるお仕事をされているというか、素晴らしく素敵なことだなと感じます。
その交流の断片を、個展の会場にいると垣間見れて、それにもなんか感動させてもらっています。
その中の一つである、私と杉ちゃんの間にも、私にとってかけがえのない関係性があって、作品に心を惹かれて素敵だなと思うことと同時に、視野が広がったり、物の見方が変わったり、自分の新しい面を発見したり、自分の中の厄介な部分も少しゆるせるようになったりしています。
素敵な作品を生み出して見せてもらえるだけではなく、いろいろな気づきをくれている杉田陽平さんを知ることができ、出逢えて本当によかった!
一つの個展が終わると、もうその場に杉ちゃんは居ない感じがいつもしてて、今回もまた同じように、もうここには居ない気がしています。
その先を見つめて進み始めている杉ちゃんが作る新しい世界を、また見せてもらうことを楽しみにしています。