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杉田陽平展「色の雫、形の空、光の線」に伺ったら、今までに聴いた「杉ちゃんの言葉たち」が思い浮かんだ話
2022年10月12日(水)から17日(月)に開催されていた立川伊勢丹創業75周年祭の特別企画 杉田陽平展「色の雫、形の空、光の線」に伺ってきました。
個展の内容については、伊勢丹立川店のサイトに掲載されるとともに、PRTIMESにも載っていました。
https://www.mistore.jp/store/tachikawa/shops/other/other_shopnews/shopnews0050.html
とても素敵な展示だったので、その個展にまつわるイベントの記録と感想を書き残しておきたくなりました。
個展で作品を拝見したり、杉ちゃんがお客さんたちとお話ししている姿を見ながら、ファンになってからの2年間に、さまざまなメディアなどで見聞きした「杉ちゃんの言葉」を思い出しました。
言葉を思い出しながら、杉ちゃんが目指していることや取り組みの理由などに思いを巡らしてたので、それについても書いていきます。
作品よりも先に惹かれた杉ちゃんの「言葉での表現」
現代美術家で画家の杉田陽平さん、杉ちゃんのファンになって2年が経ちました。まだ2年という気もするし、もう2年とも思います。
私は杉ちゃんの作品もとても好きですが、最初に杉ちゃんに惹かれたきっかけは「言葉での表現」でした。
バチェロレッテ・ジャパン・シーズン1で杉ちゃんが紡がれた言葉や雰囲気に惹かれて、その後、ラジオやWeb記事などで見聞きした言葉での表現にハッとし続けたのを覚えています。
最初に伺ったイベントも、杉ちゃんの作品を直接見せてもらえるものではなかったんですよね。「Independent Tokyo 2020」という若手作家の方の展示会で、そのトークイベントのゲストとして登壇された杉ちゃんのお話を聴かせてもらい感動しました。
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個展に初めて伺ったのは2021年の3月でした。その東京国際フォーラムで開かれたアートフェア東京での個展から始まって、今回の伊勢丹立川店までの7つの個展に伺って、杉ちゃんの作品そのものや、個展会場に作られた杉ちゃんの世界観に触れ、芸術家としての杉田陽平さんの魅力にどんどん惹かれてきたのです。
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一般的に、芸術家の方々は「作品」で表現するものなのかもしれないし、杉ちゃんももちろん作品で表現されていて、作品からたくさんのものを感じさせてもらうけれど、「言葉」を聴くことができたから、「作品」を見せてもらうきっかけができたんですよね。
杉ちゃんがバチェロレッテに出てくれて、言葉で表現してくれたからアートの良さに気づくことができたのです。
いろんな怖さを乗り越えてくれて番組に出演してくれた勇気に心から感謝しています。
杉ちゃんの「作品」「活動」「言葉」のどれからも魅力を感じる
いつからか、杉ちゃんから聴いた言葉の意味を、杉ちゃんの作品や個展、その他の活動などの行動を通して理解しようとする、といった感じになってきました。
今回の個展「色の雫、形の空、光の線」の感想を書きながら、「杉ちゃんに聴いた言葉の意味はこういうことだったのかもしれない」、「杉ちゃんの活動の意味合いはこういうことかもしれない」と感じた気づきも書いていきます。
杉ちゃんが卒業された美大は、東京都小平市にある武蔵野美術大学で、その隣の立川市は、20代の杉ちゃんにとって思い出深い地であると知りました。
そのこともあり、杉ちゃんが20代を振り返りつつブログを書かれたり、ISETAN 伊勢丹公式チャンネルでの杉ちゃんのインタビュー動画の中で、立川での思い出を語られています。
ISETAN 伊勢丹公式チャンネルでの杉ちゃんのインタビュー動画はこちらです↓
この動画は個展会場でも流れていたのですが、伊勢丹立川店の屋外ビジョンにもその一部が映っていました。何分間隔で流れているのかわからないのですが、運良く見られて嬉しかったです。
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今回の個展で、実は、私にとって残念だったことがいくつかありました。その一つが、「FMたちかわ☓伊勢丹立川店スペシャルDJイベント」に、スぺシャルゲストとして登壇された杉ちゃんのお話を聞けなかったことです。
イベント名に「FM」と付いていたので、ラジオでの配信だと思い込んでいました。しかし、実際は、伊勢丹立川店でのライブだったのです。いわゆるトークイベントだと知っていたら店舗に伺っていたのに、とがっかりしました。1時間ものお話を聴くことができず本当に残念でした。
それともう一つ残念だったのは、初日に行われたイベントに抽選で外れてしまい参加できなかったことです。そのイベントは、廃棄される車のエアバックを利用して作成されたエコバックをキャンパスに見立ててその場で杉ちゃんが絵を描いてくれるライブペインティングでした。とても素敵な企画だったので私も購入させてもらいたかったです。
そんなある意味、個人的にショッキングなスタートではありましたが、作品を見せていただくことを楽しみに初日の夕方に会場へ向かいました。
杉ちゃんは、個展を「ライブ活動」のように考えているらしい
会場に着くと、とても広くてびっくりしました。催物場の左半分が杉田陽平さんの個展になっていて、右半分で「Tachikawa Art Break 2022 ST」という、多摩地域の美術大学生の作品展と「伊勢丹立川店と、立川の歩み展」が開催されていました。
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作品と作品の間隔が広くて最初は戸惑いましたが、むしろ一つひとつの作品とじっくり向き合って味わえると感じ始めると楽しくなりました。
杉ちゃんは、いろんなタイプの作品を制作されるので、入り口から入って作品を見ながらぐるっと一周回ると、それぞれの作品から違った刺激や感動がもらえてとても楽しいなといつも思います。
杉ちゃんは、このようにタイプの違う作品を作ることを「一人で遊園地を作っている感覚」と表現していたのがとても印象的で覚えています。ディズニーランドって言ってたかもしれません。
それからいつかのラジオで話してくれていましたが、杉ちゃんは、個展を、音楽で言うところのライブ活動のように考えていて、できるだけ、いろんなアートに興味がなかった人でも個展に足を運んだ甲斐があったなと思ってもらえるように工夫しているそうです。
だからこそ、ときには個展のタイトルをみんなで決めたり、作品の前で一緒に写真を撮ったり、作品を買うのを迷っていたら、相談に乗ったり、解説をして、アートの面白さに気づく種を撒く活動をしているということなんですね。
最初は、アートの本質がわからなくても、作家さんと一緒に写真を撮ることがきっかけで、後でだんだん、作品に惹かれる理由を考えたり、わかってきたりすることもあるかもしれないと。
どうしてそういうことをしているかというと、いい作品を作ることも大事だけれど、それと同じくらい、現代アートが楽しいんだ、面白いんだ、エキサイティングなんだって伝えることも大事で、2つの軸の努力が必要だと思っているからなんだということもラジオで言っていて、だからこそ、杉ちゃんは、アート以外のことも積極的に頑張っているんだということも伝わってきたのを思い出しました。
自分自身の充実をもっとも大切にしているのかもしれない
こんなことも言われていましたね。
“時には、誰よりもうまく描きたいという場合もあるし、斬新さに特化したり、コンペのように競争の場合も、何か新しいことをするためのきっかけとなる実験的な作品をやったりする場合もある。
そのとき大切にしているのは、単調になって自分が飽きないように、フレッシュな気持ちで楽しんで、その場その場で全力投球でやること”
この言葉から、杉ちゃんは、本当に自分自身の満足感というか、充実を大切にしているのかもしれないと感じました。その杉ちゃんの感動や楽しさが絵画の画面に現れて、観るものに伝わってくるんですね、きっと。
作品を拝見していると、絵の具そのものの美しさが伝わってくる作品もあれば、遊び心が感じられるもの、物語が始まりそうな作品、今にも動き出しそうな立体作品などいろいろあって、本当に楽しかったです。
それから、今回の展示はなんとなく、淡いピンクの作品が多かった気がして、展示を思い返すと、作品のピンクが繋がって、個展自体が一つの作品のようにも感じられました。
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私は、抽選で外れてしまったのですが、エコバックを杉ちゃんが描いてくれるイベントの終わり頃に伺い、少しだけですが、杉ちゃんが描かれている姿を見せてもらいました。
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お客さんの希望を聞いて、ササっと描き始めるのは本当にさすがだなと感じました。早い時間に描いてもらった方の作品も乾かすために会場にいくつか残されていたので拝見できました。それぞれ違った絵が描かれてて、素敵だなという気持ちと、羨ましい気持ちが入り混じりつつ眺めていました。
イベントの後、自然発生的に列ができました。杉ちゃんは一人ずつ丁寧にお話をされていたので少し待ちましたが、私も、杉ちゃんとお話ししながら、画集にイラストとサインを書いていただくことができ、好きな作品の前で写真を撮ってもらえてとても嬉しかったです。
そんな風に、私に対してもそうしてくれたように、杉ちゃんが一人ひとりのお客さんやファンの方々との会話を大事に丁寧にされている姿を見ながら、思い出した話があります。
「何気ない一人ひとりが宇宙を作っている」
有名な話かもしれませんが、杉ちゃんは、もしプレゼントをくれるとしたら、絵の具をくださいとブログなどで言っていますね。自分では買わないような絵の具をもらって、それを使って新しい作品を描くことで、お客さんは作品を直接作るわけではないんだけれども、間接的に一緒にその作品作りをしていく、未来を作っていく、同じ作り手になっていくというのがすごい大事なんじゃないかなって思っているから、ということなんですね。
作品を買うという形以外での関わり方も大事にしてくれてるから、関わりのハードルを下げてくれてて、温かく優しい取り組みだなと感じています。
あと、これは、今年の2月にあった渋谷パルコでの個展のときに、YouTuberの佐々木あさひさんの動画で杉ちゃんが、作品の解説をしてくれていたときの言葉なんですが、杉ちゃんがたくさんのお客さんとお話ししている時に思い出したことがあります。
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(sasakiasahi YouTubeチャンネル)より
それは、当時、出品されていた、枠が宇宙で中にチューリップの作品があったのですが、そのときに「宇宙の中に自分がいるという作品」をしつつ、こんな説明をしてくれたことです。
“個展などで、いろんなお客さんと話していると、その人の向こう側に、その人が体験してきたことや過去や、これから訪れる未来にどんなことがあるんだろうと想像する。
そして、今、その中に自分がいるんだ、と思うことが多い。
なので、これは、その「お客さんの宇宙の中に、自分がいる」という作品。
何気ないことや何気ない一人ひとりが宇宙を作っているということ”
それに対して、佐々木あさひさんが、「杉ちゃんの世界線があって、私の世界線があって、それが交わっているって奇跡的なことですよね」と素敵に受け取られていたのも良かったなと思い出しました。
私自身の個展の思い出は以上ですが、もうひとつ、今回の個展には素敵なイベントがありました。
それは、杉ちゃんが6人のお子さんと一緒に作品を描くというイベントです。
事前に募集し、当選した小学生のみなさんと杉ちゃんがどんな風に作品を作られたかについては、杉ちゃんのインスタグラムの投稿に丁寧に書かれていたのでそのリンクを貼らせていただきます。
それを見て、とても素敵な取り組みであり充実した時間だったんだなと感じました。それと同時に、「大人が杉ちゃんと一緒に作品を作れるイベント」もあったらいいなって思いました。
大人こそ、内に眠っている子ども心を呼び起こし、杉ちゃんと自由な絵を描かせてもらえたらどんなに素敵だろうって思います。自由に描くというのが大人にとっては本当に難しいことだとは思うのですが……。
杉ちゃんがアーティスト仲間のことを大切に考えていると感じた話
杉ちゃんのファンになって、たくさん言葉を聴かせてもらい、作品や取り組みを見せてもらって、杉ちゃんが、本当にお客さんやファンの人、あるいは、まだアートに興味のない人たちのことを大切に思ってくれていることが強く伝わってきています。
けれども、杉ちゃんは、一般の人たちのことも考えている一方で、実は、アーティスト仲間のことも本当に大切に考えているんだなってすごく感動したこともあるんです。
それは、大阪心斎橋の個展のとき、2022年6月12日のFM大阪のラジオ「それU.K!!ミライbridge」で話されていたことでした。
確か、杉ちゃんが、目指している取り組みについて話してくれてて、国民的な画家になりたいっていうことを言っていたんですよね。
それまでも、杉ちゃんから、国民的な画家になりたいという話は聴いていたけれど、杉ちゃんがアート界でどうしていきたいのかという思いが聴けて感動したんです。
それはこんなお話でした。
「美大を出て、フルタイムアーティストになる人は物凄く少ない。何年かに1人。いい絵を描いていても売れるとも限らない。売れる努力をしたり、そういったセンスがあっても作品がいいとも限らない。タイミングがあるとも限らない。ということは、いろんな人、親や、いろんなご縁などのいろんな奇跡みたいなものがあって、今自分がここに居られると感じている。ほとんど運みたいなもの。
それを痛いほど知っている。
運が悪くてたまたま売れない友人を知りまくっている。
そういう人たちがなんで売れないかというと、尖ってて、研究者がヤバいよと言っているのをやるから、世間的には早すぎて受け入れられないというのも結構ある。
その人たちが売れるには、充実するにはどうしたらいいか?
ヒカキンさんが「誰も傷つけないということ」をやることによってYouTubeが流行り、トゲトゲしている人も流行る。メジャーな音楽が流行るからこそ、インディーズが盛り上がる。
そういう状態にアート界をしたいので、例え『誰も傷つけない』『綺麗事ばっかり言っている』と言われたとしても、僕はあえてしている」
杉ちゃんが、国民的画家になろうとがんばられているのは知っていたし、アート界を盛り上げようとしているのは知っていたけれど「国民的になる」ってことは、そういう矢面に立つことでもあるんだなってそれまで気づけてなくて、そのときすごく感動したことを覚えています。
これが、杉ちゃんの強さと優しさの理由のひとつかもしれないと感じました。
「現代アートの良さは作家が生きていること」
2年間、杉ちゃんが言うところのいわゆる「ウォッチ」をさせてもらって、杉ちゃんについて理解が深まった気もするし、でもわかりきれなくて、新しい一面を見せてもらっては、びっくりしたりして楽しませてもらっています。
人間だから完璧ではなく、だからこそ、魅力的なんだなとも感じています。
“現代アートの良さは作家が生きていること”
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これは、杉ちゃんのファンになりたての頃に聞いた、印象的な言葉のひとつです。
作家さんには、いいこともそうでないこともきっとあって、その中で制作されて見せてくれるものに感動したり、作家さんの取り組みに一緒に参加できることも嬉しい。
そして、それと並行して、自分も泣いたり笑ったりする人生を歩んでいる。
それが時に交わり合って、会話をしたり、気づきをもらったりと、なんだかとても贅沢で素敵な時間を過ごさせてもらっているんだなと改めて思います。
作品自体からの感動と、こうした取り組みを見せてもらうことと、どっちも私は好きです。
次はどんな杉ちゃんの世界を見せてくれるんだろうかと、とても楽しみにしています。
ちょっと書くつもりが、長くなりました。
長文を最後まで読んでくださりありがとうございました。
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