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12月のテーブル(maya)



孤独な優しさ



波が海の上を滑り、波の音が岸に触れて大きくなる度に、どうしてか衣が擦れ合う、耳元でする人の気配に聞こえるのです。


漁火も星空も月も誰かが灯して、自分がここに居たことを、僕に教えようとしているのじゃありませんか?



だってこんなにも心動かされるんですもの



僕は明るい好ましい場所に行きたいです。

あなたが灯しておいてくれた、灯りを見に。


僕はいつも誰かになってしまう。

最優先するのは誰かの感情。

役割が終わればハリボテを脱いで、唯の僕になる。


好きが度を越してぺしゃんこに押し潰されたかつて僕だった僕も、今では優しい声になった。


僕の暗闇は僕を隠し守る為にあったのかな。


自分の為に灯す光で、あなたを温められるかな。


僕が僕の為に灯した灯りで照らす海は

今毎に死んで生きてを繰り返してる。


航路は切り替えた。

高く、空へ。


先へ。




唯まだ僕は、


星の橋を渡りながら


海に落ちて溺れてしまいたくなるのです。



息が止まるくらい自分を壊してしまいたくなるのです。


自分がいなくなった世界が、何の問題もなく、流れていくのを素粒子になって眺めたいと…バカですよね。


そんなことがなんの役に立つんでしょう?


忘れてください。



その代わりに、


この道が何処に続いているか分からなくて


不安になった時のおまじない。



自分に問い続けてください。


あなたの心が一番知ってる。



私は問いの言葉を


大好きでとっても大切な人から


灯りをいつももらいます。


ありがとう。


忘れないように。


繰り返してる。




何か書いてみませんか?

12/21


文章を書くのは難しいと思う。

一度小説家でもエッセイストでも文章をかける人の頭を覗いてみたい。何処に食堂があってどの辺りに宿があってどっちに異性がいるのか。見取り図や図面をひいてぜひぜひ見せてほしい。


小説でも書いてみようかと出だしを書いてみては一瞬で真っ白な袋小路にぶつかったりする。ここ一週間はそんな感じだ。

猛烈な勢いでタイピングしエンターキーを弾いたところで、私の中に物語を作る為の何かが決定的に欠けている。

沢山本を読んで感性や想像力を磨く必要があるのには一理ある。物語を紡ごうとすると、それを痛感する。私はそれ程多く本を読まない。


本を人生の中で大量に読むことが出来る君が私は凄く羨ましい。本当に。


書くよりも、読みたいのではと今年5冊目の村上春樹の小説を買う。大晦日に別の本を読んでいる時点で今年中にハルキストになるのは難しそうだ。完全なハルキストはいないからいいんだ。いるとしたら君だと思う。


今読んでいるのは、羊と鋼の森。

森を探して手にした本だと思う。今年の初夏古本コーナーでメエメエ鳴いてたのを雨の中保護したんだ。年内に構ってあげれて良かった。

中の原民喜の文体について、是非君に読んでほしい。君を表してるような気がしない?


読みながら文字を一つ一つ摘んで文章を構築する。ころころ文字が走っていったり、指先まで物語に入り込んだり。黙読している時聞こえるのは誰の声なんだろう。


けして左のページに、作者の名前を書け。とか、僕とは誰のことを表していますか。だの、この時の彼の心情を述べよ。なんて問題文は書いてない。余白は白く、雪原のように静か。


読むのに時間がかかる私を本は待っていてくれる。文字を文字数ではなく、見えない感覚に変換する作業は斜め読みどころか同じ文を行ったり来たりする蛇行運転なので、読書はなるべく周りに人がいないのを確認してから、安全な読書ライフを楽しんでいる。もっと読めたらいいのに。


雪が降っている。

しんしんと。今夜は大雪らしい。

浜辺には雪があまり積もらない。

雪だるまも足跡もない。

雪うさぎ作ろうとしたけど笹がなくて断念した。

山の木が雪を被っている。

白と黒と灰色の世界。


雨の日や、傘の中や、雪の降る中にいると世界と私の間に薄い膜が出来る。その中にいる時間も私は好き。

電車の車窓から見えるものが、唯の名詞になって高速で過ぎていく寂しさに似てる。

旅も好き。


薄い膜が世界の深い所に繋がっている気がする。純粋で、蝶のように美しいんだ。


蝶の飛び回る花畑を、私は言葉にする。

文章を書くのは難しいと思う。

12/31