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《インタビュー》強迫性障害の私が「あまやどり」を立ち上げた理由
【今回インタビューさせてもらった方】
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学生団体あまやどり代表の「ゆき」さん。
高校生の時から「強迫性障害」の症状に悩まされていて、今年で5年目。
現在は大学を休学中で通院しながら、
復学を目指している。
自分と同じような経験をしている人のSNSやブログでの発信を読んで救われたことをきっかけに「精神疾患を持つ人が同じ病気の人の体験談を読んだり、気軽に集まって悩みを相談できる場を作る」のが夢。
▷今日はお話を聞かせていただけるのを楽しみにしています! ただ、インタビューとはいえ、かしこまった感じではなく、雑談っぽく話せたらなと思っています。
質問はいくつか用意していますが、答えたくないものがあればスルーしてもらって大丈夫ですし、『この話ならもっとできる!』というものがあれば、そっちを深掘りしてもOKです。
途中で話がそれたり、ゆるく雑談しながら進めても全然大丈夫なので、リラックスして話してもらえたら嬉しいです!
自分が「強迫性障害」と診断された経緯について
まず1番最初に、高校一年生の時に症状が出て。「これはおかしいな」と思ってお医者さんに行きました。ほんとに、何するにも「こうなったらどうしよう?」って不安が出るようになっちゃって。何もできなくなりました。
お医者さんには「通信制高校に通っていて、時間があるから悩んじゃうんじゃない?」と言われて、その時にすごく傷ついちゃって。それから高校生の時は、お医者さんに通えませんでした。
大学に入ってから、精神科のお医者さんのところに行って「強迫性障害」と診断されました。
病名がついて楽になったこと/辛くなったことはありますか?
んー、辛くなったことはなくて、、楽になったことはたくさんあります。病名がついたことで、自分が「おかしくなかったんだ」ということがわかりました。よくわからない妄想とか、自責思考に取り憑かれていたので。
どんな症状がありますか?その症状は日常生活や活動にどのような影響を与えていますか?
日常生活に関わるものとしては大きく2つあって。
1つ目は「加害恐怖」(高校二年から)。道を歩いていて「ぶつかった人が怪我しちゃったらどうしよう」という不安がある。ぶつかった感触もないけれど、何度も来た道を戻って確認したりしちゃう。
2つ目は「確認恐怖」(高校1年生から。特にひどいのは大学に入ってから)。家から出る時に、発火につながるもののスイッチが切れているか何度もしつこく確認しちゃう。何十回、何百回確認しても、不安になっちゃう。
▷どうやって友達に助けを求めてたの?
助けは求められてなかったです。高校のころは友達にも隠していました。大学に入ってからもっと症状がひどくなって、隠すこともできなくなって、次第にバレていきました。
誰かといたらましになるけど、1人でいた時の方がひどくなりますね。
病気を治そうとすると逆にしんどくなると思いますが、どうやってバランスをとっていますか?
そうですね、、しんどいんですけど、なんていうのかな、。元々不登校で(中学2年生のときに「起立性調節障害」という病気で半不登校)。いっぱい行きたいところもあるし、やりたいこともあるし、それを叶えてやりたい、という気持ちで頑張っています。夜に「ずっと治らないんじゃないか」という思考の沼にハマってしまうこともあるんですけど。
自分なりに工夫していることや、支えになっていることは?
頑張って外に出ようとしています。不安にならすために、外に出るといい、という治療法があって。
(「曝露法」という認知行動療法の技法の一種。苦痛や恐怖に慣れることで、自然に苦痛や恐怖を減らしていく。)
病気が治ったら何がしたい?
一人暮らしが、したくて。ずっと。つつましやかな生活を送りたいです。近くにご飯屋さんがあるとうれしいなあ。
なぜ人を助けたいと思ったのか?
理由はないです。人を助けることは自分のためでもあると思うんですけど。誰かに必要とされたり、ありがとうと言われることで救われたりします。過去の自分を掬い取ってあげたい。昔ちょっとした後悔(他人を傷つけてしまった)があって、それを変えたい、消したいという思い。一種の改心みたいな。あとは、他人に同じ思いをしてほしくないというか。自分の夢とかそういうのよりも、生き方の話というか。
生活の中で孤独を感じることは多い?
朝は結構元気で、夜の方がめちゃくちゃしんどいです。今もぼんやりと死にたいな、と思うときはあります。そう思いながらもなんとか希望(明るさ?みたいなもの)を持って生きている感じがあります。
強迫性障害について、世間の理解はまだ十分ではないと感じますか?
そもそも認知度が低いのかなと思っています。周りに病気のことを言っても「知っている」という人が皆無でした。理解というか、別に何かを助けて欲しい、というわけではないんですよね。認知度がもっと広がったらいいなと。
▷そもそも「強迫性障害」という言葉から病気や症状のイメージが想像しづらいですよね
そうなんです。俳優の佐藤二郎さんも強迫性障害を公表されていたけど、症状もわたしとは全然違う。
「あまやどり」を立ち上げる前はどんなことをしていた?
社会的活動みたいなことは一切していなくて、病院で治療を続けていましたね。病気が治ってきた、ということもあって、noteでずっと体験談を書いていました。強迫性障害の体験談を探したけどあんまりなくて、自分が書いたらみんな読んでくれるんじゃないか、と思いまして。
これから「あまやどり」をどのような団体にしていきたいですか?
そうですね。お医者さんと、自分の気持ちの誤差が患者さんはある。毎回薬を出されるだけとか。その誤差をすごく無くしたいというか。患者さんと医療者をつなぐ架け橋になれたらいいなと。あと、病院に行くだけでは治らない病気もあると思うので。生活の彩りを与えていけたらいいなと。たとえば、強迫性障害だと、私は喫茶店巡りが好きだけど、外出に不安があって。それだけで生活の不安がある。それだったら家で料理をする趣味をつくりませんか、と促してあげたい。
自分にとって「相方」とは?
ゆき: え〜、難しいですね、、、。なんだろうな。私的にひら(副代表)は、1番腹を割って話せると思っています。そういう意味では信頼している。いつも一緒にいて楽しいです。
ひら: 私にとってゆき(代表)は「ただそこにいる」という感じ。ほんと、いてくれるだけでいいというか。
▷代わりがいない。唯一無二。病気を治すのに必要な要素。みたいなものかもしれませんね。
「名前のない痛み」に共感するところはありますか?
私自身生きづらさを抱えていて、「AC(アダルトチルドレン)」とか「HSP」とか「愛着障害」とか。大体当てはまっている(と思っている)んですけど、元々持っている特性とか、家庭環境とか。いろんなカテゴリーを寄せ集めてできたのが私だと思っているので。そこに違和感を持つことはあります。
自分の好きなところ/魅力的なところ
好きなところは、ないです笑 声が幼いと言われることが多いです。たとえば、背が小さいので、バイトでミスしても幼いと思われることが多くて。勝手に新人扱いしてくれるから楽です。
▷大人っぽく見られたい、という気持ちはないの?
昔は思っていたけど、今はそういう気もちはなくなりました。
好きな人/嫌いな人ってどんな人?
好きな人、、そうですね。なんか、依存されるのがあんまり好きじゃないです。自立している人がいいというか。友達に依存された経験があって、私には何を言ってもいい…みたいになっちゃって。だから自立した人が好きな人ですね。好きな人は「おっとりする人」「フォローするのが上手い人」です。たとえば,バイトでミスした時に「それ間違えやすいよね」などと共感しながら対応してくれる人。
▷今そういうひと(ロールモデル)はいる?
いやいないです笑
いたらいいな、とは思うんですけど。
人からどんな性格だと言われることが多い?
よく真面目だと言われます。心配性だとか。
ひら: ゆきは、割と雑いけど、変に完璧主義だから、困ることが多いのかなって。頑張り屋さん。自分をあんまり褒めたりしない。自分の設定するハードルが高いイメージかな。
幼い頃はどんな子どもだった?
よく怖がりと言われてて、何するにも最初からできないって決めつけてて。幼稚園の頃からある。母がよくこれ私はできないからって言ってたって言ってた。とにかく不安になりやすい。とにかく自分に不安になりやすい人生を送ってきた。
今までで1番影響を受けた本や音楽は?
えーなんやろ。色々読んでいるからなあ。1番影響受けた本かあ。なんか,本好きになった理由としては,とある本がつまんなくて,,2回も読んだんですけど。2回も読んで同じ感想になる体験が面白くて,そこから本にハマりました。
いい影響で言えば「嫌われる勇気」あれを読んで他人の距離感が掴めたというか。スラスラ読めてすごく面白かったです。
▷好きな音楽はなんですか?
好きな音楽は「羊文学」です。「マヨイガ」という曲が、1番聴いてホッとしますね。
好きな食べ物/嫌いな食べ物
鯛の昆布締め(正月に出てくるやつ)かな。味がいい具合に塩っ気があってすき。お酒があったら合うんだろうなあって(まだお酒は呑めないけど)。嫌いな食べ物はナスがどうしても無理です(笑)。子供の頃からです。はい、子供の頃からずっとです。
休みの日の過ごし方
お昼まで寝て,,,ひたすらTwiiterを徘徊しているんですけど,,たまに読書しています。
▷どんなキーワードで漁るんですか?
アニメがめちゃくちゃ好きなので,そういうので。
▷Dーアニメストア派ですか?
Prime派です。ネトフリも入ってます。最近配信しているのであれば「チ。-地球の運動について-」ですかね。ヴァイオレットエバーガーデンも好きです。映像がめちゃくちゃ綺麗でしたね。
▷今回のインタビューは、どうでしたか?
ゆき: 読んでいただきありがとうございました。話すことがあまり上手くないので緊張しました笑 あまやどりはまだできてすぐの団体ですが、みなさんの居場所になるように続けていきます!いつでも利用してくださいね。ありがとうございました!
最後に
「あまやどり」という名前には、雨に打たれたときにそっと身を寄せる場所、そんな温かさを感じます。
お会いしたときから「TEARDROPS」という名前とのシンパシー(どちらも雨や雫や水に関係する言葉なので)を感じざるを得ませんでした。
私たち「TEARDROPS」は、メンバー一人ひとりが「涙(tear)のしずく(drops)」であり、それぞれの存在が波紋のように広がっていく。
そして「あまやどり」は、その波紋が届いた誰かが、一息つける場所なのかもしれません。
生きづらさを抱えながらも、それぞれができることをして、少しずつその波紋を広げていく。
ゆきさんと話しながら、そんなことを考えました。
“あまやどり”という場所が、彼女にとっても、誰かにとっても、そっとあまやどりできる場所でありますように。
そしてこの記事が、今読んでいる誰かにとっての“小さなあまやどり”になれたなら、嬉しく思います。
SNSやnote
ゆきさんは、SNSやnoteでも日々のことや考えを発信しています。
また、学生団体「あまやどり」では、精神疾患や不登校に関する体験談を掲載したHPも運営中です。
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