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(Spiral and Hummingbird〜Nazca line on the roof)[1,]
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※イラストはイメージです。題目は本書の遊び紙に記されてる英題より。大抵は日本語がそのまま英訳されてますが、時々ちがうタイトルだったりします(法月先生「カリブ海の薬指」のように)ここでも「monkey」猿ではなく「spiral」渦巻きです……ひょっとして子どもたちそれぞれの思いが「渦巻いて」という意味もあるかも……?
◇ぐるぐる猿と歌う鳥(ハミングバード)
○加納朋子 先生
○2007年
○講談社
○MYSTERY LAND
◇小学5年生の木登り上手なわんぱく少年「高見森(タカミシン)」は父の転勤で東京から北九州へ転校してくる。引っ越した日の夜中、シンは社宅の隣人の佐久間兄弟である身軽で、不思議な感じの兄「パック」と可愛い外見の弟「ココ」と出会う……他にも6年生で登校班長の「竹ちゃん」と4人兄弟、美少女なのに訛(なま)りが強いクラスメイト「十時(ととき)あや」とも仲良くなる◆転校初日、シンはだれも入れないはずの屋上から神出鬼没のパックの口笛を聞いて、彼を探そうと学校の大きな桜の木にのぼる。そこから見たズラリと並んだ社宅の屋根には、なんと「ナスカの地上絵」のような猿(さる)の絵が描かれていた…!この大発見を仲間たちに打ち明け、社宅の屋根を見渡せる近くの小高い丘の頂上へ向かう。
ところが絵は跡形もなく消え去ってしまい……。
{◎著者様は「駒子シリーズ」「ささらシリーズ」他ミステリー作品などで拝読していて好きな作家さんです。ミステリーランドに描きおろし収録されていたので拝読させて頂きました。シンと仲間たちの性格や、コミカルなやり取り、子どもゆえ大人への不満など…面白くて著者様の繊細な描写が「ああ、子どもの時ってこんな風に思ったな」「そうそう似たようなことがあったな」と小、中学生の時の雰囲気を改めて思い出し楽しく読みました◆最初、ぐるぐる猿=シン、歌う鳥=パックのことかな…と思いましたが他にも色々な意味が込められてました……巻頭に書かれてない登場人物もいます◆シンの身の回りで起きる不思議な出来事(図書館の暗号、社宅に出没した幽霊など…)子どもたちで解決して行く過程と、大人には内緒の「共有する秘密」も面白いです◆ミステリー要素は児童文学と、あなどるなかれ。大人が読んでも充分楽しめます。神出鬼没のパックの正体……十時さんは、果たしてシンを助けてくれた幼なじみ「あや」なのか……ラストまで目が離せません。パックの名前は、ひょっとしてシェークスピアの妖精から…?◆巻末には著者様の子供時代の話があり、東京から九州へ引っ越した経緯は「ななつのこ」白いたんぽぽのエピソードをここから着想してるのかなと思いました◆あと…担任の女性教師の「はげしい性格」は、おそらく血の道症からきてるものと思われます。ホルモン不調は依存症と同じように「意志」ではどうにもならない時があり、あの先生は八つ当たりでなく不調を自覚して漢方薬などを飲んで「大人らしく」対処してほしかったですね。子どもは、大人の健康事情なんて分からないのだから……}
***[2025-r7]