さむね

デュエルマスターズ 神化編環境の思ひ出 その2

その1の続き。

神化編はコンボデッキや専用デッキが強く、戦国編のように文明のパワー差を比較する必要性が薄いため、メジャーだったカード・印象深いカードを取り上げる。

《蒼狼の始祖アマテラス》(【エンペラー・キリコ】他)

サラサラロング。31弾発売時、《超銀河弾 HELL》と共に「環境を壊すのでは?」と危険視されていた。
山の中の4コスト以下の好きな呪文・クロスギアを踏み倒しつつパワー5000のクリーチャーが残るという当時としては驚異的なバリューを叩き出す。種族も優秀で《アマテラス》を軸にしたデッキはいくつも考案された。これで《クリメモ》を唱えられたら3弾前のベリーレア《シンカイサーチャー》の立場はどうなるんだという話。
初期型の《キリコ》でも進化元になる上に《フォース・アゲイン》による再展開・状況に応じた呪文打ち分けが可能な点からセット投入されていたが、《母なる星域》が登場してからは「《アマテラス》が出たらゲームが終わる」と手が付けられない強さになった。
当然のごとく神化編終了時に殿堂入りし、その数年後にはプレミアム殿堂入り。調整版達もループデッキに入って環境を荒らした。

《エンペラー・キリコ》(【エンペラー・キリコ】)

ツインドリル。《母なる星域》登場でおかしくなってしまったカード。
《星域》の「ハンドキープの易化と進化クリーチャー早出しを実現」する代償に「種+進化元の2枚分のボードアドバンテージを失う」デメリットが《キリコ》の盤面をリセット・再展開する能力と相殺されるため相性が良く、更に《星域》は《アマテラス》とも凄まじいシナジーを見せる。

《アマテラス》ら周辺パーツと共に殿堂入り。【エンペラー・キリコ】にとっては《アマテラス》規制に比べるとダメージが小さかったが、《キリコ》を複数枚積めるのは単にアクセスが簡単なだけではなく《キリコ》を出した後に《星域》を使って《キリコ》の再展開が可能になるメリットがあった。
《星域》(と《アマテラス》)が無ければ良カードという見方も多かったため、たった1年で殿堂入りしたことに予想外というプレイヤーもいた。なおスーパーレアが登場から1年以内に殿堂入りするのはこれが初。
覚醒編で環境から消えるも、EP1で相性の良いカード群を獲得し再び【ドラキリ】がトップメタへ。最終的にプレミアム殿堂入りする。

《海底鬼面城》(【青単速攻】)

1ターン目から設置できる置きドロソ。
以前よりこのカードを用いた【速攻】は考案されてはいたがパワーに難があり、結局フィニッシャーに《エンペラー・マルコ》を使うのであれば少し速い代わりに弱い【マルコビート】止まりのデッキだった。
神化編で軽量サイバー進化を大量に獲得した【青単速攻】が一躍環境入り。
増えた手札を《パラダイス・アロマ》と《エンペラー・ティナ》で吐き出しビートしていく動きはよく噛み合っており、ハンド・ボード共に隙の無いデッキに仕上がった。
殿堂入り予想には【青単】の展開力を支えた《鬼面城》と《アロマ》が頻繁に挙がったが、実際には《アロマ》と《スパイラル・ゲート》が殿堂入りし、後者に対しては「???」という反応が大勢を占めた。

《聖鎧亜キング・アルカディアス》(【エンペラー・キリコ】【メタネクラコン】他)

単色クリーチャーをロックするカード。「相手に単色生物以外の除去手段を確保させず盤面処理すれば勝ち」と書いてある。刺さる対面は幅広いが戦国編に比べて間に合わないものも多く、早出しよりゲームの詰めに多用された。
神化編中期に《ギャラクシー》と共に殿堂入りし、《キング》をメインに据えたコントロールデッキは打撃を受けた。一方で【キリコ】は《宝箱》でサーチすればいいだけなので支障はなく、1枚制限化は《キング》に弱い【キリコ】にとってプラスにしか働かなかった。
神化編も単色推しのブロックであり、相変わらず防御手段はシノビに掛かる比重が大きく、【キリコ】にもそれをメタったコントロールにも採用され神化編終了時にプレミアム殿堂入り。同時にメジャーな進化元だった《トリプルマウス》の採用率はがくっと落ちた。

《聖鎧亜クイーン・アルカディアス》(【メタネクラコン】【ハイドロ・ハリケーン】他)

それまでの定番の呪文ロックといえば《スペル・デル・フィン》だったが、《母なる紋章》《母なる大地》規制で《デル・フィン》の扱いが難しくなり、呪文メタを貼りたい【エンペラー・キリコ】には《デル・フィン》では間に合わないため脚光を浴びた。
《キング》殿堂入りでデッキ内の多色割合が高くなりすぎる問題が緩和され、メジャーな多色除去呪文の《宝剣》が殿堂入りしたのもこのカードにとっては追い風。
一方の《デル・フィン》もコスト踏み倒しで捲れた際に非常に強力で、【エンペラー・キリコ】などに採用された。

《不滅の精霊パーフェクト・ギャラクシー》(【エンペラー・キリコ】【メタネクラコン】【メタドロマーコン】他)

場を離れない元祖「パーフェクト」。
《エンペラー・キリコ》と好相性で、4枚積んで《キリコ》を何度も出し入れすることで《ギャラクシー》がわらわらの楽しい盤面が出来上がっていた(《星域》と共存できた期間は短い)。
殿堂入り後はやはり【キリコ】に採用され続け、コントロールデッキのグッドスタッフポジションも保ち続ける。
この頃には既に7マナ払ってこれを召喚、という動きのパフォーマンスが怪しかったりする。やっぱり《ギャラクシー》は踏み倒してなんぼのカードだと思う。

《邪神M・ロマノフ》(【M・ロマノフ】)

攻撃時にメテオバーンで火か闇のコスト6以下の呪文をマナから詠唱する進化クリーチャー。
軽減出来るのは1コストだけでセルフランデスになるが、ナイトが召喚酔い無しで攻撃しながら唱えられる点が強力で、相性の良い《ベター・トゥモロー》《憎悪と怒りの獄門》を始め、各KM呪文や《破壊と誕生の神殿》、《大地と永遠の神門》など選択肢は幅広い。
というか、ビートダウン向けの火の5コスクリーチャーといえば《ロウバンレイ》程度だったため単純に既存カードよりスペックが高い。

覚醒編で飛び抜けてハイパワーなホール呪文が多数登場し、それ以前の5コスト以上のカードは軒並み採用率を大きく落としていったが、こちらはホール呪文との相乗効果で更に評価を上げた。

《知識の精霊ロードリエス》(【ハイドロ・ハリケーン】)

ブロッカー化した《ミスト・リエス》。やや重いものの、既存の置きドロソと違い出した段階で1ドローできるのが非常に優秀。
《ウェビウス》をばら撒きつつドローしたり《ハイドロ》や《クイーン》に繋げたりと他カードとのシナジーが強く【ハイドロ】を大幅に強化した主要因。
これが登場したDMC-52の収録カードのうち、パッケージイラストの《エルフェウス》だけ【ハイドロ】に採用されず仲間外れになっているのが悲しい。
《ハイドロ》殿堂入り後も持ち前のカードパワーを活かし【ジェスターソード】【5cロリコン】等のメインエンジンを担うも、おまけのように放たれるブロッカー除去、そして生姜の前に成す術がなかった。

《龍仙ロマネスク》(【エンペラー・キリコ】【ロマネライゾウ】【H(D)M】【リアニメイト】他)

極神編以来、常にメタの一角を占めていたマナ加速ドラゴン。そのパワー故に多くのデッキに採用され、《母なる大地》《バジュラズ・ソウル》殿堂入り以降のデュエマにおいて、コントロールデッキに火文明を入れる数少ない理由の一つになっていた。
《インフェルノ・サイン》殿堂入りで【ロマネスクサイン】は崩壊するが、母なる系呪文と極めて相性が良い性質から今度は《母なる星域》と活躍を始める。
シングルレートは(うろ覚えだが)当時1500円くらいで他の高額SRと大差なかった気がするが、採用デッキが幅広く大抵複数枚投入するためか資産ゲーのイメージが強かった。

《威牙の幻ハンゾウ》(【エンペラー・キリコ】【メタネクラコン】【ドルゲーザ】他)

登場して以来黒+緑基盤のコントロールデッキの攻守を支え続けてきた汎用大型シノビ。「ハンゾウライン」を作り出した張本人。
神化編になってからは急増した【速攻】に対してニンジャストライク7という条件が厳しかったり-6000では届かない大型フィニッシャーが増えたりしたが、その強さは健在。
当時《ハヤブサ》《ハンゾウ》《ジャニット》の三種はシノビの中でも飛び抜けて採用率が高く、多くのデッキの防御手段を担っていた。
覚醒編中期に《ハヤブサマル》と共に殿堂入り。同時期に殿堂入りした《ヘヴィ》もそうだがその頃には環境での活躍の場が減少傾向にあり、専ら被害を受けたのは【シノビドルゲ】【連デモ】等のローグ寄りのデッキだった。

《大邪眼B・ロマノフ》(【B・ロマノフ】)

恐らく同時に登場した《ボルシャック・クロス・NEX》同様シノビに強いフィニッシャーとしてデザインされたであろう大型ロマノフ。Shishizaru絵が格好良い。
使うには基本的に専用構築を必要とするがその分性能は強烈で、《ヴィルジニア》の効果対象なので5マナから出せる。
アタックトリガーの遅さがネックで苦しくなっていたにも関わらず《サイン》殿堂入り・《ソルアド》プレ殿で終わってしまった《ロマノフI世》に代わる新たなリアニメイトデッキとして活躍した。
【除去コン】にとっては《牢獄》か《マリエル》くらいしか対抗策がない天敵。

《停滞の影タイム・トリッパー》(多数)

黒い《青銅》がどうのこうの。
元々【黒ランデス】を中心として採用されることの多かったカードだったが、《ソルハバキ》《ナスオ》《カラフル・ダンス》《母なる紋章(星域)》といったマナ置きでコストパフォーマンスを向上させているカードを弱体化できる点が特に強力で、黒絡みのデッキに盛んに投入された。
【エンペラー・キリコ】にはランデスによる遅延が効果的であり、ランデス特化させなくてもデッキに組み込みやすい疑似ランデスを持っていたことも強みだった。

巡霊者メスタポ(多数)

常識を疑え。
【エンペラー・キリコ】に対する大抵の妨害は《アマテラス》による暴力的な解決力で対応されてしまうためそれを封じ込めるカード。他の妨害手段と絡めて使う。
《ナスオ》《進化の化身》といったサーチで安定化を図る【M・ロマ】にも刺さる。
(多数)と書いたが範囲が局所的な上に自分にも影響があり、何より古いマイナーカードなのでそこまで頻繁に採用されていたわけではない。《キリコ》の手出しや《ソルハバキ》→《星域》等は許すので盤石ではないし、後期には【キリコ】はメタ対策に《ローズ・キャッスル》を積み始めた。
「表向き」まで封じる現在の裁定なら《キリコ》《M・ロマ》自体を止められて非常に強力だったのだが。

《ローズ・キャッスル》(多数)

【青単速攻】・【黒緑速攻】は既存の【速攻】に比べパワー1000のウィニーが多く、【キリコ】の種や各メタクリーチャーも軒並みパワー1000だったことから大流行。
盾割りで解除されてしまうが、そもそも単発打ち切りではなく相手に解除を強要する時点で優れている。
黒の入るデッキであればコントロール系は勿論のこと【M・ロマ】や【B・ロマ】ですら採用圏内というレベルで、ウィニー偏重デッキでなくても存在を意識させられた。

《ダンディ・ナスオ》(【黒緑速攻】【M・ロマノフ】【B・ロマノフ】【リアニメイト】)

登場してから常に環境デッキのいずれかに採用され続けてきたカード。
神化編でもやはり万能サーチ能力を活かし、実質1コストで墓地を肥やしたりマナにコンボパーツを埋めたりと大活躍。【黒緑速攻】定番のナスマーチはもちろん【M・ロマノフ】や【リアニメイト】の柔軟な立ち回りに貢献していたのは言うまでもない。
《星域》とも相性が良いのだが、肝心の《キリコ》と噛み合わない為進化サーチの役割は《神秘の宝箱》に譲った。

《天真妖精オチャッピィ》(【エンペラー・キリコ】【黒緑速攻】【M・ロマノフ】)

母なる系呪文や《バジュラズ・ソウル》の存在で《フェアリー・ライフ》の優先度が低く《オチャッピィ》を初動として計算し辛い、【速攻】対策で出しても殴り返せる相手が少ない、3色以上のデッキがほとんどでSBが発動しにくいなど、《青銅》でいいじゃんとなりがちで以前はさほど環境での活躍が見られなかったカード。
シールド回収系カードの増加、マナさえ伸ばせば勝ちの【エンペラー・キリコ】の台頭、マナにパーツを埋めるコンボデッキのランデス対策などで需要が急増。
以降も長らく使われる汎用カードとなる。

《天使と悪魔の墳墓》(【メタネクラコン】【メタドロマーコン】他)

「刺さったら強い」程度の地雷系カードだったが、この時期から環境内に4枚積みを多用する【速攻】やコンボデッキが増え、G・ゼロで同名クリーチャーが並ぶ展開も多くなり、メタデッキに本格的に採用され始めた。
同時に「墳墓避け」が意識されるようになった時期でもある(それ以前は《双月》はビーストフォークの進化・サポートを投入していなくても相手に警戒させられるため《アシダケ》より優先して4投されていた)。
後年、マナを大きく伸ばす【ビッグマナ】対策を筆頭に、インフレによりコントロールでも強いカードは4!が当たり前になったことでメジャーカードに。

その3に続く。

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