殿堂入り統計データ(2020/01/01時点)
109枚。
現在のデュエルマスターズのプレミアム殿堂・殿堂入りカードの合計枚数である。
歴史が長いとはいえ、現行のレギュレーションでこれほど膨大な規制カードを抱えるTCGというのも珍しい(少なくとも筆者は他だと遊戯王くらいしか知らない)。
今回はこれまでプレ殿・殿堂入りしたカードの統計データをまとめた。
統計学専攻してたとかではないので統計と呼べるほどのものかは知りません。
同じようなことしてる人いないかな、と思ってググったら似たような記事がヒットしたが、年数が経ってリストが大きく増えていることもあって1から入力していくことに(手入力なので間違っている箇所が相当あるはず)。
殿堂入りするカードの傾向を調べたかったので、現在は解除されたカードも含めている。
殿堂入りまでの日数順
まずは登場~殿堂入りまでの日数順に、上位20枚と下位20枚。
上位20枚のうちVR以上は12枚を占める(上3つを除外しても23位の《ベイB ジャック》入れて10枚)一方で、下位は6枚。
ホイルには単純に強いカードが充てられやすく、大抵はインフレで並のカードになるが、なおも瞬間風速がずば抜けていると短期間で殿堂にかかる。下位は「後に刷られたカードと相性が良すぎて(悪すぎて)身代わり殿堂」パターンがほとんど。
また、上位20枚のうち火文明が13枚(上3つを除外しても《キューブリック》入れて12枚)で、下位には1枚しかない。恐らくは上記のホイルと同じ理由。
火は文明が強いのではなく、一部のフィニッシャーが強いという認識なので妥当だと感じられる。
発売から殿堂入りまでの日数のヒストグラム。
横軸は3600日(10年分)まで伸ばしたが、実際はこの先から5400日まで11枚ほどまばらに分布している。
ボリュームゾーンは発売後1~2年くらい。3年も経てばグループとしては「一昔前のカード」になり、新規カードとの相性やコンボの発見など偶発的な理由での殿堂入りが多くなる。
デュエマはスタン落ちがない代わりにインフレと殿堂入りでメタゲームをサイクルさせており、そのスパンがMTGのスタンダード(=デュエマの2ブロ)の対象となる過去2年分だと考えれば自然な数字ではある。
枚数推移。
2015年度の大規模な殿堂解除で少し数字が落ちたが、それ以外では別段歯止めが利いている様子はない。
レアリティ別枚数
「VIC」はSRより上(ダブルビクトリー、レジェンド、マスターなど)は全てカウントしている。発売日で殿堂入り系は除外。
Rが最多で、次がUC。以降はレアリティ無し以外あまり差がない。
SR以上は枚数が少ない上に暴れ続けても忖度により殿堂入りを回避しやすいイメージがあるが、同時に高いスペックを与えられやすい(=暴れる割合が高い)ため、合わせてトントンという感じ。
Rは他に類を見ない「変な効果」を持つカードが多く、代用の効きにくいキーパーツが撃ち抜かれやすい。殿堂入りしても積み得で採用されたり、サーチ等で機能し続けたりして禁止化される。特に、初期の頃のタカラは「ホイルカードを強くすると資産ゲー化しやすくデュエマのメインターゲットとは合わない」と考えSRを弱めに・Rを強めに設定していた、と王国か何かのコラムで読んだ記憶がある。
高レアリティカードの身代わりも大抵R以下。対照的に、VIC以上のプレミアム殿堂はサイキックの《ヴォルグ・サンダー》1枚しかない。
レアリティ別の日数
レアリティ別の殿堂入り日数。発売日で殿堂入り系は除外。
平均値は10年くらい経ってから殿堂入りしたカードが1枚増えるだけで大きく増えてしまうため、中央値も掲載する。
全体の中央値は1032日で、大体2年9ヶ月くらいで殿堂入りする計算。
上の項でも触れたが、高レアリティほどわかりやすく壊れていて速攻で殿堂入りするケースが多く、低レアリティは新規カードと組んだ末に逝きやすい。C~VRはレアリティが上がるほど日数が短くなり、SRは忖度ラインになっている関係かVRよりも長い。
また、レアリティ無しはプロモカードやデッキ限定カードなどで通常エキスパンションの販売に影響を与えないため、躊躇なく規制されるようだ。
プレミアム殿堂までだとこうなる。
こちらはサンプルサイズが小さく評価に困る。
文明別の枚数
文明別の枚数。多色はそれぞれの色にカウントしてある。
青黒緑が多く、赤と白は少ない。水・闇・自然のいずれかを組み合わせたデッキは安定して強い感覚はある。
枚数推移。
かつて白と同じくらいの枚数だった緑は、2010年代前半は大型クリーチャーのインフレを受けて一気に増加し、後半はループ絡みで伸びた。
青は大量の殿堂解除で緑と逆転した時期もあったが、現在は再びトップに立っている。
文明別のカードタイプ内訳
クリーチャーの数はどれも似通った数字で、差が出るのは呪文。総数の大きい青黒緑はここで稼いでいる。
文明別の殿堂入り日数
発売日系は除く。
見ての通り、赤は一部のやべーのが暴れて即殿堂入りしやすい。最近だと《轟轟轟》《ミッツァイル》なんかがその例。火文明の殿堂入りは多色も合わせて計26枚だが、日数の長さで全体の中央値1032日を上回るものは5枚しかなかった。
逆に緑は昔の変なカードが最近のカードと~というタイプが多い。
年度ごとの殿堂入り枚数
発売日系は除く。
わかりやすい右肩上がりで、時間とともに殿堂入りする枚数は増えている。相関係数は0.713と高い値を示す。
近年は規制される枚数が大きく増えている印象があったが、実際数字の上でもその通りだった。
2012年度(EP2)のあたりは非常に少ない。E1で多くのデッキの基盤を担ったNエクスが《エクス》殿堂で弱体化し、E2末期には《覇》やゼニスを素早く投げるデッキ・次元系・速攻系以外の大半のデッキが息をしなくなった。登場したばかりの高レアで弱体化させにくいファッティ、システム上規制が難しい超次元、同じく規制の難しい速攻。突出しているにも関わらず規制し辛いこれらのアーキタイプが生き残ったことは、E3がデフレブロックになった一因かもしれない。
各年度の殿堂入り枚数を100%としてレアリティ別に色分けしたもの。R以下が青系、VR位以上はピンク系。
2015くらいから目に見えて高レアリティの割合が増えている。ホイルカードが次々と規制されていることも「昔より殿堂入りする量が増えた」と感じる要因だろうか。
フィニッシャー以外の汎用性の高いカードがホイルカードとして設定されることが増えたというのもあるのだが、それに関してはまた別に記事を書きたいと思う。
収録エキスパンション別の枚数
上がエキスパンション別、下がブロック別。
1つの通常エキスパンションから殿堂入りカードが出る枚数は平均1.45枚。
やはりインフレ期は殿堂入りカードが多い。聖拳編、とりわけDM-10は特殊なカードが多すぎたこともあり、最早伝説級。
当然のことながら、古い弾は殿堂入りカードが多くなり、新しい弾は少なくなる傾向にある。
双極編は地味にやばい(語彙力不足)。
登場時期別の枚数
デュエルマスターズの通常エキスパンションが発売されるのは四半期、すなわち3ヶ月おきで年4回という形が多い。
殿堂入りカードの登場時期を2~4月、5~7月、8~10月、11~1月の4つに分類してカウントした。
12月はクリスマス・年末ということで商業的に最も重要な時期であり、収録内容も派手な印象があったが、殿堂入りカードの割合が最も大きかったのは意外にも秋。
一番低いのは春で、秋の2/3くらいしかない。初期~Rev期までは各ブロックの最終弾がこの時期に該当し、「最終弾はカードパワーが低い」とか「ホイルの癖が強い」とか言われることが多かった。現在は収録弾がずれ込んでいることもありそのような傾向は見られず、去年の春のDMRP-05は2枚、今年の春のDMRP-09は1枚の殿堂入りカードを既に輩出している。
革命編になるまでMTGを踏襲して各ブロックの1弾は基本セット(120枚)、2弾以降は60枚という形を取ることが多かった。基本セットにはあえて弱めのカードも一定数収録するという方針だったため、夏とそれ以外とを単純比較するのは不公平な気もする。
カードタイプ別枚数
カードタイプ別の枚数。
クリーチャーと呪文が大多数を占める。また、現在までに発売されたクリーチャーと呪文の総数の比率はざっくり8:2くらいということを考えると、呪文はとても殿堂入りしやすいということがわかる。
クリーチャー・呪文・その他に分けた場合の枚数推移。
兄貴分のMTGは、というかTCG全般、年々呪文(スペル)に比べて生物がインフレしていく傾向にある。その方がデザイン上の都合がいいし、ゲームの中心に据えたいのはやはり生物だからだ。
デュエマの殿堂入り枚数もどちらかといえばクリーチャー優勢となっている。殿堂解除された枚数に着目しても、クリーチャー14枚、呪文5枚、他は0と、クリーチャーのインフレぶりがよく分かる。
根本的な話として、呪文の大半は何かしらの形でクリーチャーと組み合わせて使うことを前提にしている。火力やドロソはクリーチャーのインフレで相対的に価値が下がるが、それ以外は逆にパワーが上がるものも多い(母なる系や《フェアリー・ギフト》などが顕著)。よって、クリーチャーがインフレした(或いは今後させるのに支障が出る)ために、対応する呪文の出力が向上してしまい規制される、というパターンが頻発する。
カードタイプ別の殿堂入り日数。
サンプルサイズ的にクリーチャーと呪文以外ほとんど意味がない。とりあえず、傾向としてはクリーチャーの方が呪文より殿堂入りが早い。
コスト別
コスト別のカードタイプ内訳。
クリーチャーはコスト5、呪文はコスト3を中心としてマナカーブを描いているのは興味深い。そして、それらに挟まれるコスト4だけは枚数が少ない。2コスブーストから繋がる点が調整を難しくしているのかもしれない。潤滑油系やハンデスなど、ゲーム性を壊すタイプのカードが少ないコスト帯のイメージではある。
そもそも呪文全体の傾向として、軽いものに比べて重量級のものが少なく、コストによってリリースされた分母自体に差がある。そこで、コストごとの(大まかな)総数から比率を割り出した。
青が殿堂入りカードの実数、緑がそのコストの呪文全体に対する割合。
パーセンテージで見た場合、実は重い呪文が特別規制されにくいわけではないことがわかる。
あえて重い呪文としてデザインされる以上は強めの(あるいは特殊な)スペックが与えられる、という印象は強いので、これだけで判断するのは早計だが。
ちなみにクリーチャー版はこれ。
こちらは素直にコスト5以上が殿堂入りしやすい。
傾向まとめ
レアリティ別
-:純粋なパワカ多数。通常エキスパンションに含まれない影響からか、収録された商品の販売が終わるとあっさり切り捨てられやすい。
C:単体ではしょぼいが、大抵はカードプールの変化や新規カードとの相性でぶちこまれる。その意味では単体で完結した性能の《ハヤブサマル》は異端。
UC:Cと大体同じではあるが、Cより上の性能が与えられるため単体で強いカードも多い。全体的に効果が素直で、インフレの煽りを受けやすい。殿堂解除枚数6枚は最多。
R:特殊なカードばかり。プレ殿14枚はぶっちぎり。総数35枚に対して呪文22、これもぶっちぎり。今後も古いエキスパンションから変な呪文が発掘されては殿堂入りするのだろう。
VR:Rに対するUCのような立ち位置。強さがわかりやすく、短期間の殿堂入りが多め。最近《バロン・ゴーヤマ》と《パラスラプト》が殿堂入りして平均日数が大きく上がった。
SR:フィニッシャー、パワーカードが多い。火文明も多い。《サンマッド》以外は全てコスト5以上。
VIC:最も歴史が短い。ほとんどは名目上のマナコストを払ってプレイしない。身代わり殿堂で生き延びるイメージが強いが、《轟轟轟》《ウェルカム・ヘル》は1年で殿堂入りした。
文明別
白:クリーチャーは単体の強さ・コンボ等いろんな理由でレアリティに関わらず殿堂入りする。クリーチャー16枚中8枚がシステムクリ。呪文は殿堂入りしにくく、合計枚数は無色に次いで少ない。
青:呪文が最多で、合計枚数も最多。コンボやループによく絡む。いつの時代も悪事を働きやすく、規制もされやすい。
闇:クリーチャーは少なく呪文が多い。昔は純粋なカードパワーによる殿堂入りが多かったが、近年は最近のカードと~系が増加しつつある。
赤:目玉カードが大暴れして短期間で殿堂入りしやすい。主人公のメイン色じゃなくなったからマシになると見せかけてそんなことはなかった。非進化クリ17枚のうち、SA持ち及びSA付与は合わせて10枚。呪文は少ない。
緑:かつては踏み倒しやブーストが殿堂入りする色だったが、近年は完全にループ・コンボパーツ中心。身代わり殿堂の場合、一度に複数枚かかることも多い(少し前なら《ベイB ジャック》、今だと《生命と大地と轟破の決断》)。
無色:《ガヨウ神》と《ナッシング・ゼロ》。要はジョーカーズ絡み。
カードタイプ別
クリーチャー:殿堂入り枚数が最多で、リリースされる数も段違いに多くインフレも目覚ましい。「こいついつかは殿堂入りするだろ」程度ならインフレによって簡単に過去のカードになる。パフォーマンスが跳ね上がるコスト5以上はとても多く、4以下は少ない。
呪文:クリーチャーに比べて軽いものが多い関係で、殿堂入りするのも軽量呪文が中心。新規クリーチャーとセットで悪さをして規制されやすい。最近だと《スコール》《コンチェルト》《「ラッキーナンバー!」》が殿堂入りしたが、全て該当する。
その他:少ない。そもそもの枚数が少ないことに加え、期間限定のギミックばかりで全体的に新規カードとシナジーが薄いことが要因か。
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