デュエマ 06年夏(SGL)の環境について
所謂不死鳥編環境のゲートボールをやる際の参考になれば。
自分は当時やっていたわけではないので又聞きや公式大会の結果を踏まえてさらっと解説。
レギュレーション
オープンクラスは大会開催時までに発売したすべてのカードが使用可能、殿堂入りの枚数制限を適用。早い話が現代のデュエマでもスタンダードな殿堂ルールである。
一方のレギュラー以下のクラスではベスチャレ以降のカードしか使えない限定構築戦。春の大会ではOPのみが限定構築戦だったため、OP・RGの関係が入れ替わる形になっている。この記事ではOPクラスについて解説していく。
日程としては、8/6の九州大会を皮切りに9/17まで一ヶ月超かけて全国6会場で地区大会が開催され、その後10/29に地区大会優勝者が集い日本一決定戦を行う。という流れになっている。
この間にも新弾は発売されるためカードプールは少しずつ更新される。具体的には、20弾が発売される8/11以前の九州大会では20弾のカードが使えず、21弾が発売される10/21の後に行われる日本一決定戦は21弾のカードが追加された状態で行われた。
不死鳥編全体がデフレシリーズと言われることもあり、流石に前年SCBの《裁》のように別ゲー化するようなカードこそなかったが、《ミルドガルムス》や《ファルゲン》・提督といった各デッキを強化する有力カードはぽつぽつある。
メタデッキ
まず06年夏、不死鳥編環境を代表するカードとして真っ先に名前が上がるのは《サファイア》だ。
18弾時点では《ふたつ牙》《セブンス・タワー》あたりでマナを伸ばす所謂ビマナ系の【サファイア】(関西B準優勝・北信越4位・九州4位)、次いで序盤に《サファイア》を踏み倒せる【転生サファイア】(関東A4位)が主流だった。
【タワー牙サファイア】
しかし、19弾で《ゲート》が登場してからはビマナ型よりも速度が早く《転プロ》よりも安定した【茄子サファイア】(九州優勝・関東A準優勝・北海道準優勝)が一気に増加した。
【茄子サファイア】
だが、こうした「《サファイア》早期降臨を優先的に狙うデッキ」はテンポアドを重視することから妨害に弱く、破壊以外(特に盾送り)の除去を貰うと一気に失速してしまうという弱点があった。
転生編までのトップメタの一角であった【除去コン】は《魂と記憶の盾》をフル投入するのが基本であり、元々のデッキの強さも相まってこの環境でもtier1を維持する。
【除去コントロール】
06夏の戦績も関西A優勝・関東A優勝・関東B準優勝・中部優勝・北信越3位など華々しいものになっている。
春の殿堂で《裁》が一枚制限化され《ペトフレ》を装着した《マリエル》が除去されにくくなったため、《サファイア》を止められる《マリエル》ロックを軸にした【除去コン】も結果を残した。
一応このデッキ自身も《裁》規制で全体火力+主力ドロソを失っていたのだが、《ボルバル》が消えて《大地》系のデッキが減ったことや《サファイア》が主力フィニッシャーになったことでウィニーが並びにくくなり、《裁》自体のバリューが下がったため相対的にそれほど大きなものにはならなかった。
【除去コン】には【サファイア】系デッキに強いという特徴があったため、【除去】基盤に《ゲート》《サファイア》を組み込んだ【除去サファイア】デッキも非常に強力だった(九州3位・関西B優勝・北信越優勝&準優勝・中部準優勝・日本一決定戦準優勝)。人によってはこの環境の最強デッキとも。
【除去サファイア】
フィニッシュ方法としては《サファイア》とLOの2つのルートを取れる。
デッキパワーの高さもさることながら、当時の【除去コン】は《ロスチャ》《ヘルスラ》殿堂入りの影響で制限時間10分のルールが非常に重く、扱えるプレイヤーがほとんどいなかったため、こちらのフィニッシュをLO勝ちにのみ頼る必要がない点は人気が集まりやすい要因のひとつだったのではないかと思う。
基本的にはこの【除去サファ】と【除去コン】を軸に環境が成立していた。
さて、【除去】は元来オールラウンダーで大半のデッキに有利が取れるデッキだったが、中には苦手な相手もいた。
まず【速攻】系。この時代は【赤単速攻】(関東B優勝&3位&4位)が主流。
【赤単速攻】
デッキの相性そのものは特段不利というわけではないのだが、元々OPクラスは【速攻】の使用率が低い上に、この環境は【除去コン】と《サファイア》が非常に多く盾受けの意味が薄いので、(特に【除去サファ】は)《スクラッパー》などのスペースが削られ、順当に殴りきられやすい。
【速攻】の常だが、ワンパンから《スクラッパー》や《サーファー》を引いただけで途端に敗色濃厚になってしまうなど相手の盾(とじゃんけん)に勝敗が大きく委ねられてしまい、プレイの幅が少ないのが欠点。
【速攻】に強いことが強みの一つである【青単】(関西B4位)や【ドデビル】・【ガーディアン】などは、やはりOPの【速攻】自体の少なさから人気が出なかったようだ。
次に、【除去】系は4色でマナ加速を採用しないデッキであるため、【チューターランデス】や【黒ランデス】(中部4位)といったランデスを軸にするデッキも【除去コン】に強い。まあ、このデッキもフィニッシャーは《サファイア》だが。
【黒ランデス】
遅いデッキに対しては無類の強さを誇り、回ってしまえば手がつけられない。
一方で【除去サファ】以外の《サファイア》系デッキに対してはそれほど強いわけではなく、加えて【速攻】対面が非常に厳しい。
余談だが、転生編環境や不死鳥編終盤~極神編の環境の一角を占めた《バジュラズ》軸のビートダウンは、《サファイア》に致命的に弱いため大きく数を減らした。
非常に環境が偏っているため、当然のごとく環境デッキへの対策カードを大量に積んだメタデッキも登場した。
そのうちの一つが当時のプレイヤーであるジャム氏が考案した【ジャムコン】。
【ジャムコン】
《裁》全盛期からおなじみのメタクリーチャー《キャバルト》《ブロークン・ホーン》を展開し、《ペトローバ》や《パラオレ》でシステムクリーチャーを火力から守り最後は《カッター》+《呪紋》GOするデッキ。万が一リアニメイトされても《コーライル》《サーファー》でバウンス処理出来るようになっている。
彼はこのデッキを使い九州2位・関西B8位・関東A8位と各地で次々好成績を収め、影響を受けたプレイヤーも一定数いた模様。
それから、ささぼー氏が日本一決定戦で使用し優勝した【チューザビート】は非常に有名なデッキだ。
【チューザビート】
【ジャムコン】と違い、20弾で登場した《チューザ》が入ったことでトリガーケアの必要性が薄れ、ウィニーを横並べしながらビートする戦術に特化し《大地》すら全抜きという非常に前のめりな構築になっている。
デッキパワーを犠牲にしてでもメタ対象を絞る形だが、これは地区大会優勝者8人という限られた人数下でのメタゲームであることに加え、そのうちの多くは地区大会で鉄板の【除去コン】【除去サファ】を使っていたため、日本一決定戦もそれ一色の環境になると踏んでのことだと思われる。
総じて、とにかく【除去】と《サファイア》が強い環境だったと言えるだろう。
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