殿堂ゼロ 環境について(2019年4月現在)
殿堂ゼロは公式によるプッシュが終わってから月日が経過しており、ほとんどのプレイヤーは「今の殿堂ゼロって何のデッキがあるのか知らない」「どうせ轟轟轟とか剣とかが強いんでしょ?」程度の認識であることが予想される。
そうしたプレイヤーのため、ひいては殿堂ゼロ普及のために、現在の環境の解説記事を書いた。
全体の傾向
殿堂ゼロデュエルと聞くと殿堂入りカードやプレミアム殿堂カードを大量搭載するデッキが群雄割拠というイメージを持たれるかも知れないが、
実際のところデュエルマスターズは最新カードの方が過去に規制されたカードの大半より強いゲームであり、無闇にそういったカードを積むとデッキパワーを落としてしまうことがしばしばある。
殿堂環境と大きく異なるのは、盾割りによる手札補充がなくとも3~4ターン目には更地から即死コンボを決められる転生サイクリカや大地サイクリカが存在する点。
これらはコンボに必要なパーツが1~2枚と要求値が異常に低く、安定性の面で群を抜いている。
そのため高速で安定したコンボデッキと速攻以外のアーキタイプに人権がないというのが実情である。
またその速さ故に安易に多色カードを積むとマナタップインが勝敗を分けることが多くなる他、先攻が非常に有利になりやすく「こちらがどう回っても勝てない動き」をされるのは日常茶飯事で、デッキ以上にじゃんけんの強さがとても大事なレギュレーションと言える(一部例外あり)。
殿堂ゼロには盾受けを封じたり盾自体無視したりというデッキが多いため、受け専用のトリガーは腐りやすく積むこと自体がリスクに繋がる。
一方で軽量呪文に動きを依存したデッキが強く、後からフィニッシャーに対処するよりも先んじてメタクリーチャーを立てておくこと、およびそれを素早く処理できることの方が重視される傾向にある。
もっとも、殿堂ゼロのプレイ人口は極めて少なく、ほとんどのプレイヤーは専用のデッキを組むこともないので、CSのサブイベントなど殿堂ゼロの大会があると轟轟轟のような殿堂環境寄りのデッキが圧倒的シェアを占めやすい。
ここで記す殿堂ゼロの環境とはある意味幻想であり、単に強いデッキを厚く見ることが必ずしも正解にはなり得ないことは理解しておくべきだろう。
TierRank
tier1(メタゲームの軸を形成する高いパワーを持つデッキ) :
転生サイクリカ
赤白轟轟轟
大地サイクリカ
ダーツデリート
tier2(弱点はあるがTier1とも渡り合える可能性のあるデッキ) :
キクチパトロール
tier3(環境のトップからはやや離れる平凡なデッキ) :
その他
各デッキ解説
転生サイクリカ
ハッシュ【ed7aeaa7fb0b6a7ba7425c70b19c6539】
《銀河》またはオーラから《転プロ》を打って《サイクリカ》を踏み倒すことでループを発生させ、GRクリーチャーを全て射出するコンボデッキ。
豊富なサーチと必要なコンボパーツの少なさ、単色のみで構成出来ること・色事故が極めて少ないことなどから速さと安定性の面で見ると全デッキ中トップ(ついでに費用の安さと扱いやすさの面でもトップ)。
大地サイクリカに有利を取れる数少ないデッキであることから登場後最上位に躍り出た。
構築面で制約があり、《キクチ》《オーリリア》《シャッフ》《メスタポ》など出たら投了レベルのメタクリーチャーが環境内にも数多く存在するが、先手を取って順当に動けばそれらが出る前に勝利できる。
このデッキのせいで平均キルターンが4t以上のデッキは3t目までに相手の《転生》並びに《銀河》を妨害する手段を積まされる。
《ヘブフォ》からのメタクリが無理なので色の合わない《ZEROハンド》を仕方なく入れているが、毎回引けるわけではなく先手でもたまに負ける。パーツの盾落ちのせいで自爆することもある。
生まれたてで開拓の余地があり、今後新規のGRやオーラが増えていくことを考えると将来性にも期待できるデッキ。
赤白轟轟轟
ハッシュ【1d0dec5077b0be7b3d17e19e1104b6cf】
優秀な小型クリーチャーと《轟轟轟》から構成される早くて強いメタビート。転生サイクリカに少し有利。
構築の面で殿堂環境と違うのは、《禁断》を増量して《轟轟轟》を引く確率を上げられる点と、S・トリガーで受けを強化するよりも呪文メタに重きを置かれやすい点。
《メメント守》を積むような速攻耐性の高いデッキには勝てないがそれらは総じて他のtier1に不利が付くので環境的に美味しいポジションにいる。
後手番で脆いのが難点ではあるものの、元々殿堂ゼロは先手が非常に有利なのでさほど痛くはない。
ダーツデリートに対してはメタクリーチャーによる妨害があるので戦えそうに思えるが、相手が後攻2t《ダーツ》始動でも封殺できるのは1コス→《ヘブフォ》+《オーリリア》くらいなのでやはり苦しい。
普通に殴り勝つことがアイデンティティとなるレギュレーションだからこそのtier1。
なお、殿堂環境では《ヘブフォ》《オーリリア》(+1コスクリ)の採用率が下がり受け用のカードが投入されるようになった。そちらを流用する場合は大地は勿論転生にも怪しくなるのでtier2以下に落ちる。
大地サイクリカ
ハッシュ【3cbc4ced82bdbd3d13599c6ba2db8ac8】
《母なる大地》と《サイクリカ》の無限ループを発生させ勝利するデッキ。
下準備無しでも《アマテラス》1枚で始動できることから安定性と爆発力に優れ、呪文を多用するデッキでありながらメタクリーチャーへの対応力も兼ね備えており不利な相手が極めて少ない。
全体的に見て隙が少なく双極篇までのトップメタだったが、ブーストからゲームメイクを行う都合上その前に勝負を決めるデッキが苦手で、超天篇より安定して3tキルを決める転生サイクリカが登場したことでランクダウン。
呪文メタを搭載して速攻をかける赤白轟轟轟にも弱そうだが、赤単と異なり噛み合わないと速度が遅く先手を取れば間に合いやすいのでトータルではほぼ5分。
動かし方が決まっている転生サイクリカやダーツデリートと比べるとプレイング・ループ手順がやや難解。
後手番でも優位を取れる相手が非常に多く、ほとんどのデッキはこれに存在を否定されtier1に上がってこれない。
ダーツデリート
ハッシュ【5a870f996b2594ccf7c8bedf8ae8b439】
ご存知、《ラッキー・ダーツ》による重量呪文詠唱を狙うデッキ。
このデッキの対策のためにサーチ・リクルートを使わないデッキは《禁断》を積むことが多い。
じゃんけんの影響を最も受けにくいが、それ以上に強運を要求される。
盾を割らないデッキに対しては《ダーツ》を引けないと指を咥えてドローし続けるだけになりがちな一方、受けが厚く序盤から素早く盾を割って速度で押し切るデッキには強い。
tier1相手でもtier2以降と同じくらい勝てる。裏を返せばtier2以降と当たってもtier1と同じくらい落とす。
テンプレがほぼ固まっており新規カードによる強化が無い限りはこれより強い構築にするのは難しいものと思われる。
キクチパトロール
ハッシュ【186d005e90b5a82204b32503fb5f382b】
殿堂ゼロ専用デッキとしてはそこそこ知名度が高い部類に入る。
《パトロール》を拾う手段が限られている・コンボが遅い・《パトロール》の単体性能が低いなど既に色々厳しいところがあるが、フィニッシュ以外の枠の自由度が高く様々なギミックを組み込めるため、《キクチ》+《パトロール》をフィニッシュ手段に据えたメタコントロールとして形を変えながら生き残っている。
「メタコントロール」の名の通り、メタゲームを読み違えた構築を選択してしまうと非常に脆い。
青黒だと防御力やデッキパワーに難が有り、ドロマーなど三色以上にすると事故が起きやすくなる。
構築を寄せれば転生・轟轟轟に滅法強くできる反面、大地サイクリカはメタカードをフル投入しても厳しいので割り切っても良い。
正直tier2と呼べるほどの力があるかは怪しく3寄りの2。
tier3以降
殿堂施行によって使えなくなったかつてのメタデッキや規制されたカードと現代のカードとを組み合わせたデッキなど様々なものが考案されているが、殿堂ゼロを基準に考えた場合、速度が足りない、コンボパーツが多い、メタにひっかかりやすい、除去に弱い、安定性が低いなどの理由からtier1のいずれかに不利が付き、良くてもせいぜいキクパトと同じような立ち位置にしかなれない。
転生に強いデッキ、轟轟轟に強いデッキを作るのは容易だがそれを大地サイクリカに勝てることと両立するのは非常に難しく、tier1とそれより下との間に大きな隔たりが生まれている。
有利対面に見える相手でも後手は完全に無理ゲーだったりすることもありtier3。
おわりに
双極編時点ではずば抜けたデッキパワーを持つ大地サイクリカ、それを速度で押し切れる赤単轟轟轟、受けの強いキクパト等の三すくみが成立していたが、大地サイクリカが大半のデッキに強く明確な不利対面が赤単轟轟轟くらいしかない一方、赤単はダーツ・キクパト・ジョバンニ等のある程度受けがしっかりしてるデッキにはろくに勝てない程度のパワーしかなく、三すくみという名の大地サイクリカ一強状態だった。
そこからデッキパワーと安定した速度を両立した転生サイクリカが台頭し赤単の枠に取って代わったことで三すくみが強固なものになったが、転生にやや有利な赤白轟轟轟・ダーツの立ち位置がよくなったり、構築を歪めないと転生を咎めにくいジョバンニ・転生メタがもろに刺さりメタ耐性がないモルネクなどが厳しくなったりで上下の差が更に広がった。
三すくみを激変させるようなデッキを生み出す、あるいは既存デッキの開拓を行う天才が現れることを希うばかりである。
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