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銀河転生(転生サイクリカ・カリヤドネ)の歴史

超天篇以降、殿堂ゼロのトップメタに君臨している【銀河転生】だが、そのデッキレシピは少しずつ変化している。
今回はカードプールの増加でどのようにデッキが強化されてきたのか、および周囲を取り巻く環境の変化を時系列順に紹介したい。

2019年3月 超天篇1弾発売

双極編までの殿堂ゼロ環境は、速度は並だが高いデッキパワーを誇る【大地サイクリカ】、速さで轢き殺せる代わりに脆い【赤単轟轟轟】、【大地サイクリカ】には弱いが受けの厚い【キクパト】【ジョバンニ】etcの三竦みが成立していた。

※参考


しかし、その日世界は引き裂かれた。

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2019年3月下旬に情報が解禁された《♪銀河の裁きに勝てるもの無し》。
このカード及びGR召喚と《転生プログラム》の相性が抜群に良く、3マナの呪文2枚コンボで無限ループを発生させられてしまうという単純明快なギミックは大安定3キルデッキを生み出した。更に、それはパワーの高い超高速デッキを求めていた殿堂ゼロ環境の需要と合致していた。

初期型のデッキレシピ

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3ターン目に《銀河》+《転生》を手札に揃える必要があるのだが、《銀河》は2コストオーラでも代用が効く。《転生》だけは必須ではあるものの、光文明には《ロジック・サークル》があるため実質8枚体制。
2色デッキながら《サークル》→《銀河》+《転生》とする銀河ルートは光のみ、オーラ→《転生》とするオーラルートは水のみと1色でループ始動。
など、同じ2色で実質3キルデッキの【ジョバンニ】と比べても安定性に天と地ほどの差がある。雑シミュレーターを10万試合回したところによれば、初期のレシピでも先行なら74%、後攻で80%以上の確率で3tキルする。

このデッキの強みは非常に安定した3キルであるため、多色カードは避け、他文明もサーチ・ハンドキープの余裕がある《ZEROハンド》のみ採用した。

2019年4月 100%GRパック発売

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GRクリーチャー《ルーベライノ》登場。運次第ではあるが、《プーンギ》1体なら軽減で乗り越えられるようになった。

2019年6月 超天篇2弾発売

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GRクリーチャー《マグ・カジロ》《チョコっとファクトリー》登場。この2枚を合わせれば一応だが同一ターンに《ソード》+《ミラスト》が出来るようになった。

2019年9月 超天篇3弾発売

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《カリヤドネ》登場によって、【転生カリヤドネ】が誕生した。

初期のデッキレシピ

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【転生サイクリカ】に比べた場合のメリットとしては
・受け札が多い
・山のカリヤドネが1枚までなら自殺しない
・殴る必要がないのでクロックホーリーに強い
・ダーツのヴォルグに強い

などで、デメリットは
・カリヤドネが多色なのでキルターンが遅れやすい

という点。
ぱっと見ると【カリヤドネ】に軍配が上がりそうだが、受け札が多い点は受けの重要度が低い殿堂ゼロでは評価が低い(そもそも【転生サイクリカ】の時点で受けは十分硬い)、自殺が減った代わりにループが止まることが増える、《ミラスト》から《クロック》《ホーリー》を踏んで返しに転生を56せるデッキが事実上存在しない、など、《ヴォルグ》耐性以外はいまいち評価し辛く、一方で多色の濁りは転生ミラーを最重要視させられる殿堂ゼロでは割と痛い点だったため、この時点では【転生サイクリカ】の方が強いデッキだった。
なお、(これは殿堂環境でも影響があったようだが)12月に入るまで《カリヤドネ》のcipの処理過程で唱えた呪文をどう処理するのかの裁定が出ていなかったため、デッキが成立するかすら曖昧な状態だった。

2019年11月中旬 無限改造デッキセットDX発売

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《マジカルイッサ》と《ダンダルダ》が登場。《マジカルイッサ》はオーラルートでも軽減可能で《ミクセル》で除去されなくなった強化版の《ルーベライノ》。《ダンダルダ》はお手軽に《ソード》+《ミラスト》を実現出来るフィニッシャーとなる。

2019年11月下旬 《零龍》 情報解禁

11月下旬に《零龍》の情報が解禁され、【零龍ギャスカ】が産声を上げた。

初期型のデッキレシピ

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最初から4枚盤面にある《零龍》によって1枚コンボからの2キル・3キルを実現可能になり、殿堂ゼロ環境が激変するかと思われた(が、後にルール変更で不可能になった)。
《転生サイクリカ》も流石にノーマークではいられず、《♪仰ぎ見よ》や《スロチェ》のような除去に頼らない受けトリガーを積んで対策した。


更に、《煌銀河最終形態 ギラングレイル》 の情報も解禁された。

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これにより【ダーツ】が大幅に強化を受けた。【ダーツ】は元々、手打ちする呪文はほぼ《ラッキー・ダーツ》《ロジック・サークル》しか無いため白を確保したいが《ダーツ》で捲って強い白単色のカードがないという欠点を抱えていた(《ポジトロン・サイン》は《光魂GO!》が捲れたときを考えると積極的にマナ置きしたいカードではなかった)。
しかし《ギラングレイル》はそこを見事に補いつつ、《デリート》《ギガタック》と合わせた1キル札12枚体制を実現させた。

完全体ダーツデリート

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GRゾーンが気持ち悪いことになっているが、
1.《アアルカイト》と水文明GRで《ギラングレイル》を【零龍ギャスカ】に対する有効トリガーにする
2.《ブランド》と火文明GR、《ジョラガン》とジョーカーズで超過打点を揃える
3.《ダンダルダ》+無色ジョーカーズで《デリート》を踏み倒せる機構を搭載する
の3つを実現するためこの枚数配分になっている。

安定性・速度を極めた【転生サイクリカ】、新鋭のアンフェアアグロ【零龍ギャスカ】、当たり札が増加した【ダーツ】と、当時の殿堂ゼロのインフレは極限に達していた。


2019年12月中旬 ルール改定

最初からバトルゾーンにあるカードに関するルールの改定が行われ、【零龍ギャスカ】は発売前に殿堂ゼロ環境から姿を消し、【ダーツ】も《禁断》が2枚積めなくなったことで大きく弱体化。再び【転生】vsその他の時代が訪れる。

2020年1月上旬 ダーツ転生の可能性

ヒラメキサイクリカの裁定変更や最初から場にあるカードのルール変更によって対抗馬が次々弱体化していく中、【転生】だけはGRクリーチャーの増加によって着実に強化され続けていた。
一方で、先行ならば間違いなく最強のデッキではあるが、ミラーマッチではその再現性の高さ故にほぼじゃんけんで勝敗が決してしまう他、先3《キクチ》が重いという点は課題のままだった。

そこで、【転生】に《ダーツ》を投入する【ダーツ転生】が考案された。

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一見するとネタのように見えるが、デッキの基盤をあまり変えずに最速1キル、2コスGR召喚が捲れても軽減で2キルまでキルターンを引き上げることが出来、元々白マナが不足気味だったこともあり相性自体は良い。
もちろん《ダーツ》で有効札が捲れるかは運次第。しかし、構築への負担なく上振れ要素を増やせると考えれば入れるメリットは非常に大きい。
あくまで《ダーツ》はサブプラン扱いなのだが、上のレシピはかなり《ダーツ》に寄せており、トータルの勝率を下げてしまっている可能性もあるため注意が必要。

※参考

なお、受け札を積むカリヤドネ型よりも《ミラスト》を積むサイクリカ型の方が《ダーツ》との相性は上(ツインパクトの有無の違いがあるが、【転生】の《ダーツ》は1ゲーム中に複数回《ダーツ》を打つことは想定しておらず影響が薄い)。

2020年1月下旬 謎のブラックボックスパック発売

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《緊急プレミアム殿堂》登場。【転生カリヤドネ】は、無限に唱えるだけで実質的にエクストラウィンの非ツインパクト呪文でありながら、ミラー等で妨害としても機能し得る札を手に入れた。

2020年2月 《U・S・A・BRELLA》《リツイーギョ》情報解禁

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殿堂環境に蔓延するGRクリーチャーが開発陣に問題視されたのか、十王篇でのGRメタクリーチャーの複数収録が発表された。
それまでのGR召喚の大きな強みは既存のメタが刺さらない点であったが、状況が変わる。【転生】も例外ではなく、特に《U・S・A・BRELLA》は【赤白轟轟轟】にすんなり入るカードであるため、やや地位を落とした。
この時期から《緊急プレ殿堂》(or軽量除去)と《転生》を同時に打ってループ継続出来る【転生カリヤドネ】に軍配が上がるように。

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2020年7月 ドラリンパック発売

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新たなGRメタの《DG-パルテノン》と《カルマ大司教 ゾロスター》が登場。
【転生】はとうとう環境から一歩引く…ということはなく。《パルテノン》は《落城》採用によって強引に乗り越えることが出来、《ゾロスター》は除去耐性自体はなく《転生》なり何なりで退かされるので、単体での封殺は難しい。
何より、デッキパワーを落とさずにこれらのカードをそのまま採用出来る上位デッキが【キクパト】程度しかなく、大きく勢力図が変化することはなかった。

その後

筆者はそれ以降の環境を追えていないため、最新のデッキレシピは認知していない。しかし、既にGRクリーチャー・GRメタクリーチャーの展開が止まっており、殿堂ゼロを揺るがすような新たなアーキタイプも誕生していないことから、せいぜい以前のレシピをベースに数枚差し替える程度の変化しかないだろう。

元々殿堂ゼロは殿堂入りの影響を受けず環境の変化がゆるやかなのが特徴で、今年もそれは同様なのだが、去年に限っては強烈な新規カード郡や度重なる裁定・ルール変更によって激動の1年になっていた。十王篇で大量にGRメタクリーチャーが追加されたことや、既に多くの殿堂入りカードを輩出していることなどからも、いかに超天篇が異色の、言い方を変えれば問題作のシリーズだったかが伺える。

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