変化する力と自分軸で、どんなときも乗り越えられる / 第14回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
2020年11月4日水曜朝9時からの第14回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting。
59名ほどの方にご参加いただきました。
この日は、FRaUのSDGs号の取材チームで福井県高浜町の漁港に来ているところが中継されました。その前日は石川淳哉さんも高浜町に行っていました。高浜町役場の職員で、うふふ事務局メンバーでもある野村さんがZoomでつないでくれました。朝とれたばかりのいろんな魚も見ることができました。
「生きるエネルギー」をマネジメント!
この日の「働き方の新しい波」は、「生きるエネルギー」をマネジメント! について、秋田在住の奥真由美さん(学習塾プライムスクール塾長 ・一般社団法人Sail on Japan 代表理事)にお話いただきました。
ミクロネシアの無人島での経験が、今の私の教育活動にどうつながっているかについて話します、と奥さん。現在、私は世の中で生きていくたくましい力をつけるための塾をやっていて、今年で22年になります。学校教育の中でできることに限界を感じ、塾を立ち上げました。その原動力となったのが、無人島での生活経験でした。
大学卒業後、秋田に戻って中学校教員をしていた奥さん。その後、高校の時からつき合い、大学時代にも遠距離恋愛で付き合っていた彼と別れることになりました。自分が世界からなくなってしまうような、どん底の状態におちいり、秋田を出て、上京したのです。
3か月間を無人島で暮らした体験とは
東京で、会員制マリンクラブを経営し、ヨットクルーザーを販売する会社を見つけました。大学時代にヨット部だったこともあり、ヨットに関われることにひかれて、その会社に応募しました。その会社で、学校教育になじめない不登校の子供たち向けに、インターナショナル・コロンブス・アカデミーによる「青いサンゴ礁とヨットの学校」という企画が立ち上がり、スタッフとして参加することになりました。ヨットクルーザー、ダイナミック47号で横浜港を出て、ミクロネシアの無人島へ片道40日かけて到着しました。その後、たどり着いた島で、みんなで家を建てて、3か月間暮らしたのです。
参加したのは不登校の中学生12人とスタッフ4名。海水は、お母さんの羊水と同じ。潮の満ち引きと人の行動が関連している。とすると、海のリズムに合わせることで、子供たちのリズムが変化するのでは、との期待がありました。
当時、マスコミにも注目されて、取材も受けました。ところが、取材にきたスタッフも、過酷な無人島の生活に耐えられずに帰っていったのです。
トイレもお風呂もない。嵐になると、家も吹き飛ばされる。無線もつながらない。今日が何月何日の何時なのかもわからない。食べ物が見つからなかったらどうなってしまうのか。不安だらけ。常に死と隣り合わせで、運命共同体という形でチームで生き延びるという生活でした。
こうした環境の中で、子供たちは操船技術を身に着けました。食べるものも自給自足です。ヤシの木に登って、ヤシの実を落とす。近くの島で狩った生きた豚をさばく。
常に死と隣り合わせの環境の中で、子供たちが自立する力を養う。課題に当たった時にどう考え、どう行動し、判断するかという生きる力をつけることが最大の目標でした。
帰国して3か月ぶりにお風呂に入ったら、お風呂が真っ黒になった、と奥さん。失恋がきっかけでたどり着いた無人島の生活で、何もなくても生きていけるという自信がつき、それが子供たちとかかわり続けている原動力となっているそうです。
現在、コロナを経験して不安もあるし、何を信じていいのかわからない。これは、無人島での生活を経験した時も同じでした。
今まで経験したことがない状況を乗り切るには何が必要か。私は
1.変化する力・対応できる力
2.自分軸
この二つが求められていると感じています、と奥さんは話します。
必要とされているのは、生き生きと輝いた魅力ある人たちです。
外からの風の時代がやってきていると感じています。奥さんにとっては、
島田さんや水曜朝9時からのこのFRaU WFH*(うふふ*) Meetingも、風にあたるとのこと。そして、ヨットの帆を押し進めてくれる風が必要だと考えているそうです。
秋田でのワーケーションもそのひとつ。風によって融合したところから生まれるものがあるのです。
私はこの秋田の地で、子供や大人の生きるエネルギーを育てていきたいし、それが自分の使命だと考えています。私が100歳になっても地域の寺子屋としてやっていきたいと力強く語る奥さん。奥さんの無人島生活のお話は、多くの参加者を引き込みました。
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奥さんはチャッカマン
奥さんのことをよく知る島田さんは、奥さんのことをこんな人だとお話されました。真由美さんは、これをやりたいということをつかみに行く力・ぶつかりに行く力が大きい人です。いろんなところに接点をつなぐチャッカマンのような人なのです。
石川さんも、実際に無人島に行って暮らした奥さんの話を聴いて、考えたことを実行する力が本当にすごいと驚かれました。
子供たちはどう変わったか
40日間の船旅と話しましたが、無人島到着後も船酔いがひどくて1週間くらいの間、子供たちは寝たきりでした。起きれるようになって、甲板に出てきた彼らは変わっていました。寝たきり状態から起きれるようになるまでの間に、子供たちの気持ちはリセットされてゼロ状態になっていたのです。
誰が何を子供たちにしてあげたのではなく、海が自然とそうしてくれたのです。無人島では何を教えなくても、彼らがたくましく成長していくのを目の当たりにしました。
当時の子供たちの今は?
無人島から帰国後、学校に戻った子もいれば、プロのサーファーになった子もいました。
当時の子供たちは今43歳、44歳になりました。今でもつき合いがあり、やりとりをしています。当時の話はよくします。当時のことが、彼らの子供たちの育て方にも影響を与えていることを感じます
自分軸の大切さ
うふふ*で地方の自治体の方とどんどん連携したいと呼びかけたところに、声を上げてくださったのが奥さん。先週総務省に秋田県仙北市長とともに来てくださいました、と箕浦さん。奥さんのお話に出てきた変わる力と自分軸。
自分軸の話は、このうふふ*でお話くださる方の多くが触れていると感じます。海が子供たちを変えてくれたというお話も、自分軸と化学反応を起こしたことでいい結果を生んでいるのかと思いました。
コロナで、リモートでつながれるようになったことで、人のつながり方が多様化しました。コロナ前なら、今日のようなミーティングは東京でやることが多かったですが、今はどこで集まってやっているのかわからない。今日は最初に福井県高浜町からの中継があり、奥さんは秋田からお話されていました。田舎・都会という概念が変わってきています。
無人島のように何もないところで、自分の大切なものは何かが逆によく見えたのではないかと思いました。掛け値なしに大事なものがまっすぐ見れるいいチャンスだったのでしょう。子供たちに何かしたいという強烈な軸を奥さんが持っていたからこそなのだなと感じました。
今と昔の子供を取り巻く環境に変化はあるか
15年以上前、青年会議所で横浜のコロンブスアカデミーといろいろやり取りさせて頂きました。不登校児、引きこもりの子供たちをお好み焼きさんでトレーニング、企業まで支援する取り組みです。今も横浜の石川町や根岸でお好み焼ころんぶすをやっています。不登校児がお好み焼き屋さんで働いて、自立して働けるように支援していました。今日の奥さんのお話を聴いていて、その時のことを思い出しました。奥さんは当時と今の社会、子供たちを取り巻く状況、子供たちそのもの、どのように変わったと感じられていますか、と大川さんから質問がありました。
お好み焼ころんぶすの金森さんは、今日紹介した大航海コロンブスの流れを引き継いでくださった方です。子供たちは今も昔も本質的には変わっていないと感じています、と奥さん。
ただ子供たちに対する親のかかわり方が過保護になっていることが気になっています。かわいいかわいいというだけで育てている親御さんが増えているので、昔よりも子供が自立する力をつける機会が減っているのです。全部親がやってあげて、自分で考えることのできない子供が増えています。子育てのゴールは自立。そのゴールが今の親御さんが見ることができているのかを危惧しながら日々の塾の指導にあたっています、と奥さんはお話されました。
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島田さんからはこんなお話がありました。人にギブしたいという人は、時にギブすることが目的になってしまうことがあります。自分の場所で自分なりに本当にありのままの思いでギビングすることが大切だと思っています。ギビングする場合、それをしっかり受け取るレシービングする人がいないといけません。ギブする人は、自分もしっかりレシーブすることも忘れずにしてほしいのです。
この日、島田さんは宮崎県新富町からの参加でした。
地域に来ると自分のBeingが確かでないと人ときちんと出会えないですよね、と石川さん。
まさにそうなんです、と島田さん。たとえばよく質問されることで、人脈を創りたいということがあります。でも、人脈を創りたい、広げたいと思っていること自体エゴだと私は思っています。それは創るものではないのです。結果として、人とのつながりができていく。自分のやっていることに対してのあくなき興味と自分自身を好きかどうか。それをやっていると自然とつながりができていく。
やはり自分の内側を整えることが大切で、それを起こせる場所の一つが地域だと思っています。
働き方×地域ということにフォーカスしてうふふ*をやっているので、今日の奥さんの秋田からの発信や視野は、とても心に響きました。
関編集長の編集後記
1年くらい前に、「美しくなる、秋田への旅」と題して、まるごと1冊秋田特集をやりました。表紙は秋田犬でした。苦労したのは、秋田についての情報が少なかったことです。
るるぶにもあまり載ってない。NHKのブラタモリで全県制覇したと聞いていましたが、実際には秋田には行っていませんでした。秋田は情報が少なく、忘れられがちな県という印象でした。秋田県庁の観光課に行っても、あまり熱心ではありませんでした。
ところが、実際に取材でまわってみると、いいところがいっぱいあるのです。醤油・醸造の文化が熟成していたり、伝統工芸品のセンスがよかったりします。
また自然がいっぱいです。たとえば白神山地はブナの林が縄文時代から変わらない形で残っていることで、世界遺産になっています。日本で縄文時代に人口が多かったのは、東北だったそうです。寒くても豊かだったから、人が住んでいたのでしょう。
今の秋田の人は、秋田の良さに気づいていないようでした。
このFRaUの「美しくなる、秋田への旅」号は、売れました。中でも秋田では特によく売れました。秋田に私たちFRaUが取材に入っていったことで、奥さんの話されていた「風」を私たちが運ぶことができたのでしょうか。
秋田は実際に行ってみて、すごくいいところだと思いました。島田さんが話されていたギブとレシーブの話ですが、風を運んでいることがギブだとしたらそれを受け止めるレシーブが絶対あるはずです。その場合のレシーブとは、風を送ることができたことで心を温めてもらうことだといえます。東北に限らず、風を運ぶ温かさをもらうということを日本中でできるといいなと今日の話から思いました、と関編集長が締めくくられました。
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今回は、奥さんのプレゼンを短くしていただき、参加者の皆さんに発言していただける時間を多くとれるようにしてみましたが、こういった形で進めてみてよかったです。今日の奥さんのお話から軸が大切ということに気づかされました。軸がぶれなければやっていていいんだという勇気を、朝からもらえた。日本を変えていくことにつながる朝の1時間に今後もしていけたらと思っています、と石川さん。
「奥さん、改めて最後に一言お願いします」との石川さんの言葉のあとに、奥さんはなんとこうおっしゃったのです。
実は私を思いっきり振ってくれた彼は、今の夫です。私をゼロにしてくれて、そこから結婚できた。あの時結婚していなくてよかったと、心から思っています。
大失恋して無人島にまでいくきっかけになったのが今のご主人とは。この展開にみんなが驚くとともにハッピーな雰囲気になりました。
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本日11月11日(水)朝9時から10時の第15回FRaU WFH*(うふふ*) Meetingの「働き方の新しい波」は、「CSR48という社外とのネットワークが本業にも活きている働き方」について、太田康子さん(CSR48総監督)にお話しいただきます。
後半のコーナーは、参加者皆さんのお悩みの相談をうかがえればと思います。悩みはその人だけのものではなく、みんなのヒントにもなるからです。
お申込みまだの方はこちらから
FRaU WFH*(うふふ*) Meetingは、毎週水曜日朝9時から10時。お時間取れるタイミングで、ぜひご参加ください!
文:宮崎恵美子
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第0回(2020年7月29日レポート):WFH*については、こちらでご覧ください。
https://note.com/teamwaa/n/n22a021812f1d
WFH*の読み方は「うふふ」 / 第2回FRaU WFH* Meeting開催報告(2020年8月12日レポート)
https://note.com/teamwaa/n/n18a7a94ee6fc
政策につながる組織のミッションとして行えたからこそ、環境省の「選択と集中」プロジェクトは成功した / 第3回FRaU WFH* Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n1b74d08d63dc
ロンドンで、日本の「働き方」がすべてではないと気づいた / 第4回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n72e227a57b21
ワーケーションで、人や自然に感謝し、幸せを感じられるようになろう! / 第5回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n0bf44fc20fda
"はたらく"に歓びを 誇りを持てる仕事をしていこう ! / 第6回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n54aeaf037d4f
自分の得意なこと・やりたいことでキャリアを築くには / 第7回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n4529ab67eb37
真のダイバーシティにつながる働き方とは? / 第8回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n49a14e4cef62
2拠点生活から見えてきた大切なこととは? / 第9回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n1e9bdedba70e
楽しみながら仕事をしていくコツは?/ 第10回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n51b79973453e
週休3日で、自分の時間を自由に創造的に使えるようになる !! / 第11回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n1b92b13d48dc
乗り越えてきた痛みは、必ず誰かの助けになる / 第12回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/ndf37a36446e0 サラリーマンの幸せは"マネージャー"で決まる / 第13回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n6b5a34dcb380