ビタミンクエスト~行きばたりバッチリなブログ~ vol.2
(はじめに)
前回のnoteで、普段私たちが会話してるようなことをそのまま出したことで、受け入れてもらえたような感覚があって、すごく気が楽になりました。というのも、種市さんとのお茶会で話してるような内容でしたし、読んでもらうことを想定しないような文章は、今まで自分では書けませんでした。
そんなことから「そのままの自分を受け入れてほしい」という気持ちが自分の中にもまだまだあるのだと気づかせてもらえました。コラボブログとしてはじめてみたら、聞き手・書き手・読み手のみなさんが総動員でビタミンのセラピーをしてくださってるんだと思いました。
この場を借りて、ここに訪れたくれた方へ感謝の気持ちをお伝えできたら嬉しいです、ありがとうございます。
ビタミン 高松&タカナシ
ビタミンクエスト~行きばたりバッチリなブログ~ vol.2
Social Change Lab合同会社・代表の種市 慎太郎さんと二人が毎月の出会いや学びをシェアし合う中で生まれた会話をインタビュー形式で書き起こしていくマガジン企画「ビタミンクエスト行きばたりバッチリ」
二人が考えていることや最近の学びを共有することで、二人との会話のきっかけとなればと連載しています。
前回の最後にさまざまな選択肢の中で悩んでいる私たちなりに動き続けながらも、気持ちとキャッシュの狭間でバランスを取るポイントを探していきたいと話していた二人。
今月はどのような「行きばたりバッチリ」があったのか?気持ちとキャッシュの交点探しに進展はあったのか?ぜひご覧ください。
▼前回の記事はこちらから
今月の行きばたりバッチリ~ビタミンの本棚~
種市:1ヶ月経つのが本当に早いですね。僕は今月北海道から東京に出張に行ったのですが、春の訪れをすごく感じました!春といえば読書の春!...とは言いませんが(笑)、今月も読まれた本の中で感銘を受けたものをぜひシェアしていただければと思います。
タカナシ:田坂広志さんの「目に見えない資本主義」という本がとてもおもしろかったです。前回、田坂広志さんのブームがきている一方でまだ言語化できていないとお話したのですが、やっとこちらが言語化できるようになってきたのでシェアさせてください。
タカナシ:世界全体を覆う経済危機の中で、これから資本主義に何が起こるのか?読み解くために資本主義の進化を解説した本です。
この中で、従来の経済学の土俵は「マネタリー経済」である一方、お金で評価することができない資本ともいえる知識や関係などの「目に見えない資本」をベースにした「ボランタリー経済」が重要であると述べている部分があって。
ここが先月お話した柄谷行人先生の『力と交換様式』で触れられていた、マルクスの経済学と繋がるものがあり、おもしろいと思ったんです。
種市:先月お話されていた「気持ち」と「キャッシュ」が「ボランタリー経済」と「マネタリー経済」に進化したのですね!
マルクスの経済学というと、下部構造(経済)という社会全体の土台が上部構造(法律的・政治/イデオロギー)を因果的に決定すると述べられています。
タカナシ:そうなんです。何をベースに資本主義をやるか?という文脈はまさにマルクスの経済学ですが、自分たちはボランタリー経済を下部構造として上部構造を作ろうとしているんだというのが新たな気づきでした。
日々人とお話しているとさまざまな価値観に出会うのですが、このときに「僕らと言ってることもアクションも近いのに、微妙に話が噛み合わないな」と思うことがあって。それは多分、下部構造が違うからなんだなと腑に落ちました。
種市:なるほど!実は、ビタミンのお二人と同じような想いで何かに取り組むプレーヤーの方とお会いすることがある一方、お二人とはどこか違うなと違和感を感じることがあるんですよね。
「ジャンル」が違うのかと思ってたのですが、上部構造と下部構造の違いだと捉えるととても分かりやすいです。
高松:ビタミンの場合は、ボランタリー経済の上部構造に、どうやって気持ちよくマネタリー経済を乗せられるのか?ずっと苦慮しているんですよね。(笑)
「サンタクロース性」は、具体性の先にあるのでは?
種市:マネタリー経済とボランタリー経済は片方だけではいけなくて、どちらもなくてはならないということですね。お二人が前回述べられていた「サンタクロース性」にも絡んできそうな話だと思うのですが、ここから得た気づきや学びはありましたか?
タカナシ:先月のブログで触れた柄谷先生の交換様式Dと、田坂先生のおっしゃるハイブリッド経済(ボランタリー経済とマネタリー経済を融合した経済のカタチ)は、僕の表現だとサンタ性について言ってるのかもと思ってるのですが、本が答えを出してくれるわけではないんです。
だから今は、サンタクロース性を読み解くヒントは、具体的な経験を積み上げた先で見出した普遍性にあるだろうと思っていて。
これからはサンタクロース性について考えるフェーズから、僕らが「サンタ性っぽい」と思うアクションを具体的に実行するフェーズに移っていきたいです。
種市:具体性を積み重ねた先の普遍性...またおもしろい言葉が飛び出してきましたね。
タカナシ:この言葉を知ったのは、哲学者であり小説家の千葉雅也さんと、アーティスト・坂口恭平さんの対談動画をみて、つながってきました。
坂口さんがおっしゃってた、全部本番で生きている人たちは、一言一言が全部完全な具体と付き合っているので、固有の解なのにハンパなく普遍性がある。特別な固有の解にしか普遍の道はないとも言えると語っていた部分がひっかかってメモしていました。
種市:確かに、あえて具体的に語ることで曖昧な要素が消えて、他の人が参考にしたりプロトタイプ化しやすくなるってことありますよね。
僕はお2人とものすごく長い交友があるというわけではありませんが、それでも思想がなんとなく理解出来るのは、ビタミンがまわりの方1人ひとりとどう向き合っているかをエピソードとして聞いているからなのかもしれません。これも具体的なエピソードから思想という普遍性を語る1つの例ですよね。
今月本棚に追加された、バッチリな本たち
種市:高松さんは、今月読まれた本で印象的だったものはありますか?
高松:今月、岡山のセミナーに登壇しに行った際に立ち寄ったカフェで出会った、『はかれないものをはかる』という本をおすすめさせてください。旅をしているからこそ出会えた素晴らしい本でした。
「はかれないものを "はかろう" とすることは、そこにある本質に少しだけ近づこうとすること。」と、「純真を保つために白色」「積み上げた言いわけのもろさ」など定量的にはかれないものをイラストで表現されてて感動しました。
種市:『はかれないものをはかる』......イラストにして捉えるとは、伝え方のイノベーションを感じますね。
高松:人のもやっとしたところを大切にしたいなと思いました。自分自身を知ってる範囲でしか他者により添えないからこそ、自分をよく観察する大切さを思い出させてくれました
コンセプトもはっとさせられましたし、ぜひ多くの方に共有したいなとおもった1冊です。
人に会いに行く旅、今月の出会いは。今月の物理的な出会いは?
種市:岡山にセミナー登壇に行かれたとのことで、今月もさまざまな場所に行かれたようですね!
高松:ざっくりといえば、岡山や九州、沖縄に足を運びました。
タカナシ:九州は福岡と宮崎、熊本、大分に行きましたね。
高松:そうそう、大分の別府でミラクルなことが起きたんですよ。友人のノッポさんが、偶然同じ宿にいてびっくりしました。タカナシさんが自然と話ができる数少ない人で、このタイミングで再会したのにはなにか意味があるぞと思ったんです。
種市:すごい偶然ですね!
タカナシ:実はノッポさんと会うのはその日が2回目だったんですが、僕にとって彼は世の中に5人いるかいないかくらいの「考えなくても言葉が勝手に出てきてしまう」存在なんです。
高松:隣でみていると、2人は言葉であまり会話してないんですよね。出てくる言葉以上のコミュニケーションが多分彼らの中で行われているんだろうなと。
恐らく、持っているデータベースや問いが近いのかなと。その上で全然違う部分もあるので、お互いの言葉が思考プロセスがインスピレーションを引き出しあってるような……。
タカナシ:実は「タイトルの行きばたりバッチリ」もノッポさんの言葉から生まれたものなんです。
種市:まさかのタイトル回収が起きましたね。(笑)となると、今回の会話の中でも何か得られた問いや考えがあったのではないですか?
タカナシ:まさに先ほどお話した具体性と普遍性のお話とのリンクがありました。
ノッポさんが「概念が大きいと起こりづらい、小さいと奇跡が起きる。身体的に大きくして概念的に小さくする。」という話をしてくれて。
僕はその時まだピンときていなかったんですが、「今、ノッポさんはすごく大事なことを言ってくれた。後々回収していくんだろうな」と思って、メモしてたんです。
タカナシ:こういった意見交換から伏線回収がノッポさんとの会話でよく起こるのは、心の距離が近いからなのかなと僕は勝手に思ってます。
種市:心の距離が近いからこそ、ノッポさんの言葉が後々に回収されるような機会が多いのかもしれないですね。サンタ性といい人との繋がりといい、ビタミンさんの周りに起きているコラボレーションは曼荼羅のような心の地図が広がっていそうです。
タカナシ:確かに、それ面白い!色んな形で交流が生まれるのはすごく曼荼羅っぽいかも。実は岡山の古本屋さんで曼荼羅の本をお勧めされて今読んでます。(笑)
高松:自分たちがこれをやっている!みたいな我のような感情がやっと薄れてきたのと時間の有限性に気づいてきたのもあって、誰と一緒にやるかってほんと大事だなと。
エネルギーと時間をお金以外の要素に交換すると何が起きるのか?今のお二人の関心
種市:1人で貨幣を増やす経済構造よりも、共鳴しながら価値を生み出していくことを大事にする意識は、ビタミンさんの考えに根付いている気がしました。となると、今のお二人の関心はやはりサンタ性をはじめとした人との繋がりなのでしょうか?
高松:タカナシさんがよく「エネルギーの方向性」って言っていますね。
タカナシ:最近、浅田彰先生の『構造と力―記号論を超えて』の本に出てくる「クラインの壺」の話にとても納得していて。今は人間のエネルギーがお金に集約されて、それがまたエネルギーに帰ってくることによって経済が成り立っているという話です。
▼現代のロシュフコーさんの動画が分かりやすく解説されていておすすめです
ただ、僕らの下部構造はボランタリー経済寄りなので、資本主義ありきの形にはあまり関心が持てなくて。代わりに、エネルギーをお金ではない形に変換することはできるのか?その先には何が起きるのか?に好奇心があります。
種市:お金ではない経済のカタチに興味があるというお話は度々出てきていますが、それはどのような疑問から生まれた考えなのでしょうか。
タカナシ:仕事って、エネルギーと時間をお金に交換する行為だと思っていて。
若いうちは欲望を一度お金に保存しておくのは良いと思うんですが、年齢を重ねるにつれてエネルギーをお金に変えて保存することに逃げずに、欲望の純粋性を追い求めたり、解像度の高い欲望に向き合ったりする必要があるんじゃないか?と自分自身が思い始めて。
それが僕にとってはサンタクロース経済を突き詰めることだったり、マネタリー経済とボランタリー経済がマージする曖昧な部分に構造を見出したりすることなんです。
種市:なるほど。人間の脳の7割は使われていないというお話もありますが、その7割にエネルギーの方向性を向けることがビタミンのお二人が目指すサンタクロース経済の在り方なのかもしれませんね!
今月、何する??(4月の問い)
種市:曖昧になっているところに構造を見出そうとしているというのはお二人らしいですし、その方法こそが先ほど仰っていたように、小さな具体を重ねて普遍性を突き詰めていくところなのかなと思いました。今月はやはり具体例を重ねるフェーズなのでしょうか?
高松:タカナシさんにはボランタリーに振り切っていただこうと。(笑)
思想ファーストでこの結論に至ったように聞こえるかもですが、実はタカナシさんが「天然ボランタリー気質」という現実的な話があるんです。タカナシさんがビジネスを考えて動くと、みるみるとエネルギーが低下していくんですよね。
この天然に一点集中したほうが本人も周りも幸せになりそうだよね、と。
タカナシ:全国各地を飛び回って、スタートアップのマーケティング保健室をやっていこうかなと。そういうのが好きなんですよね。「サンタクロースキャラバン」と呼んで取り組んでいきたいと思っています。(笑)
種市:今までもやってきたことを、非営利化する。きれいな言葉にまとまっていますが、ものすごい決断ですよね。
高松:今までとやってることはあまり変わらないのですが、表明してというのははじめてですね。
タカナシ:場合によっては今までよりも売上が増えることも考えられるんですが、大事にしたいのは自分達のためにお金を溜め込まないことです。サンタアクションも「どこにどんなお金が動いたのか?」の数字もすべてオープンにしていきたいなと思ったりします。
種市:お二人にとっての非営利性は収入を得ないことではなく、自分達の懐を肥やさないことにあるのですね。ちなみに、来月はどんな場所に行かれる予定ですか?
タカナシ:決まっている予定で言うと、4月の末に長崎の刺繍工場さんにお伺いしたり、熊本市のスタートアップ支援施設「XOSS POINT.」さんで登壇の予定があります。
飛行機でいくのは簡単なのですが、静岡から電車でゆっくり移動して、支援家の方や友人に会いながら、新しい世界線が生まれるようなキャラバンにしたいなと。
種市:キャラバンですか!おもしろい!(笑)
高松:今回はタカナシさんのソロなので、私もあとで聞くのが楽しみです。
種市:また様々ないきばたりバッチリがありそうですね。高松さんとタカナシさんがそれぞれどんなことをされたのか?別々の動きを聞くのは来月が初になりそうなので、とても楽しみです。
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