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「こだわり」「思い入れ」ってほとんど伝わらない…伝わるのは「雰囲気」だけ

同じような商売をしている人たちと自分はどこが違うのか?
商売に限らずとも、周りの人たちと私は何が違うのか?

こういった違いを明確に打ち出すことを一般的に「区別化」とか「差別化」という。
そうする場合、明らかに他の人より「優れている」部分、つまり「強み」を押し出すことが多いのではないだろうか。

ただし、状況によっては…たとえばニッチなものや嗜好性の高いものにおいては必ずしも「優れている」ことが求められるわけではなく、単に「視点が違っている」だけとか「さらに細分化している」だけで選ばれる要因となりうることがあります。

「視点の相違」「市場の細分化」と書いてしまうと面倒くさそうなマーケティング理論のような表現になってしまうが、オーナーや店主の経験から導き出された肌感覚的な言葉や行動に置き換えるならば

「こだわり」
「思い入れ」

こういった言葉に置き換えた方が分かりやすく、自分の取り組みの中に取り入れやすい気がします。

「こだわり」や「思い入れ」は自分の考えを行動に移すだけなので、新たな知識や経験も要らないしお金もかからない。

もちろん、さらに一歩踏み込んだ「こだわり」を出したい場合は知識習得を求める場合もあるし、新たな品揃えや設備のために費用捻出も必要かもしれないが…ここでは置いておきます。

しかし、この「思い入れ」や「こだわり」というのは発信する側は積極的に打ち出すのに、残念ながら受け取る側によく噛まれられずに丸飲みされてしまっているような気がしてならないのです。

「雰囲気」に「ごまかされる」っていい方は失礼かもしれないけど、受け手側の「ココロ」の持ちようでいかようにもなってしまうのではないか…と。

いうなれば「思い入れ」「こだわり」という錠剤が「雰囲気」という水といっしょに飲みこまれることでそのまま胃袋に流し込まれているイメージ。錠剤の味は全くわからないのだ。

たとえてみよう…ここに1軒のカフェがある。

マスターが「静かな空間を提供したい」という「こだわり」から無口で作ったような愛想は振りまかない人だったとしよう。
「多分、このマスターはいい人なんだろう」と決めつけてその場に居合わせれば「『一人時間』を満喫できる静かな雰囲気がたまらない」と極上の空間になる。
でも、お店の佇まいやSNSの写真からなんとなく陽気なものを期待した人は「終始無言でサービス精神のかけらもない」とあまり居心地がよくない場所となってしまう。

逆に、マスターが「フレンドリーなコミュニティスペースにしたい」という「こだわり」から、自分の方からお客様にどんどん話すような人だったとしよう。
同じように「この人はいい人なんだろう」と決めつけて接すれば「お喋り好きで気さくなマスターとのトークタイムが最高」と満足する。
しかし、そのマスターのどこかになんだか癇に障る感覚をお客さんが持った場合は「雰囲気を台無しにしてプライベートタイムに土足で踏み込んでくる」と二度と来ることがないお店になってしまう。

つまり、この何となくの感覚…これは「雰囲気」としかいいようがないのだが…が受け手側の全てを決めているのです。

さらにいえば、「思い入れ」や「こだわり」以前のサービス内容、品揃えや価格設定、販売促進方法などの細かな業務プロセスよりもまずは相手への先入観作り、雰囲気作りが大切なのです。

そして「雰囲気」は必ず「思い入れ」「こだわり」とイコールにしなければならない、そうすることに最大限の力を注がなければならない…ということなのです。

「雰囲気作り」は、雰囲気を意図的にまたは作為的に作り上げるのか、元々自分が素で持っている雰囲気をそのまま反映させるかはそれぞれの選択。

自分のありのままの姿を雰囲気や相手が感じる先入観にしてしまえば、あとはとても楽…一切気を遣うことがないのだから。

ただその素の自分が相手に好印象で受け入れられるか否かはまた別問題なのですがね。

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