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UNLEARN(アンラーン)とは?〜成長につながる問いかけコーチング#14〜

※ Voicyチャンネル『成長につながる問いかけコーチング』より、内容を再編集したものです。

失敗は痛みを伴い、ショックを受ける

先日、早稲田大学ビジネススクール教授、入山章栄先生のラジオにゲストとしてお招きいただき、収録を行いました。

入山先生に私の会社、チームボックスについてたくさん質問をしていただき、ひとつひとつ答えていたんですが、とある大事な話をしているときにある言葉が思い出せなくなったんですね。
その言葉はチームボックスとしては非常に大切にしている言葉で、もちろん私自身もずっと大事にしている言葉なのですが、これがもう全く出てこなかったんです。その言葉は何かというと「Unlearn(アンラーン)」です。

会社でも一番軸としているような大事な言葉が、急に飛んじゃったんです。ラジオ出演に緊張していたというわけでもないんですが、思い出そうとしても全然出てこなかったんですね。よく「失敗から学ぶ」とか「人の成長には痛みを伴う」とか言いますが、まさにこれを体験しました。

どれだけ思い出そうとしても全く出てこず、最終的には、横で聞いていた他のメンバーからカンペを見せられて、「Unlearnだ!」と思い出しました。このとき、私は「ガーン」とショックを受けたんですが、この状況は実は「ガーン効果」と言って、学びにつながるものなのです。

人間の記憶は、感情と紐づいています。なにかを思い出すときの苦しさ、もがき、この困難な学習が人間の記憶を高めたり、学習効果を上げると言われています。今回、私は最後まで自分で思い出せなかったんですが、この「ガーン」と感じた感情が「Unlearn」という言葉と紐づいたので、もう「Unlearn」という言葉は忘れないと思います(笑)。

忘れてしまったこと自体は、実は大した問題ではないのでいつでもリカバリできます。ただ、この「ガーン」とショックを受けたツラい体験こそが次へつながる、学びのきっかけとなるので、私自身も今回の失敗を学びへと活かしていきたいと思っています。
あなたは最近失敗から学んだことはありますか?ぜひ、今日も思いっきりチャレンジして失敗し、学んでいきましょう。

学びに必要なフェース、Unlearn(アンラーン)

ところで、この「Unlearn(アンラーン)」という概念、これはチームボックスでも大事にしていますし、私自身がラグビーの指導者や企業のリーダーにトレーニングをするときにも、必ず伝えている学びのポイントです。

Learn(学ぶ)という単語に否定を意味するUnを付けた、このUnlearn(アンラーン)という言葉。最近では時折耳にする場面もありますが、私自身はこの言葉をを15年ほど前から学びや指導の現場で使っています。Learnに否定のUnが付いているので、「学ばない」ということ?と誤解する方もいますが、そうではありません。今まで学んできたことを、一度ゼロにし、再び学び直す、そのような意味です。人間は過去の成功体験や、積み重ねてきた経験、その中で培ってきた理論など、自分自身の思考の枠にハマりがちですが、もし新たに何かを学んだり、自分のステージをさらにあげようとするときには、このUnlearnが必要です。

自分の経験や哲学を一旦ゼロにするのは、非常に怖いですよね。それでも新たに学びを得るためには、自分自身を水の抜けたスポンジ状態にして、吸収しやすくすることが大事です。Unlearnが必要な状態の例として、フィードバックを受けたときというのがあります。多くの人にとって「誰からのフィードバックなのか」が重要で、尊敬している人・信頼できる人からのフィードバックは受け入れやすい一方、自分より年齢が下、役職が下、自分の専門と全く関係のない人からのフィードバックはなかなか受け入れづらい傾向にあります。でも、もしかすると全く関係ない人から受けるフィードバックには、自分には気づきもしなかった新たな視点があるかもしれません。「誰が言ったか」ではなく「何を言ったか」にフォーカスする、これもUnlearnの一つの形です。

Unlearnするためのポイントとしては、「教えてもらう」という意識より「純粋な好奇心を持って学ぶ」ことです。例えば自分にとって嫌なフィードバックを受け取ったとします。そのときに一方的に押し付けられていると感じ反論しようとするのではなく、「なぜこの人はこんなフィードバックをしたのだろう?」と興味を持ってみる。その観点はどこからきたのだろう?と純粋な好奇心を持って捉えてみましょう。

私自身もUnlearnを大切にしているからこそ、自分へのフィードバックをよく聞くことにしています。自分より若い人からもらうこともありますし、ラグビーの指導をしているときは、選手からもらうこともありました。
Unlearnをするときには、自分は人からどう見られているのだろう?と客観的にとらえるようにしています。例えば、録音した自分の声を聞くとき、普段自分が喋りながら聞こえている声と全然違ったりしますよね。人は自分のことは見えません。だからこそ、そこに好奇心を持ってみるというのもUnlearnの一つです。

これも一つの学びのプロセスなので、心地良いか悪いかでいうと、当然心地悪いこともあります。けれども、1日1回くらいUnlearnしようと私自身は思っています。よく「そんなにUnlearnしていたら自分がなくなるじゃないか」「本当にそんなに大事なことなのか」と反論する人もいますが、もちろん24時間ずっとUnlearnしていたら大変ですよ。大事なのは、Unlearnし、Relearn(リラーン)しましょう、ということです。一度こだわりや固執を捨てて、新たな気持ちで学び直す、そして新たにいろいろなものを吸収していきましょう。

最近あなたはUnlearnしましたか?今日はどんなUnlearnが待っているでしょうか。それでは、今日も1日Unlearnのアンテナを張りながら過ごしていきましょう!


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