あなたの話は脱線しますか?〜成長につながる問いかけコーチング#115
今日の問いは「あなたの話は脱線しますか?」です。
いかがでしょうか。喋っているうちに何を言っているかわからなくなること、ありませんか? 他者から「あなたの話はいつも脱線するよね」と言われたりしませんか?
心当たりのある方も多いと思います。では、こういった事実をどのように受け止めるか。これに関して私が最近気づいたことがあります。
ここ数回「自己肯定感を高める」や「他者の関心ごとに関心を寄せる」というような問いかけをしてきました。
そのきっかけとなったのは、以前も書いたように、沖縄の貧困問題を研究している沖縄大学の樋口耕太郎さんとの対談でした。
私がモデレーターをして樋口さんに語ってもらうスタイルでしたが、対談の中で何度も樋口さんの話が脱線していったんですね。おそらく聞いてくださった方の中にも「あれ、この話どこへ向かうんだろう?」と思った方もいるでしょう。実際に樋口さん本人も「今何の話ししてたっけ。忘れちゃった」と途中で気づくことがありました。
このように話が脱線する場合、多くの人はその事象をネガティブに捉えてしまいます。平たくいうと「話が脱線する=頭の悪い人」のように捉えられてしまうんですね。話が脱線するよりも理路整然と整理してわかりやすく説明する、これを頭の良さの象徴と捉えていることが多いです。
確かに綺麗に物事を整理し、わかりやすく伝えることは能力のひとつでもあり、特に組織のリーダーには求められることでもあります。
ですが、それだけでは語れない場合もあります。
以前、こちらもウィニングカルチャーの対談で、元大空小学校校長の木村泰子さんと話をしました。
この対談はご覧いただいた方からも「魂の対談だった」とたくさん感想をいただくほど熱のこもった対談でしたが、このとき木村先生も何度も話が脱線したんですね。ご本人も途中から何を話しているかわからなくなり、「すみませんね。私、話があっち行ったりこっち行ったりして。あはは」と笑っていました。
しかし、樋口さんも同様ですが、話は脱線するものの、言っていることに一貫性があり、話すこと自体に没入しているというのが伝わってくるんですね。私からの質問に答えていくうちに、自分の魂が勝手に語り出してしまうような、そんなイメージを持ちました。
もちろんテクニカルな話で言うと、モデレーターとしては脱線した話を引き戻すのは大変です。でも、あえて話を引き戻すよりも、自由に話していただき、彼らの魂から発せられるほど熱量のこもった言葉を引き出す方が、後から振り返るとしっかり心に入っているんですね。それに気づくことができました。
私はどちらかと言うと理路整然と淡々と話すので、魂の叫びが無い部類に入ります。私の話し方とは対照的なお二方の語りぶりを受けて、本当に心を込めて語ることの意義とは何かを感じました。
今回、公開されている対談を例に挙げて話しましたが、実際に私が定期的に行っているミーティングでもこのようなことを感じる場面があります。ある世界的なサービスを作っている日本人経営者との定期的なミーティングがあるのですが、彼もまた話がよく脱線します。彼の想いが先行して、自分の考えと異なる想いをぶつけられると、それに被せるように語ってくれるわけですね。やはり彼の熱量にも圧倒され心を動かされます。
もちろん毎回脱線することが必ずしも良いわけではないですし、安易に脱線しにいくのも良くないです。しかし、魂の叫びから出てくる脱線はどちらかと言うと肯定的に捉えられるのではないかと思いました。
どうしても我々は論理的で綺麗に整理された情報を好みがちですが、もう一度コミュニケーションのあり方を考えてみることも大事だと思います。
もう一度問います。
「あなたの話は脱線しますか?」
脱線するから「ああ、良くない...」と思うのではなく、ときには脱線するほどのあなたの熱い想いを語ってみてはいかがでしょうか。
※ 本記事は、中竹竜二Voicyチャンネル『成長につながる問いかけコーチング』より、内容を再編集し、記事化したものです。