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最高の準備とは?〜成長につながる問いかけコーチング#94
あなたはきちんとした準備をしていますか?
こう聞かれて自信を持って「はい!」と答えられる方は、普段から準備や段取りを大切にしている素晴らしい方です。ちなみに私は常にドタバタしているので、準備自体はしているものの、きちんとした準備ができているかというと行き当たりばったり感は拭えません。
でも、ラグビーで現場を指導していたときにはかなりの時間を準備に充てていました。練習の準備だけでなく、ミーティングの準備、試合の準備、全て徹底的にやっていました。特に監督時代は他のことはあまりせずにそれだけに集中していたので準備するための環境も整っていたし、準備自体が楽しかったと記憶があります。
コーチングディレクターとして色々なスポーツの指導者を指導することがありますが、その際、かなり早い段階で必ずコーチに伝えることがあります。
準備を失敗することは、失敗を準備することだ
この言葉、私も初めて聞いたときはドキッとしました。準備を念入りにしなかったり疎かにすることは、失敗を準備していることなのだと。この言葉を聞いたコーチはヒヤッとすることでしょう。
スポーツに限らず仕事の場でもそうです。準備の大切さはどんな場面でも痛感します。私自身、この言葉を言いながら反省することは多々あります。
スポーツではだいたい「プレシーズン」と言って、本シーズンの前に準備のシーズンがあります。このプレシーズンに注力することが、本シーズンの結果にもつながります。ビジネスだとなかなかプレの期間を設けることは難しいですが、もしできるのであれば本番に向けたプレ期間を設けてみると良いでしょう。
さて、準備が大事なのは皆さんもすでにわかっていると思いますが、最高の準備とはどんな準備でしょうか?最高の準備ができている状態とはどんな状態でしょう?
ラグビー日本代表の元ヘッドコーチであるエディ・ジョーンズ氏の徹底的な準備は印象的です。コーチに対し練習プランの宿題を出すのですが、練習前の段階で何度もダメ出しを繰り返し、差し戻していたといいます。しかもたった15分の練習に対してです。例えばあるコーチがようやく練習プランの合格をもらったのに、「雨が降ったらどうするの?雨の日のプランも考えるように」と言われ、愕然としたというエピソードがあります。それくらい徹底的に準備にこだわっていたのです。
また、私が監督をしていたとき、当時のキャプテンが大会の準決勝に勝利した際のインタビューで「最高の準備ができました」と言っていたことがあります。私はこれを聞いて、このチームは決勝も必ず勝つだろうと確信を持ちました。
この準決勝は相当苦戦した結果、かろうじて勝利した試合でした。それまでこの試合に向けて最悪のシナリオを何個も用意して、どんなことがあっても跳ね返すシミュレーションをして準備してきたのに、それ以上に予想外のことが起こる厳しい試合だったのです。この試合では、これまでの準備を上回る決勝に向けての準備ができました。
決勝に行くまでの練習、試合、全てのプロセスを決勝の準備だと捉えると、そこまでにいかに最悪のシナリオを想定しておくかが重要なのだと思います。最悪のシナリオはおそらく一つではありません。いかに複数の最悪パターンを想定して準備できるか。
よく、理想の状態をイメージして強く願えば必ず叶うと言われます。もちろんこうしてビジョナリーに思い描きワクワクするのも大事ですが、最悪を準備することも最高の準備につながります。「こんなはずじゃなかった」という状態を一切なくすのです。
スポーツの試合で、勝利をおさめたアスリートに「どうやって乗り越えましたか?」というような質問をすることがありますよね。おそらくほとんどのアスリートは「想定内でした」とか「こうなることをイメージして準備してきました」と答えていると思います。最悪パターンを想定して準備したからこそ乗り越えられるのです。
準備をするとき最悪パターンを考えるのはあまり楽しいことではありません。できれば考えたくないことです。しかし、現実から目を背けずにしっかりといくつもの最悪パターンを想定して準備することが最高の準備につながるのです。
あなたはいつも最高の準備をしていますか?最高の準備のために、たくさんの最悪パターンを考えておきましょう。
※ 本記事は、中竹竜二Voicyチャンネル『成長につながる問いかけコーチング』より、内容を再編集し、記事化したものです。