トランザクティブメモリーとは?〜成長につながる問いかけコーチング#71
トランザクティブメモリー、この言葉をご存知でしょうか?今日はこのトランザクティブメモリーの力について話したいと思います。
トランザクティブメモリー、日本語では「交換記憶」「対人交流的記憶」「越境する記憶」などと訳されています。なかなか馴染みのない言葉かもしれません。組織が持っている記憶力に関しては、これまで同じ知識をみんなが記憶していること=共通理解が重視されていましたが、トランザクティブメモリーという概念が現れ、組織の中で「誰が何に詳しいか」というのをしっかり把握していることが重要だと言われるようになりました。
ついつい我々は組織全体としての力を重要視しがちですが、「誰が何をしているか」という情報を、常に誰もが引き出しやすい状態で把握していること、これが組織の力に直結します。図書館で例えると、全ての本の目次が整理されていて、情報が欲しいときに、どの本を読めばその情報を引き出せるかがわかっている状態。組織の中で「この情報欲しいのだけれど」と見渡せば、「あの人がそれについては詳しい」と言うように、お互いが把握している状態が組織としての力になるのです。同時に、その人から得られる情報にどれだけ信頼性を持たせられるか、相手をどれだけ信頼しているか、これらが組織の力に大きく反映されると言われています。
実際、全ての人の知識を全員が共通して持つことはほぼ不可能ですが、ちょっと知りたいと思ったときに、その情報ならこの人に聞けばいいということを全員が把握していれば、情報収集の効率は良くなります。
私自身も、自分では詳しくないですが「こういう人を紹介してくれませんか」「この情報が知りたいのですが」という相談はよく受けます。例えばラグビーをやっていたせいか、「この怪我に詳しいお医者さんを知りませんか」とか、良いマッサージ店や治療院などもよく聞かれます。他にも「これに関して調べるのに良い本はありませんんか」などもよく聞かれます。私自身はあまり本を自分で読まないので、答えられることは少ないですが、本のことを良く知っている人なら周りにたくさんいます。
一人ひとりが自分の専門性を広げておけば、それに対して色々な人が集まり、つながることができます。自分が知りたい情報を自分で調べずとも、専門家に聞ける関係性を築いておくことも大事です。
今はGoogleやYahoo!で検索すればどんな情報でもすぐに出てくる時代です。しかし、情報過多とも言えるこの時代に、信頼できる情報、本当に価値のある情報を知りえる手段も必要ではないでしょうか。そして、こうして人とつながり合うためには、自分自身も、自分の専門領域に対して情報発信しておくことが大事です。周囲に対して、私はこの情報に詳しいと知っておいてもらうことが、つながりを深めます。ぜひ、自分自身の強みである分野の情報や知識を周囲に向けて発信してください。
あなたの活用できるトランザクティブメモリーはどれくらいあるでしょうか。ぜひこの機会に一度リストを整理してみてください。それぞれの組織の学習力を高めることになるでしょう。
※ 本記事は、中竹竜二Voicyチャンネル『成長につながる問いかけコーチング』より、内容を再編集し、記事化したものです。