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心に残る問いとは?〜成長につながる問いかけコーチング#36〜

その場で答えられない問いこそ、心に残る

今日は前々回に引き続き「問い」についてお話しします。
みなさんもこれまで様々な問いを投げかけたり、投げかけられたりしてきたかと思います。その中で「心に残る問い」というと、どんな問いを思い出しますか?

もちろん人によって様々な問いを思い浮かべるでしょうが、コーチングの世界では「未完の問い」が心に残りやすいと言われています。「未完の問い」とは、あなたが答えきれずに積み残した問い。しっかりとした答えを出せずにモヤモヤが残ってしまったもの。途中で答えを出しそびれたり、ちょっと後味悪く残ってしまった問いのことです。実は、自分でスッキリと納得のいく答えが出せた問いよりも、こうした問いの方が心に残るのです。

アバウトな問いやざっくりとした問い、とても答えにくいですよね。もしくは聞かれたくない問い、答えたくない問い、こういった問いも即答せずに誤魔化そうとして、モヤモヤが残ったりします。人は課題を解決するとスッキリしますよね。目標を達成したときや課題を解決したとき、気持ちはスッキリするので嬉しい余韻は残りますが、問いそのものが余韻として残るのは、実は完結しなかった問いなのです。

私は基本的に「研修」をせず「トレーニング」を提供しています。「トレーニング」とは継続的に行うものです。人はどうしても問題を解決してスッキリしたいという気持ちがあります。トレーニングの中で学んだことや問われたことを自分の中で咀嚼し、納得感を得ることは非常に大事ですが、そればかり続けていても後に残りません。私がトレーニングを行う際は、あえて最後に「未完の問い」となるようなお題を出したり、一言投げかけて終わるように意識しています。相手からすると嫌な印象を受けるかもしれませんが、こういった答えづらい問いを投げかけるのも私の役割と思っています。

問いとは違いますが、例えばテレビを見ていても、一番いいシーンの途中でCMが流れたり、気になるタイミングで「続きは来週」となったりしますよね。これも同じです。「この後どうなるんだろう!?」と思うと心に残りますよね。ツァイガルニク効果と言われるものです。

「あなたの本当にやりたいことは何ですか?」
「あなたの本当に大切なものは何ですか?」
「今あなたが捨てるべきものは何ですか?」

最近こういった「未完の問い」に直面したか、是非考えてみてください。こういったパッと答えられないような抽象度の高い問いは、例え答えられたとしても「本当にそうなんだろうか?」ともう一度深く考えることになるでしょう。周囲も自分も、その答えに納得したものの、もしかしたら本心ではないかもしれない。ずっと周りから期待されていたことを、あたかも自分の本心かのように答えてしまったかもしれない。本当にこれは自分のやりたいことなんだろうか?このように、その次の問いが現れると、いい意味で余韻が残り、より深く考えるきっかけとなります。自分が本当にやりたいことは何なのか、自分の強さは何なのか、弱さは何なのか。ぜひ、自分自身にも問いかけ、向き合ってみてください。

この「未完の問い」を深く考え続け、自分の中で答えが見えてきたら、あなたの大切な人にも同じようにその問いを投げかけてみましょう。そうすると、その問い自体にパワーが宿ります。あなたが相手に寄り添う気持ちも、より一層強くなるはずです。これが以前お話しした「パワーのある問い」です。このパワーのある問いは、相手が一歩前に踏み出すための背中を押すことになるでしょう。

心がざわつく問い、ちょっとモヤモヤが残る問い。こうした問いが意外にもあなたの中の無意識を引き出してくれるかもしれません、ぜひ、一度考えてみてくださいね。

※ 本記事は、中竹竜二Voicyチャンネル『成長につながる問いかけコーチング』より、内容を再編集し、記事化したものです。

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