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目標共感の重要性とは?〜成長につながる問いかけコーチング#49

目標の「WHY」に価値を感じているか

目標シリーズの3つ目、今日は「目標共感」についてお話しします。
ここまで、目標は達成するだけが大事なのではなく、適切な目標設定、しっかりとした目標共有も大切だという話をしてきました。3つ目に大事な目標共感、例えば組織で掲げている目標に対して、心から共感している人が目標を作った社長一人だとか、監督だけとか、キャプテンだけとかとなってしまうと、その目標からチームのエネルギーを引き出すことはできなくなります。目標は共有するだけではなく、共感させるまでが重要です。

共感しているのか、それとも単に共有しただけで終わっているのか。これを数字で図ることができればいいんですが、なかなか共感度合いを数値化することはできません。では、どこでわかるのかというと、実際に目標に向かって行う行動、なぜそれをやるのかという意義を腹落ちできているかどうかです。目標を共有された時に、なんとなく「この目標でいいよね」というのではなく、その目標を達成したときに、自分の中で世界観が変わっていく、今ある状態から、一歩違うフェーズに進んでいる自分を想像できるかが重要です。

世の中の偉大なリーダー、社会にイノベーションを起こし、多くの困難を乗り越えてきた人たちは、周囲の共感を得るために「WHY(なぜ)」から語ったと言われています。ご存知の方も多いと思いますが、ゴールデンサークルと言われるフレームワークがあります。サイモン・シネック氏が提唱した優れたリーダーに共通する理論です。

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ゴールデンサークルは非常にシンプルです。多くの場合、我々は物事に取り掛かろうとするとき、習慣的に、まずWHATから始めます。具体的に何をするか。その次に考えるのはHOW、つまりやり方。どうやってやろうかということです。そして最後にWHY、なぜやるんだったかという意味を考えます。

極端な話、毎日朝目覚めたときに「自分は何のために生きているんだっけ」と存在意義を考えるような人はなかなかいないでしょう。人間の脳の構造的にもWHYというのは、立ち止まって深く考えないと出てこないものなんですね。目の前の何をするかというのは、外からでも簡単にアクセスしやすい大脳新皮質というエリアで処理しているため、WHATは誰しも考えやすいものです。

しかし、自分のやる気を継続させたり、本当に困難にぶつかったとき、一歩前に進める力というのは、やることに対して心から意義を感じている場合に出てきます。人間は基本的に物事に意味づけをするクセがあります。だからこそ、今自分がやっていることに対して、本当に大事だと思える、意義を感じられる。困難があっても、取り組むことに強い価値を感じられるかというのを示すことが大切です。

そのために、今やっていることが将来的に何につながるのかという、未来へのストーリーを描くこと、目標を達成したときに、今とは違う世界を見られるということを自分の中に結びつけていくこと、これが目標共感です。

私自身、今まで色々なスポーツチームを率いてきましたが、やはりそこでも重要視していたのは目標共感です。だからミーティングが始まる前には必ず目標を伝え、何度も確認していました。例えば、ラグビーU20日本代表を率いたときには「ウェールズに勝つぞ!」という目標を掲げていました。そして、この目標のWHY、なぜチャレンジするのかも同時に必ず伝えていました。こんなに弱い日本がウェールズに勝つことができたら、どんなに馬鹿にされても、無理でしょと言われても、チャレンジすることの価値を社会にアピールすることができる。チャレンジを諦めている人達の背中をちょっとでも押せるような、チャレンジすること自体が尊いんだということを伝えられるような、そんな使命を自分たちが背負っているんだということを必ずミーティングの最初にしつこいくらい話していました。
おそらく、これが目標共感となり、一人ひとりに伝わっていったのではないかと思います。

繰り返しますが、目標は達成するだけが重要ではありません。しっかり設定し、共有する。そして共感させ、本当に腹落ちした状態で一丸となって目標へ向かう。このプロセスを大事にしましょう。

※ 本記事は、中竹竜二Voicyチャンネル『成長につながる問いかけコーチング』より、内容を再編集し、記事化したものです。

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