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真夏のタイムトラベル【エピローグ】

#3週連続短編歴史小説
文字数:800文字(目安読書時間:3分)
「プロローグ」はこちら
「第1章:お米のスープ」はこちら
「第2章:万の言の葉」はこちら
「第3章:青年の志」はこちら

⚠️こちらはエピローグで、プロローグ及び本編の一部内容についての記述を含むものです。

エピローグ

 まもなく陽が落ちる頃、小さな駅のホームに1台の列車が到着しました。

「チュウセイから無事に戻って来られたみたい・・・」まず降りてきたのは、スリザリン。行きの列車で乗り過ごしたため、帰りは歴史映画『ジャンヌ・ダルク』を鑑賞し、先ほど見た夢について復習していました。壮大な物語の顛末に興奮冷めやらず、事の次第と百年戦争下のフランスについてヌバタマとリンゴに説明しなくては!と意気込んでいるようです。

 続いて、別の車両からヌバタマがゆっくりと降りてきました。何やら満足気な表情をしています。それもそのはず、コダイ飛鳥の都で歌を書き留めるアルバイトを終えたところ。報酬として夜の宴ではご馳走が振舞われ、額田王から和歌のプレゼントを頂いたのでした。ホームでスリザリンを見つけたヌバタマは、「おーい!」と声を掛けて手を振りました。

 再会した二人はベンチに腰掛け、それぞれの身に起こった不思議な体験を語り合います。「私たちは確かに同じ列車に乗っていたのにね。」「まさかタイムトラベルなんて。でも自分だけじゃなくて安心した。そういえば、別の列車に乗ったリンゴはどこに着いたのかな。」

 その頃、リンゴは折り返し列車が特急なのをいいことに、終点まで爆睡していました。充電中のスマホにスリザリン、ヌバタマからの連絡通知が入っていますが、気がつきません。

「もしもし、終点ですよ。ゲンダイに着きました。」親切な客に声を掛けられリンゴが目を開けると、どこかで見覚えのある顔立ちの青年でした。「もしや咸宜園でお会いしましたか。」リンゴが勇気を出して尋ねると、青年は悪戯っぽく笑いました。「見かけない顔だ。」

 ホームの反対側にスリザリンとヌバタマの姿を見つけ、リンゴは胸を撫で下ろしました。「また今度、キンダイ行きの列車を見つけたら乗ってみよう。」朝の遅刻のことなどすっかり忘れて、足取りは軽やかです。暑く長い夏の一日が終わろうとしています。 

(完)


おわりに

3週連続短編歴史小説、無事完走しました🎊
私たちと一緒に企画📖を追いかけてくれた読者の皆様、ありがとうございました!🙇‍♀️

B.B団で本格的な創作文学に挑んだのは今回が初めてでした。日頃の発信では史実に即した内容をお届けすることを最優先にしていますが、創作に求められるのは自由な発想力🗽です。「歴史にもしもはない」とはよく言ったものですが、今回はその壁を乗り越える必要があったわけです。一見難しそうですが、ポジティブに捉えれば何でもOK!私🍎自身、近代というテーマを与えられながらも時代の定義付けは自身の解釈に委ねることにしました。教科書📙📘どおりでなくてよいと思うと良い意味で肩の力が抜けますね。実際に取り組んでみて、歴史の楽しみ方が広がった気がします。

物語は三者三様🪄でしたが、いずれも話内に旅先案内人が登場した点は興味深かったです👏🏻限られた文字数でなるべく簡潔に状況説明する必要があったこと、タイムトラベル先での課題解決には当時の人物との対話が求められたこと、などが考えられる要因でしょうか。主人公の味方となる心強い人物が登場しましたが、ここはあえて気が合わなさそうな人物を選定してみるのも面白いかもしれません笑

リレー企画は完結しましたが、私たち3名🐍🌙🍎の歴史探訪という物語はこれからも続きます。のびやかに、そしてしなやかに活動してゆく所存です。皆様の応援(スキ♡)が励みになります!引き続き宜しくお願いいたします。

2024.8.31 可愛や🍎


読み直しも是非! ・:*+..:+🚀


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