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勝田町誕生時のエピソード

勝田史料「勝田艦砲射撃の記録」に町役場職員による中野村、勝田村、川田村が合併して勝田町が誕生したときのエピソードが掲載されいたので、編集して掲載します。

  • Q:役場へ勤めはじまったのは何年からになりますか。

    • Y氏:大正14年か15年頃です。

  • Q:中野村役場ですね。

    • Y氏:そうです。

  • Q:最初はどういうお仕事をやったんですか。

    • Y氏:農業とか商業とか手助けする勧業係です。当時、役場には村長、助役、収入役にあと、3人ですね。ほかには給仕2人。

  • Q:勧業係で具体的に何か指導なんかをしたんですか。

    • Y氏:指導っていっても何ですけれど、いろいろ農業とかそういう問題で、村民から相談をうけたり、この地帯は商業はあまりありませんから、主として農業ですから雑用を何でも3人で。

  • Q:最初の初任給はいくらだったか記憶ありますか。

    • Y氏:28円ぐらいでなかったでしょうか。

  • Q:昭和15年に町村合併で勝田町になりますね。その合併する直前は中野村の吏員は何人になったんでしょう。増えたんでしょうね。

    • Y氏:吏員は4人です。この時の仕事も庶務です。庶務っていうと一切ですね。合併のとき私の月給は50円で、そして夏になって1円上って51円になりました。

  • Q:それで勝田町になり、役場の職員は3ヶ村合併ですからそのときにいた職員がみんな一緒になったわけですか。

    • Y氏:そうです。3村とも5人づつで15人になりました。中野村が一番大きかった。財政面でも豊かだし、当時農村救済事業っていうのやっています。そして予算の面でも中野村は1年に5万いくらっていう予算だったんです。勝田村が3万いくら。川田は2万8千くらい。

  • Q:Yさんのお仕事は今度は何ですか。

    • Y氏:今度もやっぱり庶務です。

  • Q:ずっと、その後終戦になるまで庶務で通したんですか。

    • Y氏:私が貧乏くじ引いてね。

  • Q:貧乏くじっていうのは、どういうことですか。

    • Y氏:いや、だれも責任があるから逃げるんですよね。庶務っていうのは一切やらなくちゃならないんです。人事から。

  • Q:庶務の仕事で特に頭を悩ます仕事はなんですか。

    • Y氏:予算の編成でしょうね。それと町会議員の選挙と職員の統制でしょうね。

  • Q:その三つですか大きいのは。

    • Y氏:あとは議員との折衝ね。とにかく勝田町の最初の町長の職務管掌、いろいろ問題があって議会が開けなかったわけです。選挙違反や何かも出ましてね。昭和15年5月25日に第1回の選挙をやったんですが、選挙違反もだいぶありましてね。3人部田野から出て、いろいろ問題が出ました。

  • Q:選挙違反がたくさん出たため開けなかったんですか。

    • Y氏:というのは、議員の立候補資格のない人が出られたりなんかしたんで。そういう問題があったのでなかなか開けなかったんです。で、町長選挙は9月にあったと思ったね。その間一切こっちでやらなくちゃあならない。

  • Q:合併して最初の予算っていうのはいくらでしたか。

    • Y氏:これが大きいですよね。中野村当時は年間5万の予算だけども、39万いくらっていう予算組んだんですよ。ところが病気で4、5日休んでたかな。すると茨城新聞でY氏庶務主任が病気欠勤のために勝田の予算総会が開けないなんて2、3回たたかれて。しゃくだから予算組んで39万いくらになりましたね。

  • Q:収入予算のその内訳はまず日製関係からの寄附がどのくらいですか。

    • Y氏:役場の建設費が4万いくらですね。旧役場。それから東石川小学校の建築費が8万いくら。それから市毛小学校建築費が8万いくらですね。勝倉の学校の改築費がいくらだったかね、改築が指定ってことになってましたから。それから町村合併による費用はいくらになったかな。

  • Q:要するにこれらが日製の寄附金によってまかなわれたと。

    • Y氏:ええ、主ななにが日製の寄附金なんですね。それから物件では元の役場の敷地が500坪。それから今の警察の敷地が三反いくらが物件寄附になってるわけ。膨大な予算だと県からも怒られましたけども、いずれにしても収入はもう決ってる。県には3人の属がいたんですがね。3人してこんな予算組むのはいかがかって1日しぼられて、1万だけ削ったんです。予算編成のうちで一番苦労したのは町長の報酬です。町長が水戸市の助役やってて、あのころ250円だったね。それで勝田の議会では250円以上は出せねえって。じゃ交際費だけくれっていったら、それもいけねえって議会の意向だからだめだって。だが、水戸市のような完成された市でやっと250円。これから勝田を開拓しようとする人にとっては町としても考えなくては道がたたない。それで交際費であげて何とかした。

以上

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