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1902(明治35)年ごろのよい話

「聞きがたり勝田の生活史1」に次のエピソードを見つけました。要約して掲載します。

「私の母は39歳で死にましたが、無学ではありましたが偉いところがありました。
 私が5つか6つのころは、よく乞食が来てました。「乞食、乞食」と言ってたんです。うちの母は「それはいけない」と。「人を乞食ということは侮辱しているんだ」とね。「おもらいさん、といいなさい」と。
 そして、そういう若い者が来た場合「あなたはどういうわけで、おもらいさんみたいなことをしているんですか」「自分の職業を選んで働いたらどうか」と熱心に話していました。そしてごちそうして帰すんですよ。それに着物が無い者には着物を脱いで与えた親なんですね。
 私は言われたんです。「けっして威張ってはならん」「足りない者は助けてあげろ」「食えない者は救いあげろ」と。それで「人を助けてやったから、恵んでやったからその恩を返してもらうことを考えてはならん」とこんこんと諭すわけ。それで正しいことと、自分より当てになるものは何もないんだと子供の時に言われたんですよ。
 おふくろの教育は無学者とはいえ立派だと思うんです。これらの言葉が頭にあって永久に忘れない。」

今でも立派に通じる良いお話です。

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