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~清く美しきプリンスたち~ vol.2

リングに叫び、拳を突き上げたあの日。今もこの胸に燃えさかる熱き炎のファイターたちをイラストとエッセイで綴るプロレス讃歌!


~清く美しきプリンスたち~ vol.2

全国のプロレスファンの皆様こんばんは。『週刊アイアンクロー』編集長のチャーシュー・タケです。今週は“千の顔を持つ男”ミル・マスカラスです。

イラスト 志賀コージ

●空飛ぶ仮面貴族の衝撃! わが青春のフライング・クロス・チョップ! ~リングを舞台に変えた男~

私をプロレスの虜にした男、それがミル・マスカラスだ。あれは小学5年生の2月。近所の本屋で初めて手にしたプロレス雑誌『別冊ゴング』をパラパラと立ち読みした時に、「千の顔を持つ男マスカラスが待望の初来日!」とのグラビア特集が目に飛び込んできた。「マスクを1000枚も持っているのか! 毎試合ごとに変えるなんてカッコいいな!」と無邪気に感動したことから、プロレス沼にはまり込んでいったのです。
日本での初登場が衝撃的でした。1971年2月、場所は後楽園ホール。星野勘太郎を相手にカラフルな技のオンパレード‼ ドロップキックにフライング・クロス・チョップ、極めつけはコーナーポストから反転してのフライング・ボディアタック! 一瞬にして全国のプロレスファンの眼をくぎ付けにしちゃいました。とりわけ少年ファンへの影響力は絶大でした。当然ながら、かく言う私もそのひとりでした。やがて中学に上がると、あの覆面が欲しくて欲しくてたまらなくなりました。現代のように容易に手に入るはずもなく、私はプロレス好きの同級生と共に、都内の生地問屋街へと向かったのです。事前に描いたデザイン画を基に目ぼしい生地を購入し、無心に製作を始めました。母親の力を借りて細部のミシン縫いを施し、3種類のオリジナルマスクが完成。学校の体育館に運動マットを敷き詰め、出来上がった覆面をかぶり、天まで届けとばかりにフライング・クロス・チョップで宙に舞いました。50年も前の事です。今、想い返しても、鼻の奥がツンとします。“母さん、僕のあの覆面どうしたでしょうね・・・”

◼️『プロレスダイアリー甦える鉄の爪』は毎週木曜日に更新します。

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