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~驚愕と衝撃! 超ド級の男たち~ vol.1

リングに叫び、拳を突き上げたあの日。今もこの胸に燃えさかる熱き炎のファイターたちをイラストとエッセイで綴るプロレス讃歌!


~驚愕と衝撃! 超ド級の男たち~ vol.1

全国のプロレスファンの皆様こんばんは。『週刊アイアンクロー』編集長のチャーシュー・タケです。今週は、“魔人”ことボボ・ブラジルの登場です。

イラスト 志賀コージ

●黒人レスラーのレジェンド ~強烈無比な石頭は心優しき魔人~

ボクシング界においては、あのモハメド・アリに代表されるようにヘビー級王者といえば歴史的に黒人ボクサーがその多くを占めています。しかし、プロレスの世界では何故か黒人レスラーというのは今も昔もひと握りの存在でしかありません。我々日本人にはなかなか肌感覚では理解の及ばない“人種の壁”がより鮮明にはびこる世界なのでしょうね。
ボクシングと違って濃密な接触が求められるプロレスにおいては、黒人レスラーがトップの座を奪い取るのは至難の業であったはずです。飲食店も公衆トイレも肌の色で利用を区分していた50~60年代のアメリカ。そこでトップの座に就いたのが“魔人”ボボ・ブラジルでした。しかも、ヒールではなくベビーフェイスとしてです。彼は、野球界のジャッキー・ロビンソン、映画界のシドニー・ポワチエのような先駆者のひとりと言えました。
彼の代名詞の技が「ココバット」です。いわゆるジャンピング・ヘッドバットで、日本プロレス時代のリングでは、大木金太郎との“石頭対決”が大いに人気を呼びました。しかし、身長で10㎝上回るブラジルがさらにジャンプして打ち下ろすヘッドバットは強烈で、岩をも砕く大木の頭をしても太刀打ち出来ませんでしたね。
昔のプロレス中継に付き物の、メインイベント前の選手への花束贈呈。必ずブラジルはその花束を奪い取るとムシャムシャと食べていましたね。特に黄色の菊の花がお好きでした。リングに散らかった花弁は、これも定番で、スポンサーである三菱電機の掃除機「風神」が
綺麗に片づけておりました。見事な連係プレイです。
それはさておき、ブラジルの日本での功績は、何と言っても全盛時の馬場からインターナショナル選手権のベルトを奪取したこと(1968年6月25日愛知県体育館)。決め技は、もちろん、大きくジャンプして3mの高さから馬場の脳天に打ち下ろす必殺の「ココバット」!
しかし、二日後の27日、蔵前国技館では、1対1の3本目、ロープに首が挟まりエプロンでカウントアウトを取られ、馬場に奪還を許したのでした。残念!
子供の頃に夢中になって読んだ漫画『タイガーマスク』。そのTVアニメ版に「ポポ・アフリカ」なる外人レスラーが登場します。まちろんボボ・ブラジルがモデルなのですが、子供ながらに大笑いしました。

◼️『プロレスダイアリー甦える鉄の爪』は隔週木曜日に更新します。

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