三船美優と地元同じだった
Twitterいじってたら突然目に入ってきた、小袖海岸で自転車を漕ぐ制服姿の三船美優さんのイラスト。そして大雪のつりがね洞。二秒間、世界が止まった。地面から伸びた雷が、私のストレートネックをつんざいた。
「俺三船美優と地元同じだったん!?!?」
見慣れた風景だった。地元にいた頃は飽きるほど写真で見た構図。市街地からそれなりに距離もあり、車のすれ違いにいたく難儀するため、自分では行かないが市役所が強くプッシュする景勝地。10年と少し前にヒットしたドラマの舞台。その風景の中に三船美優がいる。県道268号野田長内線の上に三船美優がいる。
シンデレラガールズには3人の岩手県出身アイドルがいる。出身市町村こそ明示されていないが、一ノ瀬志希は一関、及川雫は雫石と考えるのが、一番脳に負担がかからない。そして三船美優は久慈市出身だろうと予想していた。私が昇段試験の時一番最初に練習した思い出の技、空気投げを編み出した柔道の神様、三船久蔵の出身地。これほど分かりやすい考察ポイントも中々ないだろうと勝手に思っていた。しかし今までにその考察を確信に変えることができていなかった。私自身アイマス歴が1年と9ヶ月、最初から全てに手を出した結果どれも中途半端になっていたためである。そのような状況下で突然やってきた小袖海岸と三船美優。目眩がしたわけでもないが立っていられないほど嬉しかった。シンデレラガールズには本当に地元が同じアイドルがいる。私が18年間見てきた光景と同じものを見た人がいる。そのことがたまらなく有り難かった。ありがとうございます。
しかしここから怒涛の検討タイムが始まった。通学路はいったいどうなるんだ!?
小袖海岸は切り立った崖で、漁港の方まで行かなければ建物を作れるだけの土地がない。更に人が住む場所となると、小袖地区漁村センターの周辺となる。今回はとりあえず実家をこの辺りと仮定して考えることにした。
次に目的地となる高校であるが、これは久慈高校と仮定することにした。これには同じ高校であってほしいという筆者の願望も多く含まれているが、一番妥当な線として選んだ。
始点、終点が定まったことで通学路の考察が行えるようになったため早速始めてみたが、まず一つ驚いた。漁村センターの辺り、海抜80m近くある。家を出て1.5km、漁協の支所まで長い坂を下るのだ。行く前から帰りが思いやられる。そしてそこから数kmほど漕ぎ、舟渡海岸を越えたところで2つ目の坂がある。ちなみに、この3キロに景勝地も多くあるため、何かの折に行った際には是非見に行ってもらいたい。車でも徒歩でも辛い思いをすることになるが、苦労の7割くらいは報われるかもしれない。話を戻すが、2つ目の坂はヒルクライムとダウンヒル両方がある。小袖側からであれば最初緩やかな坂を登り、急勾配を下る。下った後は日当たりが悪い部分があり、雨の次の日泥濘にタイヤをとられ転んだ私はインフラが悪いなどと行政を憎んだことがあったが、まさか三船美優がこのような筋悪のミスをするとはあまり考えたくないため、彼女は危なげなく避けて進んだと見ている。仮に転んだとしても既に家から6kmほど進んでいるため、ここでの後戻りはしたくないだろう。
そしてそのまま進んで1km、遂に分岐が現れる。ここまで7km、ようやく半分を越したところだ。争点はこのまま268号を行って国道281号に進むか、久慈港に沿って進むかという部分だ。268号を攻めるルートのメリットは信号が少ない点、デメリットは歩道の環境が悪い点にある。一方、久慈港に沿って進み消防署、宮脇書店の前を通り、新長内橋を渡るルートは信号が3つあるが歩道の幅が広い。私は、既に数kmも漕いでクタクタなはずの三船さんは後者を選ぶと予想する。前者は国道も通るためそれなりに交通量が多く、自転車で通るには肝を冷やすこともあるからだ。そして新長内橋を渡り、数km離れていても見える巨大な円錐型が中心に鎮座するアンバーホールの前に来たところで、最後の分岐が登場する。
最後、久慈川を遡り3km、久慈高校へ向かう際に久慈川のどちら側を通るかという問題である。川崎大橋を渡り北側と、渡らずに南側。どちらを通るのか。
この答えは、行きこそ北側だが、帰りは気分によって変わると考えた。北側は信号がなく一直線で走り抜けられるため時間のない朝には最適解となる。一方、帰り道は一緒に帰る人、寄りたい店との兼ね合いから、より店が多い南側を通るのではないかという予想からである。
帰りの話をしてしまったが、これで片道である。私が見た画像の中の三船美優は、片道12kmを漕いでいるということになる。そして帰りは急勾配の上りが2回ある。行きはよいよい帰りは怖いを体現した通学路だ。もちろん行きがよいとは思えない道のりだ。更に、行きのラスト3kmは年明け〜春頃にかけて山から強い吹き下ろしを受ける。高校時代粋がって自転車の変速を常に6速にしていた私であったが、風の時期は3速にせざるを得なかったり、押して走った方が早かったということがままあった。ここまで考えてみて、あのイラストは苦行の一場面を切り取ったものではないかと思い始めた。誰もやりたがらない道のりだ。実際に同じような道を通っていた友達は皆機嫌が悪かった。そりゃそうだと思った。
しかし、それと同時に三船美優という人間の強さについて、その一端を垣間見ることができた。この文章は9割が私の妄想の中で練られたものだが、書いている中で諦めないことを中心とした強さをひしひしと感じた。このアイドルに、こんな大宇宙が広がっていたのか…と、真空にあてられて少しクラっときた。彼女については地元が同じかもしれないという予想を前から抱いていたにも関わらず、シンデレラガールズの人だということしか知らなかった。親近感が湧いている名前だけ知っている人だった。しかし、今回の経験を通して俄然三船美優さんに興味が湧いてきた。より深く知って、造詣を深めれば、シンデレラガールズというコンテンツ並びに地元がより好きになる気がしてきている。今の目標は、次の帰省までにコミュを読み込むことだ。あなたの世界で生きられるならそれはとても素敵なことです。不束者ですが、どうぞ宜しくお願いします。
ササキ