見出し画像

FRB 22年ぶり0.5%利上げをするも、タカ派的な期待を冷やす 

昨日の動き

米国 22年ぶり0.5%利上げ決定するも、タカ派的な期待を冷ます

米連邦準備理事会(FRB)は4日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で22年ぶりとなる0.5%の利上げを決定しました。
保有資産を圧縮する「量的引き締め(QT)」の6月開始も決定し、ロシアによるウクライナ侵攻などが世界経済の先行きに影を落とすなか、当面は米国内で約40年ぶりの水準に達したインフレの封じ込めを優先する方針を示しています。

政策発表後のパウエルFRB議長の記者会見では、パウエルFRB議長はインフレの影響についてタカ派的なコメントを発しスタートさせ、ドル高を進行させましたが、その後、75bpsの非常に積極的な利上げを全面的に否定し、6月と7月の両方で50bpsの利上げについて明確なガイダンスを提供しました。これは、金利とドル高に一つの制限をかけるものとなりました。

次に、FRB 議長は中立金利は 2%から 3%の間であると述べ、今後2ヶ月の計画では、7月にはすでに金利は1.75%から2%のレンジに達するので、その後の動きも制約されことが想定され、メディアの金利見通しが3.50%の水準まで議論していたので、この発言もドル安の一つに繋がります。

さらに、インフレが大きな問題であるという発言にもかかわらず、パウエルFRB議長は、いくつかの要因はFRBがコントロールできないものであると強調しました。FRBが影響を与えるのは需要であって供給ではないと説明し、さらに外部要因について詳しく説明しています。
中国の新型コロナ関連のロックダウンやロシアのウクライナ戦争が供給を圧迫し、物価を押し上げる。そのFRBはそれに対抗できないと述べています。

これらの要因により、FOMC前の市場予測では、22年末の金利水準を3.00-3.25%まで達すると想定していましたが、急速に低下し、FOMC後には22年末の金利水準は2.25-2.50%まで低下し、0.25%を超える利上げ予測は7月の1回に減少しています。

FOMC発表前のCME Fed watchでの利上げ予測
FOMC発表後の金利予測

市場では22年ぶり0.5%利上げは織り込み済みの一方、6月、7月での利上げ予想が一時0.75%か0.50%となっていたため、「0.75%利上げ巡る質問への回答」がが市場争点でした。
この期待に対して、パウエル議長は0.75%の利上げの可能性を否定したことにより、過度な利上げ期待が後退したことになります。

全体としては、「噂を買って、事実を売る」ドルのマイナス要因、インフレに対する断固とした見方に対するドルのプラス要因、そして最後にパウエル議長がFRBのタカ派的姿勢に限界を設けたことによるダウンフォールがあった訳ですが、FRBが他の中央銀行よりも速く引き締めを行っていることには変わりなく、さらに、ロシアとウクライナの問題、中国の景気後退懸念など対外的な問題が、安全資産としてのドルを下支えすることも想定され、ここから押し目買いとなるか注目して見ていきたいと思います。

米国 経済指標

4月ADP雇用統計
4月は予想下回る24.7万人増となり、2年ぶりの低い伸びとなっています。
ADPのチーフエコノミスト、ネラ・リチャードソン氏は「雇用需要は依然として強いものの、労働力の供給不足を受け、雇用の増加ペースが鈍化した」と指摘し、「労働市場が引き締まる中、従業員50人未満の小規模企業はコスト増の中で賃金競争に直面している」と述べています。

4月ISM非製造業景況指数
4月のISM非製造業総合景況指数は57.1に低下し、市場予想を下回っています。コスト圧力が悪化する中で、業況拡大ペースは鈍化し、40年ぶりの高インフレと長引く人材難が、サービスセクターを圧迫している状況が浮き彫りになっています。
仕入価格は過去最高の84.6に急伸し、顧客に転嫁する可能性が高くなっており、価格上昇を背景に、新規受注は昨年2月以来のペースに減速しています。
雇用の指数は4月に49.5と、前月の54から低下し、この3カ月で2カ月目の業況縮小となり、需要を満たすための人員確保に企業が苦慮している状況が浮き彫りになりました。

今日の予定

今日は、英国イングランド銀行(BOE)が政策金利の発表を行い、0.25%の仕上げが想定されています。この内容自体は織り込み済みのため、MPCでの投票における反対派の人数とBOEのフォワードガイダンスが鍵を握ると思われます。
昨日までは、FRBの強気の利上げ姿勢が見込まれていましたが、この環境が変化し、ポンド/ドルの下落を止めた形になっていますが、再び、下落の流れとなるのかどうか注目したいと思います。

それでは今日もよろしくお願いします。

TEAM MAGICIANS FINANCEはFXに限らず、幅広い投資に対応することを目的とし、マクロ経済を中心に、米国、英国、欧州、アジア主要国の経済動向を配信し、ファンダメンタルズ分析の基礎を学べるコミュニティです。
まずは、どの様な活動を行っているのか気軽に除いてみてください。
▼参加は以下のバナーから▼

<注意事項>
このレポートにて提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものです。したがって銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、投資家ご自身の判断でなさるようにお願いします。
また、レポート内にて提供される情報は信頼できると判断した情報源をもとに作成したものですが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性については保証せず、また、いかなる責任を持つものではありません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?