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米国 6月鉱工業生産

原材料や借入コストの上昇を背景に製造業が圧迫されているとしても、より持続可能な成長軌道を描くことが可能かもしれないとの期待が根強くありました。昨日発表された鉱工業生産の結果は、その期待を維持するのが難しくしています。製造業の生産高は、大幅な下方修正の中、2ヵ月連続で減少しました。

製造業生産高とコア設備投資

鉱工業生産は5月に勢いを失い、6月には減少に転じ、6月の総産業生産は、小幅な増加の予想にもかかわらず、0.2%の減少となり、5月は0.2%増から0.0%に下方修正されました。

6月の工場生産高は0.5%減少し、予想されていた0.1%の減少を大きく下回りました。製造業では、先月の0.1%減から0.5%減に大きく下方修正されています。4月の史上最高値から下落し、製造業生産高の水準は2018年の水準に戻りました。

大規模製造業の活動は依然として圧迫されており、6月のISM製造業景況指数がその一例であるとすれば、需要は急速に鈍化しています。

鉱工業生産とISM製造業新規受注

新規受注は、2020年のロックダウンから抜け出して以来初めて縮小領域に滑り込み、中小企業の設備投資計画が最近後退していることに呼応しています。

電力事業の生産高は1.4%減少しました。例年より暖かい6月だっただけに不可解ですが、前月までの連続した増加が関係しているのかもしれません。
鉱業生産は、6月に1.7%増加し、数少ない明るい材料となりました。

需要が減速する一方で、製造業は依然として供給問題を抱えています。
原材料や借入コストの上昇を背景に製造業が圧迫されるなかでも、より持続可能な成長軌道を描くことが可能との期待が根強くありますが、しかし、今回の結果は、そのような期待を覆すものでした。
製造業活動は2ヵ月連続で低下し、過去のデータも下方修正され、生産ペースの鈍化を示唆しています。

製造業生産

最近、いくつかの供給面で前向きな動きがありましたが、サプライチェーンは依然として正常とは程遠い状態です。
企業が必要とする資材や労働者を調達できるようになったため、新規需要が減速し始めたとしても、記録的な量の受注残を切り崩す必要があり、当面は製造業の活動を支えることになると思われます。

7月の経済指標は好調で、ニューヨーク連銀が発表したニューヨーク州の製造業に関する別のデータでは、製造業指数が前月まで2カ月連続でマイナスだった後、12.3ポイント上昇して11.1となり、好調な動きを示しました。

生産高はインフレや労働市場の発表ほど市場の注目を集めるわけではありませんが、それでもFRBは生産高を注意深く観察しています。
生産の鈍化は従来、より広範な需要の鈍化と一致し、引き締め政策が経済活動に期待通りの影響を及ぼしていることをFRBに知らせるものです。
とはいえ、鉱工業生産は全米経済研究所が景気後退の始まりを判断する際に考慮する6つの要因のうちの1つであり、FRBは景気後退を引き起こすことなく物価を引き下げるのに十分なほど活動を鈍らせるという、微妙なラインを歩いていることになります。
今回の結果は、政策立案者にとって問題を複雑にし、FOMCがある時点で、物価を抑制するか、経済成長に実害をもたらすかの選択に直面する可能性があることを示唆しています。

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