米国 6月雇用統計
雇用者数が再び堅調に推移すれば、景気はすでに後退しているとの見方を覆すことができるかもしれません。
6 月の雇用者数は 37.2万人増で、失業率は3.6%と安定的に推移しています。賃金上昇率は0.3%増とやや緩やかになりましたが、雇用は依然として堅調であり、6月の雇用統計は7月27日のFOMCでの75bpの追加利上げを後押しするものだと考えられます。
2四半期連続でGDPがマイナス成長になる可能性があることから、景気はすでに後退しているのではないかと懸念されていますが、労働市場は成長を続け、総所得を支え、高いインフレが消費にもたらす混乱を抑えています。
6月の非農業部門雇用者数は37.2万人増と、またしても堅調な伸びを示しています。過去2ヶ月間の74千人の純減額修正を考慮しても、この数字は市場予想の雇用数を上回るものです。
雇用者数は現在、パンデミック前のピークを0.3%下回っており、過去3ヶ月は36-38万人という狭いレンジで安定した増加となっています。
業種別にも、雇用の増加は依然として広範囲に及んでいます。
この1ヵ月で雇用が減少したのは主要部門のうち政府機関のみで、連邦政府レベルで削減が行われました。また、雇用分布は、嗜好の変化や金利上昇の影響を受け、対面型サービスへの回帰が進んでいることを示唆しています。
建設業と運輸・倉庫業の雇用が前月から顕著に減少した一方、ヘルスケアと小売業は回復し、レジャー・サービス業と専門・ビジネスサービス業はほとんど変化がありませんでした。
労働力供給が後退したにもかかわらず、雇用は更に堅調に増加しています。
6月の労働参加率は62.2%に低下し、若干の上昇を見込んでいた市場予想を下回っています。
労働力人口の回復は限定的であり、労働需要指標は依然として歴史的な高水準にあるため、雇用市場は例外的に厳しい状況が続いています。
しかし、雇用者数よりも変動が大きい家計調査は、労働力人口とほぼ同じだけ減少したため、6月の失業率は3.6%に据え置かれました。
また、賃金の伸びは、雇用が好調な中でも労働市場が大きく逼迫していないことを示唆しています。
平均時給は前月比で0.3%上昇しましたが、過去3ヵ月間の賃金上昇ペースは年率4.2%で、12ヵ月間の年率5.1%より鈍化しました。
FRBでは、所得の上昇がより緩やかであることは、インフレ率に好影響を与えるため、歓迎されるかもしれませんが、記録的な高いインフレ率に直面している家計にとっては、新たな打撃となります。
6月の消費者物価が1.1%上昇した可能性が高いことから、生産労働者と非管理職の実質平均時給は先月0.8%、過去1年間で3.4%下落したと推定されます。
ここ数ヶ月の雇用の伸びはまだ目覚しく、消費者の総支出力への打撃を和らげていますが、労働市場の総収入でさえ勢いを失っており、この先も消費は不安定な道をたどることになりそうです。
インフレは引き続きFRBにとって最重要課題ですが、成長懸念が高まる中、雇用市場も政策の前途を占う重要な要素となります。
6月の雇用統計は、雇用市場が依然として極めて好調であることを示しています。
7月のFOMCでの追加利上げ幅がどの程度になるかは、来週水曜日に発表される6月の消費者物価指数(CPI)に左右されることになりますが、6月の雇用統計は7月のFOMCでさらに75bpの追加利上げを後押しするものだと考えられます。
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