子どもたちは、自ら関係を修復しにゆく力がある
我が家の5歳の長男と、2歳の次男。
「ケンカするほど仲がいい」
とはよく言ったもので、キャッキャと二人で
はしゃいでいると思ったら、ケンカが始まり。
ケンカが始まったと思ったら、仲直りして
また遊び始め、の繰り返しの日々。
先日も例に漏れず、
二人がリビングで遊んでいて私が別の部屋に
いた時に、「うわあーーん!!」と
長男の泣き声が聞こえました。
どうしたどうしたーと思ってリビングに行くと、
「けんけん(弟)がおもちゃを投げたああー!」
とのこと。
見ると、目の上が赤く腫れ上がっています。
どうやら、おもちゃの取り合いをして、
弟が兄におもちゃを投げて、
それがかなりの勢いで顔面を直撃した様子。
あちゃー。。と思いつつ、
それぞれと話してみました。
泣き叫ぶ長男には、
「これは痛いねえ。。」
「びっくりしたし、怖かったよね。。」
「うん。。」
次男には、
「けんけん、このおもちゃで遊びたかったの?」
(こくりとうなずく)
「それで、にーにが
おもちゃを取ったのが嫌だったの?」
(うんうん、と深くうなずく)
次男は自分の意にそぐわないことがあると
衝動的にものを投げる傾向があり、
その引き金になるのは、長男のいたずらな
態度なことが多いようで。
「けんけんの気持ちもわかるけど、
にーにはすごく痛かったみたいだよ。」
「・・・。」
「湧介(長男)、けんけんは、何もなかったら
怒ってものを投げないと思うよ。」
「・・・。」
修復努力(リペアアテンプト)という
考え方があります。
これは、「結婚生活を成功させる7つの原則」
の中で、著者のジョン・ゴットマン博士が
紹介している、夫婦の関係性を修復し、
健全な関係性を育む知恵の一つですが、
あらゆる関係性において、
とても重要な知恵だと感じています。
我が家では、子どもたちがお互いに
関係を修復するための
リペアアテンプトをとても大事にしています。
そのための具体的な3つのステップがあります。
お互いに、お互いの
状況や気持ちを理解しあった上で、
修復努力の2つの大事なポイントは、
この二つがそろって、修復が完了します。
逆に言うと、修復努力をしに行っても
相手がそれを受け取らないと関係性はさらに分断し、
そこから再び修復努力をしにゆくのは、
とても困難になります。
我が家では、たいがい、兄弟2人で
3つのステップを踏むことが多いのですが、
この日は長男が相当ショックが大きかったようで、
次男が「ごめんね」を伝えても「いいね」で
受け取らず、次男が「仲直りのぎゅー」をしても、
次男の体を自分も抱きしめにいくことは
しませんでした。
自分が想定していたアクションが
兄から返ってこないことに戸惑いを見せる次男。
弟が自分のアクションを想定していることを
受け取りながら、気持ちが揺れ動きながら、
体がこわばっている長男。
うーん、どうしたらいいのかな・・。
そんな表情で兄の隣に佇む弟。
どうするのかなー、と見ていたら、
しばらくして、長男の右手が
わずかに動いていることに気がつきました。
自分の右手のそばに弟の左手がある。
その手を触ろうかどうしようか。
小さな手の動きから、
そんな戸惑いが伝わってきました。
そして、しばらくして、
少しだけ、長男の右手が次男の左手に触れました。
あ、、と反応する次男の左手。
そこから、ゆっくりと、握られる二つの手。
次男は、うれしそうな表情で、
もう一度、長男に「仲直りのぎゅー」をしました。
そして、長男も、
自分よりも一回り小さな弟の体を、
ぎゅーと抱きしめました。
二人のやりとりを見ていて、
教えてもらったことがあります。
それは、
子どもたちは、自ら関係を修復しにゆく力がある
ということです。
修復努力を自分がしにいくこと。
相手の修復努力を受け取ること。
それは時に、大人の私たちにとってもタフなことです。
(夫婦の日常の中でもそうだよね。。。)
自分にとって、大切な人がいる。
その人との今とこれからの関係を、大切にしたい。
それは、多くの人たちが願っていること。
だからこそ、その関係を意識的に大事にする。
そのための知性を子どもたちが
育み表現してゆくことは
彼らが、人の中で人と共に生きる未来に
とても影響がある、と感じます。
ケンカするほど仲がいい兄弟だから、
日常では、ついつい口出しや手出しを
してしまいそうになることばかりですが、
私自身が一呼吸おいて、子どもたちのその力を
信じ見守ることをしていたいと思います。