【絵本の時間が子どもと大人にもたらしてくれるもの】
「ちょっとまっててねー」
「これが終わったらねー」
次男が生まれて、長男にこうした声がけをする
頻度がかなり多くなったなあ、と感じています。
家事をこなしながら、仕事もしながら、
一人歩きをはじめた次男があっちにこっちに
動き回り、手当たりしだいにいろんなものに
手をのばし、てんやわんやな毎日。
今、ママに聞いてほしい!
今、ママに見てほしい!
今、ママと一緒にいたい!
きっと、彼の中では毎日そんな瞬間が
たくさんあるのだろうけど、
その20%も応えられてあげてないなあ。。。
そんなことを感じる日々の中で、
大切にしている時間があります。
それは、長男との「絵本の時間」です。
20時半頃に次男とお布団に入って寝かしつけを
して、21時ごろにリビングに戻り、
少しだけ一緒に遊んで、
2冊絵本を読んで寝るのが彼と私の日課です。
「もうすぐ9時半だから、絵本読んで寝るよー」
そう伝えると、
「わかったー。今日はどれにしよっかなー♪」
と本棚の中から今日の絵本を選んでいる
彼の後ろ姿はとてもうれしそうです。
「今日はこれとこれ!」
と大きな絵本を抱えて持ってきて、
ソファに二人で座って、ぴたっとお互いの
体をくっつけて、絵本を読み始めます。
・・・
次男が生まれてからしばらくは、
夜も頻回に起きるので私は常に寝不足な状態で、
ウトウトと次男と寝落ちしそうになる中、
よっこらしょ、ともう一度起き上がるのが
とてもしんどい時期がありました。
そんな中で、ふとしたきっかけで
出会ったのがこの本でした。
長きにわたって子どもの絵本に関わる
ことをされてきた著者が、
大学生に絵本について教えるにあたり、
「幼いころに好きだった絵本、
あるいは思い出に残っている絵本について」
という課題を出されたそうです。
この本には、学生さんたちから提出された
レポートの内容がふんだんに紹介されています。
読んでいて、ある学生さんの言葉が
目にとまりました。
きっと、私は小さいころ、”私だけのお母さん”が
ほしくて仕方なかったのです。
それが得られるつかの間の”絵本タイム”への
架け橋だったからこそ、
この絵本は宝物だったのでしょう。
引用:『絵本の記憶、子どもの気持ち』より
ああ、そうか。
絵本を読んでいるときの彼の、
とても安心していて、
この上なくしあわせそう表情は、
そういうことなんだなあ。
一日の中で、唯一ママを独り占めできる時間。
それは、彼にとっては何よりもの
とっておきの大事な時間で。
そうして一日を閉じられることは、
心が満ちて一日を終えるということで。
そして彼のそんな時間は、
私にとっても大事な時間で。
ドタバタな日々の中の、たった10分でも、
彼とぴたっと体を寄せあって、
まだちいさなその体から
伝わってくるあたたかさを感じられること。
そんな瞬間が、あと数年したらもう日常から
なくなって、きっと、あの頃のことを
涙が出るほど愛おしいなあ、と思い出す日が
思っているよりも、ずいぶんはやくやってくる。
その時間の大切さにきづいたとき、
彼のママ!ママ!のニーズや期待に
100%はとうてい応えられないけど、
毎日の絵本の時間を、大事にしよう。
今は、そんなふうに思っています。
・・・
下のお子さんが生まれて、さらにバタバタな
毎日を過ごしているお父さん、お母さんたち、
日々本当におつかれさまです。
上のお子さんに、十分な気持ちや時間を
向けられていないことへのもやもやや
罪悪感を感じるとしたら、それは当然のことと思います。
体はひとつで時間は24時間。
その中で、全部を今までのようにやるのは難しい。
きっと子どもたちは、
そのことをようく分かっています。
そして、だからこそ、
一日の中でのたった数十分の
絵本の時間を大事にしてほしいと思います。
私たちが思っている以上に、
絵本の時間は、子どもたちにも私たちにも
大切なものを与えてくれるから。