【慶應義塾大学・文学部】合格への過去問解説【2024年度問1】
問1
1 主節のSはどれ?
いついかなる場合であっても「Sはどれ?」から入る。これが英語の鉄則だ。
従って、どの大学の、どんな問題でも、ここから入るのが大切。
しかし、この問題は文頭に空欄(1)があるせいでこの鉄則が守れない。偶然ではないだろう。さすが慶応は一筋縄では行かない。
2 とりあえず「it was」をS+Vととる
そこで、次善の策としてとりあえず後ろの「it was」をS+Vととる。
Vがwasであるから、第2文型は確定。
「automaton」がCとなって文型が完成する。
3 「and」は何と何を並べているか?
後ろを見ると「and」がある。
「and」は等位接続詞なので、何と何を並べているかを必ず考えなければならない。
【考え方】
1. 「and」の後ろに何がある?→「couldn't」
2. 「could」は助動詞→動詞の原形を伴う
3. ならば、この「and」はVとV?
4. 仮にそうだとすると→「it was not ... and couldn't play」=「第2文型 and 第3文型」
5. 従って、「couldn't play」のSは「it」
4 ここまでの意味をとってみる
意味が成立しているし、自然だ。ここはこれで合っていそうだ。
5 それにもかかわらず「didn't alter」と続いている
意味がとれて安心したところで先を見てみると、「didn't alter」と続いている。ここで「あれ?」と思うはずだ。
どういうことかというと、「it」をSとする完全文はここで終わっていて、つまり残りは修飾語のはず。しかし、「didn't」の「did」は助動詞であって、修飾語にはなれない。おかしい。じゃあ、何なのか?
こういう時は基本から考えるのが大切だ。
【考え方】
1. 英語の基本=「SはVの左側にある」
2. 「did」が助動詞である以上、その後ろの「alter」はV
3. ならば、「alter」のSは、「alter」の左側にある
4. それはどれだろうか?
「alter」の左側をチェックしてみると、「chess」から遡って「it」まで行っても、「alter」のSになりそうな名詞はない。
ならば、「it」から「chess」までの全てをSにするしかない。
つまり、空欄(1)には名詞節を導く従属接続詞を入れなければならない。
6 以上より、
ここまで来てから選択肢を見る。
名詞節を導く従属接続詞は(C)しかない。
従って、(C)。
7 合格への勉強法
この問題に正解するために必要なのは何だっただろうか。振り返ってみてほしい。
私なりに言えば「基本的な品詞の使いこなし」である。文型の判断から等位接続詞や助動詞の使いこなしが求められ、そこから従属接続詞が必要だと判断できるかが試されている。
この短い1文に等位接続詞と従属接続詞の両方が含まれていることにも注意してほしい。接続詞の扱いができていないと「やたら動詞が出てくるなぁ」と単語に振り回されてしまいかねない。
単語の知識は求められていないことにも注意。そもそも辞書が使用可なのだから、知識を求めるはずがない。
受験生としては、このような基本的な品詞の使いこなしを普段からトレーニングしておくと、暗記ばっかりやっている受験生をごぼう抜きにできる。