クラムチャウダーを見るたびに思い出す中学校時代の出来事
寒い冬の季節。寒い時は温かいものが食べたくなる。
買い物に行ったら、カレールーやシチューのルーがあって、今夜はシチューにしようかと考えていた時。その隣にクラムチャウダーのルーが置いてあることに目がいった。
クラムチャウダーを見るたびに、チクリとした胸の痛みとともに思い出す事件がある。
それは、私が中学1年の時の、ある冬の日のこと。
端的にまとめると、担任の先生の給食にタバスコを入れたクラスメイトがいた。その日の給食に、そしてそのクラスメイトがタバスコを入れたのが、クラムチャウダーだった。
私は確かその時、給食当番だった。ごはんの配膳をしていたと記憶している。短い時間で量が一緒になるように注がなければならない(しかも不器用な私はご飯の配膳があんまりうまくいったためしがない)から、少しだけバタバタとしていた。
でも、視界の端に悪だくみをしているクラスメイトがいたのはとらえていた、と思う。多分。
配膳も無事に終わり、「いただきます」の挨拶をするが、生徒は皆なかなか食べ始めない。重い空気が漂っていた。
タバスコを入れられていることを分かっているからか、皆が先生の方をじっと見ていた。
案の定(?)先生はその給食を口にして、一言。
「辛い……」
心臓がずっとドキドキしていた。どうして何の罪もない先生がこんな目に遭わないといけないんだろう。どうして、どうして…。
疑問は尽きなかった。
本当にやるとは思わなかった。というのも、こんな会話を休み時間の廊下で聞いていたのだ。
『俺、担任の給食にタバスコ入れてやるわ~』
まさか、冗談だろうと思った。
だからこそ、知っていたのに、見ていたのに、やめろっていう、たった3文字の一言が言えなかったことが、すごく悔やまれた。
結局、先生はタバスコを入れられたクラムチャウダーを残してその場は終わった。
昼休み・掃除を終えて、6時間目だっただろうか。総合の時間か学活の時間だったと思う。
(どこかで学年主任の話があったような気がしたけれど、いつだったかは忘れた。担任が話す前だったっけ)
担任から、給食の時のことで話があった。
どういう話があったのかは、そこまで覚えていない。でも、この一言だけは、頭に焼き付いている。
「そういうこと(担任の給食にタバスコ入れる)を平気でしてしまう人を育ててしまったこと、そういうことが許される学級を作ってしまったことが、……すごく、悔しいです……!」
目に涙をいっぱい貯めて、悔しそうに話していた先生の姿を鮮明に覚えている。
その言葉を聞いて、本当に悔しくて、申し訳なくて、情けなくて。いろんな感情がぐちゃぐちゃになって、涙がこぼれてきた。
ただ、ただ泣くことしかできなかった。そんなことしたって無駄なのに。わかっているのに。
そのあとは、結局自習の時間になったんだっけ。どうだったかなあ。
ひたすら、後悔の念に押しつぶされるしかなかった。
何で言えなかったのか。
言い訳がましいが、自分の立場を守るためだったと思う。
その時のクラスは、陰口はたくさん言われていたし、いじめもあったし、スクールカーストもあった。学年全体も、喧嘩は絶えず授業中に乱入することもしばしば。窓ガラスが割れるのは日常茶飯事。とにかく荒れに荒れまくった雰囲気が蔓延っていた。
そして私はいわゆる真面目ちゃん。陰口を言われる方で、いわゆる陰キャと言われる部類に入る人間だった。
今もまだその時の考え方が残っていて、自分に自信なんてない。
それはさておき、もし、やめなよって言ってしまったらどうなったか。
きっと、先生は食べずに済んだだろう。でも、それ以外の人からは?
いじめのターゲットが変わったかもしれない。正義感振りかざして、白けるわなんて思われていたかもしれない(その時以上に)。
結局保身に走ってしまったのだ。結局自分が可愛い人間なんだ。
そういうことをした彼らにも、何か事情があったのかもしれない。愛されないこと、なんかよくわからないけどむしゃくしゃしてしまうこと、そしてそれを受け止めてくれる人はいないとか。
まあ、想像の範囲だから、真実は本人のみ知るってところ。
そんな風に後悔ばかりしていても、もう遅い。過ぎ去ったことは何も変わらない。
その時思ったことは、「遅すぎないうちに できる限りのことをしよう」ということ。
……まあ、そんなこともいつの間にか忘れて、また何かが起きたときにこの時を振り返って、「自分、何も変わってないじゃん」って自嘲するだけなんだけど。
私も先生を追い詰めたいじめっ子の一人なんだよね。きっと、自分が可愛いだけで、私は優しい人間なんかじゃない。
そんな思いを心のどこかにしまいながら、私は今日もなんてことない一日を過ごす。
ほの暗い感じにしてしまってごめんなさい~!!!
ずっと心の中にしまっていた苦い思い出を昇華したくて書きました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました☺️