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ダイタクの兄弟愛


はっきり言わなくてもわかる

大さんは、大学卒業前に、山口で働いている拓さんに「帰ってこいよ」とだけ電話で伝えます。
すると拓さんは、「大は自分とコンビを組んで芸人になりたいんだな」と察し、山口での仕事を辞め、熊本の実家に戻ります。
数年離れていたのに、「帰ってこいよ」という言葉だけで拓さんが大さんの意図が汲み取れることと、それだけで伝わると大さんが分かっていいることは、親密な双子ならではのことですね。
(学問的にはこの現象に名前があるらしく、こういった親密な双子同士でしか理解し合えない言葉は "twin language" と呼ばれるらしいです。)

(兄)大さんの誘いを待っていた(弟)拓さん

拓さんはあるインタビューで
「もし大が誘わなかったとしても、どちらからともなく誘って結局芸人になっていたかもしれないし、その1年ほど前から身辺整理をしていたかもしれない」
とも、別のインタビューでは
「自分は仕事でうまくいっていたし、自分から芸人になろうとは言わなかったかもしれない」
とも語っています。
https://fumufumunews.jp/articles/-/23973
https://www.youtube.com/watch?v=YDoWnJc8KxE&ab_channel=千原ジュニアYouTube

これらの答えは矛盾しているように思えますが、おそらく拓さんは大さんのほうからの誘いがあれば芸人になりたいと考えていたのではないかと私は思います。
「どちらからともなく誘って」というのはおそらく彼ら同士でしか通じない短い言葉のことを指しているのでしょう。
「身辺整理をする」というのも、大さんからの誘いがあってもなくても良いように心の準備をしておくといった感じに思えます。
これが正しければ、芸人になるという決断は大さんに任せよう、と拓さんは考えていたということですから、拓さんは大さんをかなり頼りにしていることになります。
22歳の時点では、大事な決断を大さんがしてくれるのを待っていたのでしょう。
仕事を辞めずまずはお金を貯めてから挑戦するという選択を取らず、すぐに一緒に上京したという行動にも、大さんへの信頼が表れています。

大さんのアシストをする拓さん

彼らが「ダイタク」としてインタビューされている場面では、ほぼいつも大さんが先に口を開きます。次に拓さんが大さんの言ったことに補足する発言をします。
大さんが言うことに困りそうな場面、例えばボケを即興で考えておもしろく言わなければならない場面では、まず拓さんがすぐに何かしら言い、大さんに考える時間を与える傾向があります。
大さんは大喜利が苦手と自分でも言っていますから、拓さんもそれに気を遣って助けているのでしょう。

大さんは「自分は論理派で、拓は感覚派。昔から拓が失敗しているのを見て、俺がよく考えて行動する」とよくインタビューで答えています。
昔から拓さんは、大さんにとって難しそうなことに遭遇した時、「先にやって失敗してあげる」「花を持たせる」ことを無意識に選んでいるのかもしれません。

奔放な拓さん

大さんは女性関係では奔放で、遊び人であることが「チャンスの時間」で明かされています。
漫才のネタ中では拓さんが常識人・大人しい「ツッコミ担当」ですが、
YouTubeにあげられている普段の言動や行動を観察すると、実は拓さんのほうが奔放な性格で、
大さんが拓さんをの言動を制したり、咎めたりしている場面が多々あります。

例えば以下の行動です。
https://youtu.be/KZloNwycaEY?si=7617As_m39AtqsVi
この動画では、あるライブベントで、拓さんが急に台本やリハーサルと違うことをやりたいと急に言い出しスタッフさんを困らせた事件について語られています。
拓さんはリハーサルなどは特にやらないで即興のような自然な流れが好きだ、やりたい、と主張。では具体的な段取りはどうするのか聞かれた場合、きちんと答えることはできず「拓は昔から自分1人で決められない」と大さんに怒られたことが上の動画では語られています。事前に決まっていた台本やリハーサルを無視して、ぶっつけ本番で楽しいトークショーみたいにしたい、スタッフさんもそれに合わせて即興で音響などをよしなにやってくれるだろう、と拓さんは考えています。

好意的に解釈すると拓さんは台本やリハーサルを無視してもうまくライブができるだろうと、周囲を信頼した上での行動だったのでしょう。
しかし逆に悪くいえば深く考えずにただ単に周囲に自分の想いを受け入れて欲しいという想いがあっての行動とも言えます。

インタビューでは、大さんは「拓は細かいことで時々頑固になって、自分の意見を譲らない時がある」と答えています。
このような拓さんが時折見せる頑固で奔放な行動は、普段拓さんが取っている「大さんをアシストする」スタンスと、少し矛盾しているように思われます。
「もともと生まれつき拓さんはそういう性格である」ということもできると思います。
しかし、私は「これはもしかすると拓さんの双子の"弟"としての小さな葛藤の現れなのでは」とも考えています。
大事なところ(=大さんに「2人」を代表させること)は大さんに譲ってあげてもよいけど、全てを大さんに譲るわけにはいかず、たまには小さな主張したいという心理があっても不思議ではありません「たまに細かいところで頑固になる」という姿勢は、大さんをサポートしたい、花を持たせたいという気持ちと、自分も主張したいという気持ちを両立させることができる唯一の方法で、今もその癖が抜けない、といったことがあるのかもしれません。

大さんの「拓は自分が言ったことを繰り返しがち」という指摘について

https://m.youtube.com/watch?v=l5tmHlrbJh8&t=2s
大さんは「拓は自分が言ったことを繰り返す」と指摘しています。

しかし普段のロケや他のYouTube動画を見ると、大さんが拓さんの発言やリアクションをそのまま繰り返しているシーンも多く見受けられます。
しかしなぜか、上の動画の指摘に対して拓さんは大さんもそれをしていることを指摘せず、受け入れて認めているようです。
実際にどっちがどっちを繰り返していることよりも、「拓さんが自分のサポートをしてくることや、拓さんから感じる信頼に引け目を感じていて、拓さんのことを純粋に心配している。もう少し自立して欲しい」という大さんの思いから、大さんが繰り返しをされた時だけ強く印象に残ってしまうのではないでしょうか。
大さん自身は自分は(拓さんから)自立していると思っているので、自分が拓さんを無意識に真似をすることは問題だと思っていないから、覚えていない、ということが考えられます。

続きます。

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