〈空白小説〉幸せな家族
『空白小説』リスペクト企画!
空白部分を、オリジナルで、埋めてみよう!
『空白小説』とは、書き出しと結末の文だけがはじめから決まっているショートショート集です。
その間の空白をどう埋めるかで、物語は予想できない方向へと展開し、書き出しと文末のもつ意味は大きく変わります。
あなたは「空白」の展開を予想できますか?(Amazonより引用)
今回は「まもなく列車がまいります」~「白線の内側までお下がりください」の空白小説です!
タイトル:幸せな家族
「まもなく列車がまいります
!…ガタンゴトン!ガタンゴトン!」
ユキエが、玩具の列車で遊ぶ姿を見つつ、俺は、妻との日々を、思い出す。
我が家から妻がいなくなって、6年。
慣れない子育てに四苦八苦しつつ、妻の帰りをただ待つ日々。
「ガタンゴトン!ガタンゴトン!…あ!お父さん!おかえりなさ〜い!」
「ただいま。おばさんの言うこと、ちゃんときいてたか?」
「うん!ナツおばさんと今日は、お絵描きしたんだよ〜」
ユキエの妹•ナツには、時々ユキエの面倒をみてもらっている。
「義兄さん。ユキエ姉…ユキエちゃん、今日は調子が良いみたい。嫌いなピーマンも残さず食べれたの」
「えへへ!えらいでしょ〜」
屈託なく笑うユキエ。
彼女の笑顔を見ていると、
心底大変だけれども、きつくてしんどい時も多いけれど、
こんな家族も、案外悪くないな、そう感じている自分に気付き、笑みがこぼれた。
「ガタンゴトン!ガタンゴトン!…まもなく列車がまいります!