ニコニコ動画における自転車登山の流行について
この記事はロードバイク Advent Calender 2021 の7日目の記事です。
初めましての方は初めまして、Advent Calenderに初参加させて頂きますちーたんと申します。
Twitter:te755
ニコニコ動画:https://www.nicovideo.jp/user/2406922/video
普段は激坂攻略やブルベや珍風景を紹介する動画を作っておりますが、今回は、ニコニコ動画界隈で近年流行している「自転車登山」の流行について、解説していきたいと思います。
自転車にしても登山にしても、動画界隈では古くからそれなりの規模を誇っているジャンルです。そこで問題になるのがマンネリ化なのですが、近年そのマンネリ化の打開策として流行っているのが、自転車と登山を組み合わせた動画です。
nanary兄貴の「自転車リアル登山アタック動画リスト」を集計すると、
2016年:1件
2018年:2件
2019年:26件
2020年:50件
2021年:75件(2021/11末時点)
と自転車+登山の動画投稿数が増えてきていますし、特にここ2年は新規走者も増えました(≧▽≦)。
自転車+登山の、動画素材を作るのは簡単です!
例えば、赤城山を麓から湖まで往復3時間で走る人なら、もう3時間かければ湖から頂上まで登山で往復できるので、半日あれば動画素材は準備できます。登山装備のほとんどは自転車装備を流用できます。ビンディングの人は登山パートで靴を履き替えたり最初からフラットシューズにするか、ぐらいの違いですね。
登山が得意でない人でも、浜石岳や甘利山のような舗装路から山頂がすぐ近くのコースなら、2時間かけてヒルクライムした後に、数分の登山を付け加えるだけで、雑に言い換えるなら、歩道橋を自転車を押し歩く程度の負荷を追加するだけで、頂上からの絶景をGETできるのですから、登山しないなんて損ですよね!
登山パートが短いのはズルくない?と心配される方もいらっしゃると思いますが、視聴者様はネタが斬新かどうか?良い景色が映っているかどうかで評価するものなので無問題です。また、天保山(標高5m)や大潟富士(標高0m)のような楽すぎる山では、逆にネタ枠としてアクセス稼ぎやすいです。
もう少しボリュームのある登山をするなら、和田峠から陣馬山、ヤビツ峠から大山、乗鞍畳平から剣ヶ峰も、普通のヒルクライムに飽きたら時にチャレンジしてみるのもいいのではないでしょうか。乗鞍は比較的手軽に3000m級の山頂タッチができますし、景色も素晴らしいのでお薦めです!
さて、そんな自転車登山の世界について、ニコニコ動画で流行しているネタを3つ、独断と偏見で解説してみたいと思います。
(1)100%RTA(いわゆる距離ガバ)
RTA(リアル登山アタック)界隈で、海岸から山頂まで登ることを「100%RTA」と呼びます。登山口最寄り駅や駐車場からのスタートに比べ、大幅に距離が延びてマゾいのが特徴です。
例えば富士山の場合、一般的には、自転車勢は5合目がゴール、登山勢は5合目からスタート、が常識感覚として刷り込まれている中、人力で両方登る動画は強烈なインパクトがあります。私も「何この変態(誉め言葉)」と最初は思いました。
ですが、富士山の難易度はさほど高くなく、100%レギュでも、早い人は5時間ヒルクライム+4時間登山の計9時間で達成するようです。駅までの下山も考えると、プラス4時間の13時間コースでしょうか。難易度は天候次第で凶悪になることもありますが、ゆるふわ勢は山小屋使って1泊2日にすれば難易度は大幅に下がり200Kmブルベ程度に簡単でしょう、多分。
と、私はこのような難易度分析ができますが、それができる視聴者はごくわずか。大多数の視聴者は、富士山を50%登るだけでもスゲー、それを100%RTAにするなんて頭おかしい(誉め言葉)と思ってもらえるので、富士山はおいしいネタなんですよね。
投稿者の傾向としては、時間と体力はあるけど交通費を節約したい学生さんが、動画投稿するならいっそ海からスタートしよう、みたいなノリで100%登山にする場合もあれば、ブルベ等でリスク見積りを鍛えられたおっさん自転車勢が、登山パート含めた難易度を見切った上でロングライド+登山のチャレンジをしている場合もあります。
もちろんゆるふわな登山勢・自転車勢も多くいらっしゃいます。海から近い低山なら気軽に100%チャレンジでき、短い距離と時間の山行でも、
①海面タッチ(波をかぶって靴を浸水させたりするとウケる)
②登山口までの道中(道に迷うとかアクシデントがあるとウケる)
③登山パート(景色が良ければウケる)
の3つの見せ場がテンポよくつながっているだけで面白い動画になるものです。
(2)自転車担ぎ
自転車界には昔から、自転車を担いで登山道の峠を越える遊び方がありましたが、今はそのような人種は少数となり、長時間自転車を肩に担いで登山道を上り下りする動画はその希少性もあって、「肩の痛み大丈夫なの?」「イミガワカラナイ」と畏敬の念をもって迎えられます。
私も自転車担ぎをやってみましたが、肩の痛みに長時間耐えるのは困難で、肩の痛みを和らげるクッションや、肩だけでなく背中や腰にも荷重を分散させる担ぎのテクニックが必要だと思いました。普通の人がやると、肩の痛みに耐えられず10m毎に休憩する羽目になるでしょう。
そんな高難度の自転車担ぎですが、ニコニコ動画界隈では、肩に担がず手で持ち上げながら登ったり押し歩きも含めて、広義の「自転車担ぎ」として認められる風潮があり、「手段はどうあれ人力で10Kgのかさばる鉄の塊を山頂まで運ぶ変態(誉め言葉)」みたいなノリで「自転車担ぎ」という言葉が使われることもあり、定義は緩いです。肩の痛みに耐えられなければ押し歩きや手持ちでもいいなら、さほど難しくないですね。
投稿者の傾向としては、登山中に愛車を放置したくない、峠の向こうまで自転車を運んで通り抜けたい、という事情で山を自転車担いで突破するガチ勢と、なんとなく「自転車担ぎ」をやってみたいとかネタにしたいゆるふわ勢の2つに分かれるでしょう。
ゆるい短距離でも、肩の痛みを訴え苦しみながら登る動画は、マゾく苦しむ投稿者を見たいという視聴者の欲求を満たし、一般登山者の「何この変態(誉め言葉)」といったリアクションも、普通の登山動画に比べるとウケやすいので、動画のマンネリ化にお悩みの投稿者の皆様、是非チャレンジしてみませんか?
※基本的なマナーとして、登山道では走行せず、自転車持ち込みが禁止されている場所はもちろん迷惑になりそうな場所は避ける配慮が必要です。
(3)チャリホバー
チャリホバーとは、自転車担いで空中浮遊する登山動画です。
・・・意味が分かりませんよね?
とりあえずこちらをご覧ください。「ニコニコ自転車動画祭2021春」と「1分弱登山祭2021」の2つのお祭りの中で、ぺぺち兄貴が今年5月に投稿されたこの動画が伝説の始まり。
URL:https://t.co/MQ2hEjOLBb
実際に浮遊しているわけではないのですが、浮遊演出のために超絶に手の込んだことをしていて、自転車を肩に担ぐだけでも苦痛なのに、さらにジャンプしたりカメラを移動させたりとタイムが3~5倍になるような手間をかけているのです(;゚Д゚)
真似をする場合、カメラマンを用意してカメラの移動の手間を省いたり、ソロでも360度カメラを用意してカメラの向き変更を省略させれば負担が減ると思いますが、それでも普通の自転車担ぎの2~3倍大変でしょう。(普通の自転車担ぎって何?)
そこでゆるふわで打算的な私は必死に知恵を絞り(*‘∀‘)、カメラ移動する必要のない超短距離コース(大潟富士)で労力を削減することに成功し、短時間なので肩の痛みはなんとか耐えられましたが、自転車を担いでジャンプしている変態行為を人に見られたらとても恥ずかしいので、他の観光客が去り、車道を車が走行してないタイミングを見計らって撮影するのが大変でした。
URL:https://t.co/gu3hOn5sdz(「手抜き祭」投稿動画)
以上、3つの流行を紹介させて頂きました。
このようにニコニコ動画では、レッドオーシャンなYouTubeと違い、ブルーオーシャンなゆるい雰囲気の中、頭のおかしい(誉め言葉)動画が生まれてきますので、普段ニコニコ動画を見ない方も、ローラーや年末年始の暇つぶしにニコニコ動画の「自転車」「ロードバイク」タグをチェック頂けますと嬉しいです。
ところで、チャリホバーが今年5月に投稿された瞬間は爆発的な反響を呼んだにも関わらず、その後半年たっても、投稿者が1名(私)しか増えていないというのはどういうことでしょうか?10人ぐらい増えてもおかしくないですし、やればアクセス数爆上がり間違いないのに・・・。おかしいです!
というわけで最後にお約束の言葉で締めたいと思います。
さぁ、みんなも担いで?私も担いだんだからさ!
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