太平洋自転車道1400Kmは鬼畜コースじゃまいか?
先日、こんなニュースが流れてきた。
1400キロ、つながる自転車道 五輪控え全線整備へ
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2018122802000070.html
これを聞いて、自動車との事故の心配なしに走れる海沿いの快適なサイクリングロードが延々と続く風景を想像するのは素人である。
海岸沿いというのは、以下のような事情で、サイクリストにとって快適なわけではない。
・砂浜沿いの道路は、メンテしなければ砂に埋もれる。こまめに砂を除去しなければロードでは走れなくなるし、除去し続けるのは維持コストが高い。また、防砂林防風林がなければ、横風で走行が困難なことがあったり、飛砂が痛かったりチェーンに砂がついたりして大変なのだ。一方、防砂林防風林さえあれば快適な道路となりうるが、その場合、海が見えない単調な景色が延々と続くことになる。(例:房総半島、江ノ島~茅ヶ崎)
・半島は基本的に、山でアップダウンが多く、補給ポイントの少ない過疎地。つまり自転車にはつらい。山の斜面に自転車専用道を作っても、見通しの悪い狭い道路になりスピードが全然出せない。(例:渥美半島の太平洋自転車道)
・港の近くは工場地帯が続いたり大型車が多くなり走りづらい。(例:東京湾、清水市)
また、道路建設費用や維持費用の面からは、勾配がゆるやかで都市間を最短距離で結ぶルートが望ましい。距離が長ければその分コストも高くなるし、山は災害で崩れるものなので極力崩れにくい場所に道路を作りたいものだ。その点、海岸沿いにこだわると距離が長くなったり、地盤や勾配が道路に適さない場所が多く、コスパが悪いのだ。
また、この自転車道が完成したとしても、1400Kmを誰が走るのか?どのぐらいの人数が走るのか?
都市間の移動のために使うなら、既存の道路で十分だろう。わざわざ海岸線にこだわって遠回りだったり勾配がきつかったりして損だ。伊豆半島一周とか紀伊半島一周とか、鬼畜ルートで有名ジャマイカ。
旅行で景色を楽しむのが目的だったり完全走破にこだわる場合、1日100~200Kmを1~2週間で走ることになるだろうか?それだけ時間をかけてしまうと海の風景も飽きるw海沿いにずっとこだわるより、魅力の少ないきつい区間は内陸部を効率よく走ってメリハリをつけたほうが楽しいだろう。
自転車道の整備は自転車乗りとして歓迎したいが、完成しても実際に走る人が少なくコスパが悪ければ税金の無駄遣いになってしまう。
記事には既存の道路も使うとあるので、コスパ的な問題から既存道路にペイントして安くすませる所が多いだろうと予想しているが、コスパについての議論を全くみかけないまま、効果が不明瞭なものに予算が投入されてしまうとしたら不健全だ。
進めるにあたって、以下の点について議論をして欲しいと思った。
・砂浜区間は砂の除去の維持費が高くなる問題
・道路を新設する場合、コストパフォーマンスが妥当なのか?
・利用者を増やす算段はあるのか?
・コスパが悪い区間は極力安くすませるなど工夫を考えているのか?
・伊豆半島紀伊半島にルートを引いた鬼畜な奴は誰だ!