モビールを探す旅
銀座まで歩いた。
私の店は夏の間、店頭に風鈴を掛けている。
常滑焼という、愛知県の焼き物の風鈴で、乾いたとてもいい音がする。
先日まで風鈴日和だったが、さすがにシーズンが終わり、外した。
何か、代わりに掛けたいなぁ、と冬に気持ちが温まりそうな物を探しに、徒歩の旅へ。
イメージしているのは、クリスマスっぽい物か、モビール。
モビールって知ってますか?
例えば、こんなの。
もともとは部屋の天井に飾るもので、アイテムがとても軽いので、室内の微かな空気の動きでも適度に動いて、見ていて心地よい。
また、赤ん坊が上向きで寝かされている時、何も動かない天井を見るのではなく、これがあると、とても喜ぶアイテムとしても使われる。
上で紹介したリンクのモビールは、実際我が家にもあって、長男が赤ん坊の時にはとても喜んで、両手両足をバタバタさせていた。
商店街を通り過ぎる人、注文した天ぷらが包装されて手渡されるのを待っている人、一緒にいる子供達が一瞬でも気持ちがほぐれてくれたらいいなぁ、と。
しかし、なかなか見つからなかった。
◇ ◇ ◇
今日の他の用事のついでに、まず、もと神保町三省堂前の美術具材系のお店に行った。
何かありそうな気がした。
思った以上にクリスマスだった。
しかし、残念ながら、風鈴のところに飾りたいと思うものはなかった。
クリスマス過ぎると、これらは季節外れになってしまう。
気持ちを温めたくなる期間、ずっと使えるものが欲しい。
次は銀座に向った。
銀座には、ロフト、東急ハンズ、無印良品等がある。
まずロフトへ。
なんかギラギラしすぎていて、ちょっとうちの店には無理。
全階を見たけど、これだ!というものはなかった。
次に無印良品へ。
笑ってしまうほど、クリスマス感がない。
全階見て、外に出る。
東急ハンズへ。
サンタが上から下がっている飾りで、風鈴みたいに、風に揺れることで動きを作る飾りがあった。
動きとしては一番、探していたものに近いが、サンタさんだと、やっぱり有効期間が短い。
吊り下げているものが、細いひものようなバネだったのは面白かった。
こんなバネだけを買えたら、そこに着けたいものを別に買うことで、似たような物がつくれるな、どこで売っているだろう、と思いながら店を出た。
あっ、そうだ。
itoyaに行けばあるかも、と少しだけ離れた、その店に行くと、モビールがあることはあったが高級で繊細で、ホコリが付きやすいうちの店には不似合いな物で諦めた。
◇ ◇ ◇
嫁さんから連絡があり、予定していた私の夕飯当番がなくなり、飲んできていい、と連絡が。
銀座で午後3時。
それならばと、家に向かって歩き始めた。
歩けるだけ歩いて、地元の飲み屋が午後五時の開店に合わせて帰ろう。
ふと。
自分は一体、何をしているんだろう。
残りの人生で、何がしたいんだろう。
と考える。
◇ ◇ ◇
そろそろ、足首が限界に近づいて来た。
音楽を聴きながら歩くことにした。
早まる夕暮れと、音楽がよく合う。
好きな音楽を聴いていると、頭、胸、腹のあたりがそれぞれ何かを感じて、内側から動く。
こんな瞬間こそ、生きている時間だ。
どうすれば家族に迷惑をかけず、好きなことをやって、借金は残さないけど、財産も残さない生き方が出来るか、考えている。
そのためにも、もう少し頑張って働こう。
あのリンクのモービルを買おうか…
おやすみなさい。