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アナログでデジタルな天ぷら屋の今どきの話

いろんな事があり、仕事のあり方を考え直している。

これからの時代が人手不足というのは、面白い視点だった。

うちの店のような昭和な商店は、夫婦で笑顔でそろって営業をすることが基本という考えがあった。

10年くらい前から嫁さんが半日、別の場所で働くようになったが、違和感のある人は多かったはずだ。

それを二人で決めた直後は大変だった。

 ◇ ◇ ◇

私は天ぷらを揚げればいいだけではなく、天ぷらを揚げながら接客をして、電話にも出て、注文の計算をしながら、天ぷらを包装し、足りなくなった仕込みをする、という、マルチタスク&ワンオペレーションをする。

すべての質が落ちてしょうがないと思いつつ、仕事の段取りなどを少しづつ変えていった。

店が一番忙しい土曜日の午後は、希望して入ってくれたバイトの人がいたが、大学卒業に合わせて辞めて、それ以後は人を雇うことはなくなった。

若い人に仕事がない、と知っていたが、雇うことを辞めた。

 ◇ ◇ ◇

「ホワイトカラー消滅」の本を読んで、これからは人を雇わないことは悪ではない、と気づいた。

それより、自分ひとりでどれくらい世の中の需要に応えられるか、の方が大事だ、と知って気が楽になった。

無理して人を雇うのではなく、仕事を円滑に、効率的にするための道具や機器、デジタルを活かすのが、これからの正義なんだと考えを変えたら、いくらでも出来ることがある、と感じた。

 ◇ ◇ ◇

以前読んだ記事で、デジタルトランスフォメーションDXをやるなら、まずアナログトランスフォメーションだ、とあった。

自分の経営の何をどうしたいのか、という根本的でアナログな戦略がなしに、時代を追っかけて表面的なDXをやっても意味がない、と。

私は、自分の店で大事なのは3つのS、だと思っている。

商品
接客
清掃

一人で仕事をしていると、天ぷらを揚げることには頭が回るけれど、それ以外は後回しになってしまっていた。

しかし、清掃は、ユーチューブなどを見ると、いろんな簡単な解決策があり、Amazonで買えば最短で翌日に届き。それにより時短でき始めた。

接客は、デジタルを使うことで、いろんな小さな解決策が見えた。

例えば、父親が営業していた時代は、常連客ばかりで、売る方買う方相互の暗黙のルールが決まっていたが今は違う。

いろんな人がいて、町への入れ替わりも激しく、私たちが「言わなくても分かるよなあ」という常識も、言語化しておかないと、お互いにストレスが溜まることを感じていた。

持ち帰り天ぷらの専門店なんて、もう世界に数軒しかなくなっているのだから、取扱説明書トリセツが必要なレベルだろう、と思い、それを店のFacebookInstagramアカウントにアップして、トップに固定するように先日した。

店頭に書いたとしたら、長くてウザいものも、SNSだと、わりとスラッと読めていい。
 
お客さんが聞きたくても聞けないこと、私が聞かれてもゆっくり答えられないことを、SNSは簡単に代替してくれる。

簡単に変更や上書きもできる。

代わりに働いてくれている。

これは、意外とすごいことだ。

 ◇ ◇ ◇

いま一番に即効性を感じているのは、「ストーリーズ」だ。

インスタに、今日のおすすめをアップすると、自動的にFacebookにも上げてくれる。

一般的な投稿のSNSを見ない人は、若い人を中心に増えている感じがする。

ストーリーズの一瞬流れる映像、情報を眺めるくらいが、一休みのリラックスの時間で、若い人を中心にそちらに流れている。

昔から、ペラペラめくる雑誌のような感覚が良いのたろう。

ストーリーズに、仕入れや天ぷらの画像と簡単なコメントをアップするだけで、一瞬でも見てくれる人がいっぱいいることを知った。(誰が見てくれたかも、確認できる)

それで、実際に買いに来てくれる人が明らかに増えた。「インスタを見てきました、あれまだありますか?」と。

こんなに分かりやすい効果を感じたのは、ひさしぶりだ。

 ◇ ◇ ◇

昔、うちの商店街が賑やかだったころ、多くの店が「いらっしゃい、いらっしゃい、〇〇が旨いよ〜」とか声を出していたけど、人通りが減って、どの店もやめてしまった。

自分も、やめてしまった。

でも、このストーリーズって、それを代替してくれているんじゃないだろうか。

そんな感じで、少しづつ、自分なりのトランスフォーミングな持ち帰り天ぷら屋を目指してやってみる。

 ◇ ◇ ◇

先日、酔った勢いで、風鈴の代わりになるモビールもネットで買った。

店の備品が、自分とお客さん、通行人にとって心地よいものになることで、私や皆さんの表情も和らぐような変化がある事を願っている。

モビールが、ある意味で接客をしてくれるのだ。

モビールトランス…

もういいか。

ではおやすみなさい。

サイゼリアの営業が1時間長くなったので、ゆっくり書き込めました。