小説で子供を救う挑戦

私はつい最近まで、本気で小説家を目指していました。
いじめられている子供や、歪んだ家庭環境で苦しんでいる子供に、癒しと気付きを与える小説を書くのです。
言わば、文章で人の心を矯正する、整体師作家とでも言いましょうか。

解説しますと、大人目線ではなく当時の子どものままの目線で描くのです。これは難しいです。

まず、子供は大人よりも息が短い。息が荒いとも言います。

そこで私は、普段から努めて短い息であることを意識しました。

もう発想が尋常ではありません。続けます。

なぜ息の長短を重要視するのかというと、それがその人の文章を作り上げるからです。

他の人は知りません。誰に教わったことも無い、自分を縛った独自ルールです。

これがきつい。

なぜなら人は年を取るごとに成長し、息が長くなってくる。つまり落ち着いてくるという意味合いもあります。

にも関わらず、私はいつも頭の中で児童文学の文章を練っていたので、息が短い。

小さい頃の体験を振り返って構想していたので、当然そうなります。

歩いている時、電車に乗っている時も常に考えていて、息が荒くなりました。

もう大人なんだから落ち着こうと普通の人は思うのでしょうが、いたずらに苦しい道を選んでいました。

そしてなぜ、短い文章を意識していたのかというと、そっちのほうが子どもには読みやすいかな、共感してくれるかなと考えたからです。

絵本がいい例ですね。くぎって、くぎってです。

しかし、私は整体師作家になるのを諦めました。普通の人間、普通の大人になりたいと思ったからです。
もう一つ、ちゃんと親孝行をするためです。

もういい年です。
文章を書いても、すぐにはお金になりませんしね。

私は人よりずいぶん遅くなりましたが、現実を見たのです。


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