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毎日の暮らしを豊かにする余白/記憶のなかの香り
次の日曜日(12日)、「現代の陰陽師が伝えるお香」に出会う機会に恵まれました。この機会を素敵な時間にするため、少し香りについて考えていきます。
記憶の中の香り
私の故郷は島根の山村です。故郷に帰省した時、川の香りを感じると、いつも「あ~帰ってきたな」と実感します。
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こうして想い出の香りについて考えてみると、
私の記憶の中には、他にも
雪解けの香り
真夏の夕立の後の香り
稲刈り後の田んぼの香り
実家の庭に咲いていた金木犀の香り
…など。いろんな香りがあることに気付きました。
特定の香りを嗅ぐことで、当時の記憶や感情が蘇ってくることがあります。
これは、香りが脳の記憶や感情を司る部分に直接働きかけるためですが、香りの記憶は、時に言葉では表現できないほどの強い力を持つ、不思議な力があるようです。
皆さんも、記憶と結びついた特別な香りをお持ちではないでしょうか?
暮らしに取り入れられて来た「香り」
古来より、日本人はこのような香りの不思議な力を、様々な形で暮らしに取り入れてきました。
仏教の儀式や寺院では、空間を清め、邪気を払うために香が焚かれました。
平安貴族は、衣服や髪に香りを移したり、部屋に香りを漂わせるなど、優雅な暮らしに香りを添えました。
武士は、戦の前に甲冑に香を焚きしめて出陣したり、精神統一のために香木を焚きました。
江戸時代には、香は庶民にも広まり、歌舞伎役者や遊郭でも使われました。
香道は、香りを鑑賞する文化として、武家、貴族、裕福な町人にまで広まりました。
このように、香りは、宗教的な儀式から日常生活まで、様々な場面で、精神的な浄化や癒し、自己表現の手段として使われてきました。
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香りと暮らしの余白
香りは、目に見えないけれど、確かにそこに存在し、心を動かす力を持っています。
「暮らしの余白」に「香り」を添えることで、より心地よい、自分らしい時間を創造できるのではないか。明日も、もう少し香りについて深めてみたいと思います。