【暗黒方界】
当記事にアクセスいただき、誠にありがとうございます。
さて、皆さんは《暗黒方界邪神クリムゾン・ノヴァ・トリニティ》というカードをご存じでしょうか。
劇場版「遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS」にて藍神が使用した、いわゆるラスボス系モンスター。最高クラスの攻撃力、妨害の大半を弾ける耐性、連続攻撃及びライフ半減効果と、まさにフィニッシャーにふさわしい豪快な悪魔族モンスターです。映画でこいつの活躍を見て一目惚れしたという人も少なくないはずです。今回ご紹介しますはこの邪神を切り札に据えた暗黒界デッキとなります。
今が(多分)流行りのピークであるデモンスミスギミックを採用したデッキです。8月10日に開催されました城下町デュエルチャンネルのオフ会「AAオフSP」でも存分に回ってくれました。少ない初動で確実に《邪神》召喚ができるルートこそ流石にありませんが、それでも下記の基本手順でパーツの大部分が確保できます。
0.前提として、暗黒界モンスターが1体以上手札にあるのが条件。
1.デモンスミスギミックで《永遠の淑女ベアトリーチェ》をX召喚。効果で《暗黒界の登極》を墓地へ。
2.暗黒界を捨て《登極》を回収。←盤面によって使っても良し、伏せても良し。
3.相手ターンに《ベアトリーチェ》で《E・HERO シャドー・ミスト》を墓地へ。《シャドー》効果で《E・HERO プリズマー》をサーチ。
これで自分のターンで《プリズマー》を召喚し効果を使えば、場と墓地に《暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ》が2体、墓地融合可能な《登極》があるため、あと1体《クリムゾン・ノヴァ》を墓地に送れば《邪神》降臨が叶います。最後の1枚は気合で引く必要があるように見えますが、暗黒界が性質上ドローを繰り返すため展開中に手札に加わる確率は決して低くありません。さらに《クリムゾン・ノヴァ》を直接埋葬するためのカードも厚めに採用しているので、どれか1枚でも引ければ良い構築にはなっています。
また、この手のターンをまたいでパーツを集める系のコンボデッキは相手に狙いがバレると妨害がそちらに集中してしまうのが悩みだったりしますが、このデッキは上手く立ち回れば相手にギリギリまで《邪神》の存在を隠しておくことも可能です。
上記の基本手順で見えるカードは《プリズマー》までなので、これだけで《邪神》召喚を狙っているとは気づかれません。何なら《プリズマー》は《暗黒界の龍神グラファ》として扱う使い方もできるので、人によってはベーシック構築だと勘違いしてくれるまであるでしょう。そして自分ターンで《邪神》召喚の目途が立つ手札だったら《プリズマー》召喚からの《クリムゾン・ノヴァ》2体分捻出、埋葬系カードで最後の1体を墓地に叩き込みすぐさま《登極》で《邪神》を召喚、そのまま一気にゲームエンドまで持ち込めます。
ここからは各種採用カードを見ていきます。
《魔を刻むデモンスミス》を始めとしたデモンスミスギミックは、前述の通り《ベアトリーチェ》からパーツ4枚のうち3枚を確実に確保するのがメインの仕事です。ただ現在環境最前線でブイブイ言わせていることからもわかるように、明らかにカードパワー及び柔軟性が高いので、序盤から終盤まで展開にも盤面突破にも制圧にも使っていけます。これだけ多才だと当然相手もこちらの動きに妨害を当てに来るので、結果的に《邪神》召喚の流れを守ることに繋がったりもします。
一応各デモンスミスカードからの《ベアトリーチェ》の立て方も書いておきます。
《魔を刻む》A効果で《詠聖》サーチ→《詠聖》効果で《ルリー》サーチして捨てる→《ルリー》効果で自己蘇生、1体で《鎮魂棺》リンク→《鎮魂棺》効果で《紅涙の魔ラクリモーサ》リクルート→《ラクリモーサ》で《魔を刻む》B埋葬→《ルリー》を戻し《魔を刻む》効果で自己蘇生、《ラクリモーサ》と共に《刻まれし魔の大聖棺》リンク→《大聖棺》効果で《ラクリモーサ》と《魔を刻む》Bを戻して《刻まれし魔ラクリモーサ》融合→《刻まれし魔》効果で《魔を刻む》A蘇生→《刻まれし魔》と《魔を刻む》Aで《ベアトリーチェ》X召喚
《ラクリモーサ》召喚、効果で《魔を刻む》Aを埋葬、その後1体で《鎮魂棺》リンク→《鎮魂棺》効果で《魔を刻む》Bをリクルート→《鎮魂棺》を戻し《魔を刻む》A蘇生、2体で《大聖棺》リンク→《大聖棺》効果で《ラクリモーサ》と《魔を刻む》Bを戻して《刻まれし魔ラクリモーサ》融合→《刻まれし魔》効果で《魔を刻む》A蘇生→《刻まれし魔》と《魔を刻む》Aで《ベアトリーチェ》X召喚
《詠聖》効果で《魔を刻む》Aをサーチし他の手札を捨てる→《魔を刻む》A効果で《刻まれし魔の讃聖》サーチ→《讃聖》効果でトークン生成、1体で《鎮魂棺》リンク→《鎮魂棺》効果で《魔を刻む》Bをリクルート→《鎮魂棺》を戻して《魔を刻む》Aを蘇生《魔を刻む》AとBで《ベアトリーチェ》X召喚
環境デッキだとピン刺しが多い《紅涙の魔ラクリモーサ》もこのデッキではガン積みしているため、《ベアトリーチェ》を立てるだけなら初手での成功率はまあまあ高めです。
《煉獄の災天》や《悪魔の嘆き》等の埋葬系カードは最後の《クリムゾン・ノヴァ》を落とすために採用。それ以外でも墓地が肥えている方が暗黒界もデモンスミスも動きやすいので、状況によってはそちらに墓地肥やしを回すのも手です。
《アダスター・ゴールド》は《シャドー・ミスト》の第2サーチ先として採用。《アダスター》からのサーチ先が悪魔族専用融合か緩い条件での1ドローなので、こちらも地味ながら腐りにくいのがお気に入りです。捨てた《アダスター》は《門》のコストにもデモンスミスのコストにも遠慮なく充てられるのでその点も使い勝手良しです。
エクストラデッキには要の《ベアトリーチェ》とデモンスミスではお馴染みの制圧モンスター《エグゼクティブ・シーザー》に加えて《百鬼羅刹の大饕獣》もランク6の候補に加えています。フリーチェーンの魔法罠除去や身代わり効果、デュエル中1度とはいえノーコストの自己蘇生と、1枚で幅広い仕事をこなしてくれます。
本来の動きには関係ないですが、せっかく《ベアトリーチェ》が容易に出るデッキなので《彼岸の巡礼者ダンテ》にも枠を割いています。《ベアトリーチェ》は相手によって破壊された場合エクストラデッキから彼岸モンスターを召喚条件を無視して特殊召喚できますが、今日日その効果を警戒する人は無に等しいはずなので、まあ出せないことはありません。
とはいえ場に出ても特に仕事があるわけでもなく、彼岸を採用していないこのデッキでは「除去された際にランダムハンデスする」という嫌がらせ程度の効果しか使えませんので、万人におススメできるものではないです。
このカードは昔組んでいた【彼岸暗黒界】で何かと世話になったカードであり、個人的な思い入れが強いがためだけに採用しています。9期~10期のカジュアル環境は当然ですが今よりずっと穏やかだったので、《巡礼者ダンテ》の対象耐性だけでもお茶を濁せる場面はなくはなかったです。当時基準では高い展開力と持久力を誇る彼岸で時間を稼ぎつつ準備ができたら暗黒界ムーブに移行する【彼岸暗黒界】は、強さはともかくとして長らく苦楽を共にしてきた愛着あるデッキでした。今回そのうちの1パーツを然程無理なく採用できたのは、《邪神》降臨が叶うのに劣らぬお気に入りポイントだったりします。
余談
普段デッキを組む際は「暗黒界と○○を組み合わせられないか」という発想からスタートして着地点は特に決めないことが多く、今回のデッキも基は単純な【デモンスミス暗黒界(魔轟神添え)】でした。しかし《ベアトリーチェ》を安定して立てられるのなら《邪神》召喚がグッとラクになることに気付いたこと、そして《ベアトリーチェ》がおそらく秋を越すのは絶望的なこと、この機会を逃したら映画の活躍を見て惚れた《暗黒方界邪神クリムゾン・ノヴァ・トリニティ》を降臨させるチャンスは早々に訪れないであろうことから、構築に踏み切りました。最終的に立つモンスターが文句なしのゲームエンドカードなのもありますが、着地点が決まっているデッキというのも楽しいものだと感じました。
終わり