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AI技術のタブー:顔認識技術とClearreview AI
Clearview AIは、2017年に設立された米国の顔認識技術企業です。インターネット上の画像から膨大なデータベースを構築し、高い精度を誇る顔認識サービスを提供しています。しかし、その活動は、個人のプライバシーを侵害するものとして、各国の規制当局から強い批判を受けています。今回はこちらの企業を例に顔認証技術について紹介していきます。
顔認識技術の発展
近年、AI 技術の進歩に伴い、顔認証技術は飛躍的な進化を遂げています。 高度なアルゴリズムと膨大なデータセットを組み合わせることで、高い精度で人物を識別できるようになり、警察や政府機関をはじめ、様々な分野で導入が進んでいます。
しかし、顔認証技術は、その利便性の裏側に、深刻なプライバシー侵害や倫理的な問題といった課題も抱えています。 個人情報の取り扱い、データのセキュリティ、技術の悪用リスクなど、解決すべき問題は山積しています。
本記事では、革新的な顔認証技術と社会実装における課題を、米国の企業 Clearview AI を事例に考察します。
Clearview AIの概要
Clearview AIの技術は、ソーシャルメディアやウェブサイトから収集した数百億枚の画像を基に構築されています。このデータベースには、Facebook、Twitter、Instagram、YouTubeなどの主要なプラットフォームから収集された画像が含まれているとされています。
同社の顔認識技術は、高い精度で人物を識別することができます。顔の一部しか写っていない画像や、ぼやけた画像であっても、高い確率で一致させることができます。この技術は、警察や政府機関による犯罪捜査やテロ対策などに活用されています。
最近では、ウクライナ政府がロシアの侵攻に対抗するため、Clearview AIの顔認識ソフトウェアを利用し始めました。ウクライナ政府は、この技術を使ってロシア兵の死亡をロシア国内に知らせ、戦争の実態を伝える意図で使用しています。
プライバシー侵害問題
Clearview AIの活動は、スクレイピングなどの技術を用いて個人の同意なく世界中の人の画像を収集してデータベースを構築していることから、深刻なプライバシー侵害の問題が多数指摘されており、各国で訴訟問題が生じています。
欧州連合(EU)では、一般データ保護規則(GDPR)に基づき、個人データの収集には本人の同意が必要とされています。Clearview AIの行為は、GDPRに違反する可能性が高いと判断され、欧州データ保護委員会は、同社に対してサービスの停止とデータの削除を命令しました。
また、同社のサービスを利用したウォルマートは、イリノイ州のバイオメトリック情報プライバシー法(BIPA)に違反した疑いがあるとして、集団訴訟の対象となっています。
セキュリティ問題
2022年2月には、Clearview AIのデータベースが不正アクセスされ、数億枚の画像データが流出する事件が発生しました。この事件は、同社のセキュリティ体制の脆弱性を露呈し、さらに批判を招いています。
まとめ
顔認証技術は、犯罪捜査やテロ対策などの分野で大きな可能性を秘めていますが、同時に深刻なプライバシー侵害やセキュリティ問題も抱えています。Clearview AI が抱える問題点は、顔認証技術全体が直面する課題を象徴しており、今後の技術開発と社会実装における指針となると考えられます。今後、Clearview AIは、プライバシー保護と技術革新のバランスをどのように取っていくのかが問われています。