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「アイデアの力」と挑戦するキャリア ― 9年間過ごしたキャンパスで身につけた力:YC talks 2024

岩松 俊哉 さん(2004年・環境情報学科)が、横浜キャンパス ホームカミングデーの企画である、「横浜キャンパストークライブ YC talks」に登壇しました。岩松さんは、横浜キャンパスで9年間学び、現在は電力中央研究所で研究を続けています。講演では、彼の学びと研究の軌跡をたどり、彼がどのようにして研究者としての道を切り開いたのかをお聞きしました。
彼が学部4年と大学院で過ごした9年間のスタート地点でした。周囲から「どれほど居残り勉強が好きなのか」と言われるほど、長い時間を学びに捧げてきたのです。

彼の専門は「建築環境学」。壁や床、天井に囲まれた空間を適度な温度や明るさ、新鮮な空気を保つための手法を研究しています。学部の4年間と大学院の2年間を経て、博士後期課程に進む道を選んだ彼は、学業に対する深い情熱を持っていました。


画期的な発見と研究活動

岩松さんが人生を変えるきっかけとなったのは、学部2年生の「住環境システム」の授業で行った「箱模型実験」です。この実験では、模型を使って建材の並び方や材質、窓にカーテンを付けたり、外付けのすだれを付けたりすることで、建物の目には見えない温度変化をデザインできることに感動したそうです。これが彼の研究の原点となりました。

学部3年から配属された宿谷研究室では、建築環境の研究が行われており、多くの学生が集まって活発な研究が行われていました。岩松さんは、フィジーでの自然体験実習にも参加し、その国民性や文化に触れることで、研究に対する視野を広げました。

研究の中心は「木陰で感じる涼しさのメカニズム」の解明でした。従来の冷房はエアコンで空気を冷やし除湿をするので、窓を閉め切りにすることで冷却が必要になりますが、岩松さんは建物内で自然換気を利用し、化石燃料由来のエネルギーをあまり使わずに涼しい空間を作る手法を目指しました。この研究は、人と環境に優しい冷房手法の実現に向けたものです。

大学院での博士後期課程は進む人が少なく、9年間の在籍に対して社会人になれるかという不安もあったといいます。しかし、南太平洋の島国を見て、小さな困難を気にせず、博士課程に進む決意を固めました。研究は困難もありましたが、新たな発見があったことでやりがいを感じたそうです。結果、彼は環境情報学研究科の初の博士号取得者になりました。

現在の研究と未来への展望

現在、岩松さんは冷房の研究から厨房の省エネ研究などに転じ、省エネに関する実験を行っています。研究者としての醍醐味は、新たな発見をする喜びであり、知的好奇心を満たすことだと語っていました。未来を明るく照らす研究を続け、多くの豊かな人生を送れるための探求を続けています。

社会人でも大学院に進学する人が増えている中で、大学の充実した制度を参考にして、自分自身が役立てそうなことがあれば、まずは気軽に声をかけてほしいと語っていました。岩松さんの話は、研究に対する情熱と未来への展望を感じさせました。

(文:楷の木会 荒井)

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