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10月14日(水)のリートデュオ・リサイタル
東京音楽大学の卒業生で、長くドイツで活動し、ドルトムントのシューベルト国際コンクールでリートデュオ部門で第一位に輝いた、宮﨑貴子さん。今まで色々な形で関わりがありましたが、今回、初めて「デュオ」として一緒にドイツリートの世界を奏でる事となりました。
シューベルト、シューマン、ヴォルフ、R.シュトラウスの歌曲をたっぷり聴いてもらえます。シューベルトの魔王や、シューマンのリーダークライスなど、有名で耳憶えのある曲目も多く含まれています。ドイツリートというとちょっと難しい、と思ってしまう人も、この機会に是非聴きに来て下さい。学生席は¥2000だし。
先日、入学式ではR.シュトラウスの歌曲を4曲歌ったわけですが、あれはドイツリートの世界ではかなり派手な部類の曲達だと思います。シューベルトは派手さもあるけど物悲しく、しっとりとした曲も多い。今回は魔王と「墓掘り人の郷愁」という結構どぎついドラマティックな曲を取り上げます。
シューマンの作品から取り上げるのはリーダークライス作品24というチクルス(歌曲集)です。クライスというのは「環」という意味で、聴いてもらうと、この9曲が一つの輪として調和していることがよくわかります。
僕は、アンドラーシュ・シフさんのマスタークラスをシューマンのリーダクライスで受けました。もう23年前ですが。スイスのベルンでした。そこで歌ったリーダークライスは別の作品で作品39だったのですが、「歌の環」という意味では同じコンセプト。その時のシフさんのアドバイスは今も忘れられません。
ハンガリー生まれのシフさんは多くの言葉を自在に操りますが、ドイツ語、英語、イタリア語、ロシア語、そして日本語・・・。僕はドイツ語でコミュニケーションを取りましたが、日本語も素晴らしく流暢でした。
僕はその時、12曲からなる曲集の移調(僕はバリトンなので原調では歌えず、調を下げる必要がある)を、バラバラの幅で移調していました。そこでシフさんは、「同じ幅で移調しないと曲と曲の調性関係がバラバラになってしまう。環が環にならないんだよ」と仰った。それで急遽、全ての移調譜を作り直して、fis-mollから始まるものをe-mollで始めて、全てを長二度の下げ幅で揃えた。
そうしたらね。12曲が1曲になったんですよ。あの時の衝撃は忘れられない。これ以降、僕は移調幅を必ず揃えるようにしています。
今回、リーダークライス作品24の方を、その揃えた調で初めて歌うのです。今までそういう機会がなかった。その一体感、歌の環の調和を、是非多くの人に聴いて欲しいと思っています。
しつこいようですが、学生席あります!チケットをお求めの方はこちらまでメールを下さい。「テューリンゲンの森から✳︎かわら版」というメルマガを申し込む(申し込みはこちら)と、一般席も割引きがあります。