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環境に配慮することで利益を得る「TESLAの炭素クレジット」

チャーリーです。
1年間、ビジネス誌「THE21」で連載した内容を特別に公開許可いただいたので、1つずつ記事にすることにしました。

この記事では、環境に配慮することで他のメーカーからも利益を得る「TESLAの炭素クレジット」を図解と文章で紹介します。

TESLAの逆説
TESLA ビジネスモデル図解

TESLAの炭素クレジット

トヨタ自動車の2倍超!TESLAの時価総額が急伸

2020年7月1日、電気自動車メーカーのTESLAの時価総額が約22兆円となり、トヨタ自動車を超えたというニュースが注目を浴びました。

その後、トヨタ自動車の時価総額は20兆円程度を保っているのに対し、TESLAは11月24日になんと5,000億ドル(約52兆円)を超え、2倍以上の差がついています。

一方、19年の年間販売台数を比べてみると、トヨタ自動車はダイハツと日野自動車を含めたグループ全体で約1,074万台、単体でも約971万台なのに対し、TESLAはわずか約36万台。トヨタ自動車に遠くおよびません。20年に入ってから、TESLAの販売台数がトヨタ自動車に迫るほど急激に伸びたわけでもありません。

イーロン・マスクCEOへの期待の高さもあると思いますが、それにしても、この時価総額の伸びは驚異的です。

その要因の一つとして考えられるのが、TESLAは自動車メーカーでありながら、自動車の販売以外の方法でも利益を得ていることです。

それが、「炭素クレジット」の販売です。

二酸化炭素の排出規制が競争優位性に

米国のカリフォルニア州やEUなどは、自動車メーカーに対して、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出量の規制を設けています。

販売する自動車が排出する二酸化炭素の量が定められた量を超えると、その分、罰金を支払うか、他の自動車メーカーから二酸化炭素の排出枠=炭素クレジットを購入しなければならないのです。

TESLAは電気自動車しか販売していませんから、炭素クレジットを自社で使いません。すべてを他の自動車メーカーに販売し、利益を得ることができます。

しかも、電気自動車を作るには原価がかかりますが、炭素クレジットは売上がそのまま利益になります。

TESLAの決算は、2020年第3四半期(7~9月)まで、5四半期連続で黒字ですが、炭素クレジットを販売した利益がなければ赤字が続いていました。

TESLAが炭素クレジットを販売し始めたのは、20年よりずっと以前です。ちなみに、17年にカリフォルニア州大気資源委員会が公表した資料では、トヨタ自動車もTESLAから大量の炭素クレジットを購入していたことがわかっています。

ですから、2020年に時価総額が急激に大きくなったことに、炭素クレジットがどれだけ直接的に影響したのかはわかりません。

ただ、各国で規制がより厳しくなっていく中で、他の自動車メーカーがそれにどこまで対応できるかによるものの、今後、ますます有望なビジネスだと言えるでしょう。

環境にダメージを与えることに規制をかけ、環境にダメージを与えないことにインセンティブを与えるのは、国や州の政府にしかできないことです。

TESLAのように、その規制に乗って飛躍するビジネスモデルは、時代に合っていると思います。

図解:チャーリー
取材執筆:桃山透

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説明は以上です。

こちらの記事は、PHP研究所が発行しているビジネス誌「THE21」で2021年1月号から12月号まで連載していた「図解で深掘り!時事ワード」の内容を掲載したものです。本記事が掲載された号は以下です。

誌面に掲載するフォーマット上、図解は2枚ずつ掲載しています。

本来は2枚じゃなくもっと枚数をふやして図解すべき内容もあるなと思いつつ、誌面の制限に従い、いったん全て2枚ずつでまとめるフォーマットで揃えています。

今回、日をあける形で記事の掲載を許可いただいたので、少し時間が経過しているものもありますが、ご了承ください。また、記事中にもし間違いなどありましたら直しますので、教えていただけると嬉しいです。

これらのテーマについて記事にしていきます。

  • サステナビリティー・リンク・ボンド【公開済】

  • TESLAの炭素クレジット【公開済】

  • パリ協定

  • COVAXファシリティ

  • ロングターム証券取引所

  • 選択的夫婦別姓

  • 規制のサンドボックス

  • 10兆円大学ファンド

  • インパクト加重会計

  • オリンピックのビジネスモデル

  • 東証市場再編

なぜこれらのテーマなのか?と聞かれると、その時々で気になっているテーマだったから、ということで選定基準はかなり属人的です。

振り返ってみれば、大きな枠組みの変化や、面白い仕組み、取り上げるべきイシュー、そういったテーマを選んでいた気がします。もともとの連載のリクエストとしては、時事的な話題をなんらか図解して紹介してほしいということだったので、時事的であることだけ縛りがあります。

掲載した記事は以下のマガジンに入れていきますので、今後の記事が気になる方はぜひフォローしてみてください。

以上です。

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チャーリー
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