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推しのいる野球観戦

「プロ野球観戦をする目的は?」
そう聞かれると今年は「推しを見て応援するため」と答えるでしょう。開幕から4ヵ月が過ぎ、前半戦が終わって感じた事を徒然と書いてみます。

「水野達稀」というプロ野球選手を知っているでしょうか。今年2024年でプロ3年目のシーズンを送る内野手です。


入団からルーキーイヤー

2021年のドラフト会議で北海道日本ハムファイターズから3位指名され、入団。JR四国からプロ野球選手が出るという事が珍しいと思ったのですが、この年のドラフトでは下位指名されたNTT東日本の上川畑選手や大卒の北山投手が話題になっていたので、頭の片隅に残ったのみでした。

2022年2月になると春期キャンプが始まり、何気なく中継を見ていたところ画面に水野選手が。まだ荒削りな感じもあったのですが、力強く練習をする姿に一瞬で気になる存在に。

この年からユニフォームのデザインが変更されたため新しく買おうと思っていたところに気になる選手が。これはタイミング的に水野選手の名前でユニフォームを買わなければと感じ、札幌駅前にあるグッズショップでレプリカユニフォームを購入する際にアルファベットと背番号のワッペンで名前を入れてもらうことに。店員さんからは「駅員さんだった選手ですよね」と声をかけられました。

2022.3.5 オープン戦(読売ジャイアンツ戦@札幌ドーム)

札幌ドームで開催された最後の開幕戦。そこに水野選手の姿があり、新人で開幕スタメンを勝ち取ったのでした。しかし、この年は結果を出す事が出来なかったため目立つ存在ではなかったです。そして、シーズン中盤に入ろうかという6月に疲労骨折となったことで1軍の舞台からは去っていきました。

2年目のシーズン

翌2023年は春季キャンプからファーム(2軍)でスタート。開幕して少し経過した4月14日付で1軍に呼ばれ、新庄監督がデザインした限定ユニフォーム(襟付きの黒いユニフォーム)も似合っていました。

2023.5.14 試合前練習(エスコンフィールドHOKKAIDO)

スタメンで起用される事は少なかったものの、時折ヒットを打ったりしていたことから水野選手の活躍を期待するようになっていたのですが、交流戦中の6月8日付でファームへ行く事に。秋の終盤となる9月8日から9月13日の一時期だけ1軍に登録されたのですが、この時はあまり出番も無く目立ったプレーも少なかったと感じていました。

それでもファームでは北海道遠征という晴れ舞台でヒットやホームランを打つなどアピールもタイミング良く行なっており、また1軍で見たいと思い続けていました。

2023.8.26 千葉ロッテマリーンズ戦(ファーム)@旭川スタルヒン球場

この年のファイターズは故障者以外は1回でも1軍の試合に出場させて、選手の様子を見るということが行なわれていました。そのようなチームの考え方から、この年はシーズンオフの戦力外通告がとても気になっており、1軍に呼ばれた時にチャンスを掴めず結果を残せなかった選手が戦力外や育成再契約となっていました。

9月に数日だけ1軍に呼ばれたというのが、タイミング的に不安になるものでもありました。それでも水野選手は契約更改をすることができたことから、何とか首の皮が繋がったのではというファンの声も聞こえてきました。

この年は秋季キャンプをエスコンフィールドHOKKAIDOで行なうという想定外のことも実施されましたが、水野選手は呼ばれることがなく、ファーム・沖縄県国頭村での練習となりました。

そして、今年2024年

2024年、ファンとしても今年が勝負の年かなと思うようになりました。

2月の春季キャンプも秋季に引き続いてファームスタート。それでもキャンプ中継から伝わってくる情報や紅白戦で力を付けてきていることが目に見えて分かってきました。これはどこかのタイミングで1軍に呼ばれることがあるだろうと思っていたところ、キャンプ中盤からは名護市で実施されている1軍キャンプへ合流するということに。

そして、1軍キャンプでも存在感を出していくようになり、最後までファームのキャンプ地である国頭村に戻ることはなかったのでした。

3月に入るとオープン戦が始まり、ファーム側の教育リーグの試合にも出ていることもありましたが、1軍・2軍同日開催となった日を含め、基本的には1軍帯同。まだ小さなミスは時折見受けられたものの、それに対するチームのコメントも決して否定的ではなく、次に期待するような感じを受けました。

2024.3.1 教育リーグ(オイシックス新潟アルビレックスBC戦@エスコンフィールドHOKKAIDO)

オープン戦ではスタメンを外れるときもありましたが、基本的にはベンチ入りして出場していました。「推しがプレーをしている瞬間」をいつも見る事が出来るのが毎日の楽しみになり、エスコンフィールドHOKKAIDOへ行く足取りも軽くなっていました。

そして迎えたシーズン開幕。ビジター球場での開幕となりZOZOマリンスタジアムに足を運ぶことは出来なかったのですが、水野選手は2年ぶりに開幕スタメンを勝ち取りました。要所要所でしっかりとした守備を見せ、3戦目には決勝打も放ち、初のお立ち台・ヒーローインタビューも。映像でしか見る事は出来なかったのですが、まだ緊張があったものの今年は違う感じである事が伝わってきました。

そして、次のカードはエスコンフィールドHOKKAIDOでのホーム開幕戦。試合前にはセレモニーも行なわれ、ここでスターティングメンバーが紹介。「ショートストップ・水野達稀」とコールされたときには「この舞台でスタメンとは!」と観客席で興奮していました。

その後はほぼ毎試合のようにスタメンに名を連ね、気づけば2024年序盤の戦いには無くてはならない選手になっていました。そして、エスコンフィールドHOKKAIDOの場内を見渡してみると、少しずつではありましたが「43 MIZUNO」と名前が入ったレプリカユニフォームを着ている人も多くなってきていたことを実感するようにもなりました。

初めての光景

5月12日の千葉ロッテマリーンズ戦、その日はやってきました。

2点ビハインドの状況で迎えた9回裏。相手はクローザーとも言えるピッチャーが登板しましたが、ファイターズはヒットを重ねていき、代打で登場した伏見選手が同点タイムリーを放ち、1アウト満塁で一打サヨナラという場面。ここでネクストバッターサークルに水野選手の姿が。一発が期待出来る選手に替えられるかとも思ったのですが、チームは打順通り水野選手を打席に送り込みました。

そして、迎えた打席、水野選手のバットに当たったボールは内野の守備を越えて外野に抜けていく。ここで3塁にいた田宮選手がホームに生還し、チームは負けも覚悟していた中で逆転サヨナラ勝ちという結果に。

1塁のベースを踏んだ後、グラウンド上で揉みくちゃにされる水野選手を見て、応援団エリアで応援歌を歌っていた自分も泣き声に近い歓声を上げ、周りの人たちと喜びを分かち合っていました。

2024.5.12 ヒーローインタビュー(エスコンフィールドHOKKAIDO)

試合後の一丁締めで水野選手が放った「これが今年のファイターズです!」という言葉こそ、まさにその時のチームを表現したものでありました。

水野選手としては3回目かつエスコンフィールドでは初めてとなるヒーローインタビュー。この光景を見たかった自分にとって、かけがえのない瞬間となりました。普段はヒーローインタビューが終わるとすぐに帰り道につくのですが、場内を一周してグラウンドから引き上げていくまで、水野選手の姿を追っかけていました。

5月15日の埼玉西武ライオンズ戦には初ホームランも飛び出し、攻守ともに必要な選手になったと感じられました。「ショートのレギュラーを勝ち取り」そこに居るのが当たり前とも思えるようになった2024年。しかし、何が起こるか分からないのがスポーツの世界でもあったのです。

2024.6.5 試合前練習(MAZDA Zoom-Zoomスタジアム)

まさかの事態が

6月21日、エスコンフィールドHOKKAIDOで行なわれた東北楽天ゴールデンイーグルス戦。7回裏、水野選手が同点タイムリーツーベースを打ち、さらに得点のチャンスでバッターが長打を放ち水野選手はベースに向けて走って行きました。3塁を回ったところでホームに向かおうとした水野選手に対して、三塁コーチャーが回していた手を止めてストップのサイン。ここで水野選手は3塁に戻ったのですが、ここで足の様子がおかしくなりました。

中継でリプレイが流れると、コーチが止めた時に水野選手が足を捻ったように見え、ここでベンチに戻ることに。水野選手は自分の足で歩いていたものの、すぐに交代となりました。

これはちょっとただ事では無いことが映像を見ても分かったため、それからは試合の展開は頭に入らなかったです。

翌日、現地観戦に行く予定ではあったものの、水野選手が(少なくともこの試合は)出ないことが分かっていたので行く気力が全く起きなかったです。自宅で練習中継を見ていたら、八木コーチへのインタビューで、水野選手に対して「まだオープンになっていないんだっけ。捻挫と言うことしか言えない。抹消はすることになる」とハッキリとした感じでは無く、どこか濁している言葉であったことから、すぐには戻ってこないことが感じ取れました。

そして、その日の午後にチームから発表があり、「右足関節外側靭帯損傷。ゲーム復帰には4週間から6週間の見通し」という診断が。

この時点で1ヵ月後に開催されるオールスターゲームのファン投票の中間発表1位であったのですが、事実上出場は厳しくなったことに。そして、回復してから調整を含めると、後半戦も厳しく、シーズン終盤となる9月の試合に出られるかどうかと不安になりました。

その翌週からエスコンフィールドHOKKAIDOへ観戦に行く事を再開したのですが、そこで会った知り合いに「気力は大丈夫か…」と声をかけられることも。それでもSNSで鎌ケ谷の情報が流れてきて、元気そうにリハビリをしたり選手と楽しげに話している姿が伝わってくると、「ファンとして悲しんではいられない。またエスコンフィールドHOKKAIDOに戻ってきた時には精一杯の声援を送って、迎えられるようにしたい」と思うようになりました。

怪我から離脱後に開催されたホームゲームのイベントで掲示されたのぼり

その後、野球観戦をしている時に内野の守備・特に二遊間を見ると、どうしても水野選手がグラブさばきをする光景が目に浮かんできてしまいます。レギュラーに近かった選手が居なくなってしまった事が他の選手にとってはチャンスであるはずなのですが、まだ今年の水野選手を超えられる選手がいないことを感じずにはいられなかったです。

今シーズン、水野選手が掴み取った信頼感がそこにはありました。

そして、ひょっとしたらオールスターゲームに間に合うまで早く復帰するかとも思うようにも。スポーツニュースや野球関係の知り合いから聞こえてくる情報は前向きなものが多かったことが気持ちをプラスにしてくれました。

しかし、7月18日付で正式に出場辞退が発表。無理はしないという判断だと思いますし、下手に焦らないで後半戦に向けて完全に戻ってきて欲しかったので、一ファンとしても受け入れる事が出来ました。それでも、オールスタゲームという晴れ舞台で12球団のファンにその姿を披露するというのも見たかった思いもありました。

7月23日、エスコンフィールドHOKKAIDOで開催されたオールスターゲーム、ファイターズの選手が守備位置に付く際、各選手が球団の歴史を彩るユニフォームで出ていきましたが、もし水野選手が出場していたらどんな感じになっていたのだろうかと観客席でその光景を見ながら思いにふけていました。

オールスターゲーム後にエスコンフィールドHOKKAIDOで展示された歴代ユニフォーム。
水野選手が着用予定だった2012-2021ホームユニフォームもお披露目されました。

これからの想い

7月26日からはファームでの試合にも参加するようになり、入ってくる情報や映像を見ると、怪我をしていた事を感じさせない安定したプレーを行なっている事が伝わってきています。早く1軍・エスコンフィールドHOKKAIDOで見たい気持ちが出てきていますが、そこは勝負の世界。今のチームは内野手の調子も良く、そこに入る隙があるかどうか。

現時点で水野選手が1軍に居ないことは事実ですが、もう見る事が出来ない訳じゃなく、完全に復帰するまでの一時的なもの。再び1軍の舞台でプレーすることが出来る事を願いつつ、エスコンフィールドHOKKAIDOの応援席でチームの勝利・活躍を期待して声援を送り続けたいです。

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